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外の世界は雑然としていた。何もかもすべてが慌てているように見えた。蠢くような気色を見せる世界会場には、波のように揺らめく摩天楼。まるで希薄な陽炎のようだ。
少女は駆けだす。。
今この世界に何が起きているかなんて彼女には分からなかった。ただ何か大変なことが起きている、それだけはおぼろげながら理解していた。
ヘッドフォンから流れるノイズ混じりのこの声はどう聞いても聞き飽きた自分の声だ。
「あの丘を超えたら20秒でその意味を嫌で知ることになるよ」
依然、彼女と同じ声で彼女の知らないことを指標する。
視線の先には確かに丘があった。そこだけ開発されていない小高い緑の丘。
「疑わないで。耳を澄ませたら、」
20秒先へ―――――>
心地よく響くその言葉に導かれ、少女は更に加速した。