小説『猫語-ネコガタリ-』
作者:†綾†()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

■第二十三話【時計の針。】



□次の日の朝□

いつもと違う寝床で寝るのはやっぱり
感じが違った。
俺は昨日雅希が部屋を出て行ってから、
また自分の部屋に戻って寝ていたのだが

泉が「ゲームをやろう」と聞かないので
仕方なく相手をしていた。
やったことのないゲームなのに泉に全勝。

悠一さんもそこに居たのだが俺が来たときには
やりすぎてぐったりしていた。

「羽乃く〜ん後は任せた〜…」

なんて言ってたと思う。


そんな昨日の回想をしているとドアがコンコン、となる。
「どうぞ」と言うと伊坂が立っていた。

「朽田君、いい加減に起きてくれないと片づかないのだけど」
「あ、ああゴメン、今降りるよ」
「…それと今日は帰りに病院によるから実散に何か買っていってやりたいから、
 つき合ってもらっていいかしら」
「ああ、別に構わないけど」
「なら決まりね」


そう言って伊坂は階段を俺より先に下りていった。
それに続いて俺も階段を下りる。

降りてリビングに行くと泉と雅希がもう食べていた。
雅希はパンを食べていたのだが…。


「おま…雅希、何かけてるんだ、…それ」
「んあ?」

まさにバターをぬって何かをかけて食べる寸前に俺は雅希に問いかけた。
だけど雅希は一口かぶりと食べてから言った。

「ん?ああ…もぐもぐ…、またたび。」
「は。」
「ねぇお兄さん、そこの醤油とって〜」

またたび。……あれ?またたび?

「あはははーあーまたたび。またたびねー。はははは」
「お兄さーん醤油ー」
「って、またたびっ!?…おい何の冗談だ雅希」
「まぁこれも「猫」の影響って奴なんすよ羽乃さん」

まぁまさかとは思ったけどホントになるなんて…
もう笑うしかないじゃないか、…コレ。

「泉もか?」
「泉はまだ食べないわ、人間にしたらお酒みたいなものだから」
「ほー…。」

と言いながら食パンを一口かじる。
その時時計は


【8:01】


と指した。




同時に俺と伊坂は家を出た。


【続く】








-24-
Copyright ©†綾† All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える