小説『猫語-ネコガタリ-』
作者:†綾†()

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第十話【鈴】

もう時間は6時30分をまわっている。
小学生ならもう帰っている時間じゃないか…?
なのに、ただ道路をじっと見て
そこから動こうとする気配が全くない。

男の子は、大きな傘を持ち、
大きなリュックを背負っている。

こんな時間に、此処にいるのも危ないと思い、
そばまで行って、声をかける。

「何してるんだ?もうこの時間は危ないぞ」

すると男の子はくるりと振り向いた。

「…?お兄さん誰?」
「え?俺は、朽田羽乃って言うんだけど」
「伊坂泉、10歳だよ」
「伊坂…?」

伊坂。伊坂の弟か…?
弟、いたんだな

「なぁ、泉…は、伊坂寧って知ってるか?」
「え?お兄さん寧お姉ちゃん知ってるの!?」
「え?あ、まぁ」

泉は目をキラキラと、
目を輝かせた。もしかすると、

「泉のお姉さんか?」
「ううん、僕は親戚の子供」
「え、でも名字一緒…だよな」

うん、と泉は頷いた。
すると、自然と目が泉の手首へといった。
そこには、

「鈴…?」

偶然にも、泉の手首にもあの鈴がついていた

「あれ、まさかお兄さんこの鈴のことも知ってるの?」
「いや、詳しくは…」
「あ、そうなんだ。…あ、もうこんな時間だ。家に帰らないと」
「そうだな、帰った方がいい時間だな」
「じゃ、またねお兄さん!」

そういって大きく手を振って走っていった。
…あそこで一体何を見ていたんだろう…泉は。

「チリン」

【続く】




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