小説『【ボカロ小説化第二弾】ヘッドフォンアクター【完結】』
作者:迷音ユウ(華雪‡マナのつぶやきごと)

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また『今日』が始まった。
少女は目覚ましの声に、睡眠を中断させられた。眠たいからだをゆっくりと起こし、下がってくるまぶたを何とか開ける。目覚ましはその緩慢な動作にしびれを切らしたように、自然と鳴り止んだ。
時刻は十時半を過ぎている。連日、日付けが変わるまで起きていたので、まだ少し寝足りない。
ふらつくからだで立ち上がる。
彼女はふとこの部屋唯一の窓から外を見て、微かな違和感を感じた。どこか違う空の表情。なにか違う外の雰囲気。しかし、だからどうしたというのだろう。彼女はすぐそんなことには興味をなくし「日常」を始める。
ダイニングへ行くと母親がいつも通り居た。「おはよう、よくさか眠れた?」と、聞き慣れた母の声。それから、定型文(いつも通り)の会話をふってくる母はまるでゲームのNPCのようだった。
彼女はかるく朝食を済ませるとふたたび自分の部屋へと戻った。
 昔から使っているちょっと古いラジオをつけ、自分の机へと向かう。机の上は乱雑としていた。ゲーム、マンガ、参考書などが混在している。ほとんどが手付かずのものばかりだった。

【今日、○○市の二丁目の交差点で男子高校生がトラックに撥ねられ死亡しました――――】

 ラジオから流れてきたのは意外と近所の事件。ローカル放送のため、情報は早い。毎日のように流れる事故や事件のニュースに、少女は耳を傾けることもない。彼女は机の上で充電していた携帯電話をなんとなく手に取った。画面には未読メールあり、の表示。彼女は携帯を操作し、メールを表示させる。

Notitle.
本文:いつも通り

「本当……、いつも通りだ……」
 呟いたその声は、ひどく煩く反響した。

-3-
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