小説『猫語-ネコガタリ-』
作者:†綾†()

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■第二十二話【実散の】


「…学校?」
「そう、学校。…まだ学校には行けねぇんだ」

雅希が言うには、最初は見た目のことから
始まったんだと言った。

「みんなと違う髪の色、目の色。
 クラスの子はそれが原因で、実散を無視をしはじめた。
 実散を見て、笑ったり、実散が話しかけると避けたり、
 …したんだってよ」
「…」
「俺は実散と違う学校で、クラスの奴に、目の色が少し違うよな、で終わったんだけど、
 実散のクラスはそうは行かなかった。俺よりずっとハードだったんだ」


…だから実散ちゃんはもっと心を閉ざしてしまった。
会話も出来ず、ずっと…病院で。

「…はぁー…何話してんだ…俺。」

と言って雅希は床から起きあがった。
そしてすっと立ち上がって言った。

「…羽乃、だから実散の病院、明日絶対…来いよ。」
「そのつもり。」

ふっと笑って雅希は外、散歩してくる、と言って
部屋を出た。俺は寝転がったままでいた。








ガラ。

「おや、雅希くん何処行くの?もう暗いけど」
「ちょっと、散歩。」
「ふ〜ん、あんまり遅くなっちゃ駄目だよ」

雅希はひらひらと手を振って暗い闇に消えた。…どうしたんだろうか。
部屋に入ると、リビングからゲームをしている音声が聞こえた。

「泉くん?ゲームしてるのー?なら、僕も入れておくれよ」
「あ!悠一!おかえりー!うんいいよ、一緒にやろーでも先に着替えてきたら?いつもの着物に」
「うん?ああ、そうだね。じゃあ先にやってていいよ〜」

泉は返事をして、悠一は2階の部屋に戻る、
その途中、ちょうど部屋から出てきた寧に会った。

「あ、おかえり悠一。今帰ったの?」
「うん、今帰ってきたんだ。」

スーツを脱ぎながら悠一は話した。

「…ところで、朽田くんと雅希を知らないかしら」
「羽乃くんと雅希くん?雅希くんならさっき外にいったけど」
「そう、ならいいの」

くるりと寧は背中を向けて、
悠一に囁いた。

「明日、実散には会わないの?」
「…早く終わったら行くよ」
「…分かったわ」

そう言って寧は下につながる階段を静かに下りていった。
…何故か今日は、空がとても暗かった。
いつもより、








暗かった。




【続く】











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