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「非常に残念なことですが、本日地球は終わります」
そんな台詞が耳の中へと染み込んでいく。
ラジオはその声を最後に沈黙した。ただノイズが小さく流れてきている。
部屋がつかの間の静謐に包まれる。
息苦しくなってふと窓の外に目をやる。陰りかけた空にはもう三日月が昇っていた。しかしそこにはそんな月を飲み込むようにしてたくさんの大きな鳥たちが忙しなく飛んでいた。何かから逃げるように。いつも見えていた月(げんじつ)を覆い隠して。
少女はベッドから起きる。そして机の前へと向かった。ついさっきまでやっていたゲームはそのままノーセーブ。ほぼ手付かずの参考書を払いのけて、その中からヘッドフォンを手にした。
彼女の思考は意外とハッキリしていた。今しがたラジオで聞いた台詞が「初めての言葉」だからだろうか。しかし実感していた、この世界の軋みを。
遠くでドンと大きな音が聞こえた。
彼女は咄嗟にヘッドフォンで世界を断絶する。
オーディオプレーヤーの画面に表示されているのは不明なアーティスト項目。タイトル不明のナンバー。再生ボタンを押したわけでもないのに、とつぜん耳元に流れ出した声
「生き残りたいでしょう?」