■第三十話【困ったテスト】
図書室に、男子高生と女子高生がいた。
テスト勉強のために。
「…俺、テスト嫌いなんだよなぁ…」
「知ってるわそんな事。それにその台詞、聞き飽きたわ」
今日から中間テストだ。
それで俺は伊坂と図書室に来ていた。
成績はそれほど悪くはないのだが、
下がっている。なので身近にいた頭のよろしい伊坂に
教えてもらっているというわけだった。
「ほんと頭いいよな、学年トップ様は。」
「頭がいいもなにも、解けないというほうが私にはわからないわね、朽田くん」
「う…」
そんな台詞、一度でも言ってみたいものだ。
まあ事実。成績が下がってきているのは問題だからな。
そういって鉛筆をノートに走らせていた。
すると、伊坂が席を立った。
「どうした?」
「喉が渇いたから何か買ってくるわ、朽田くん何かいるかしら」
「いや、俺はいいよ、勉強に専念します」
「そう、頑張ってね。すぐ戻るわ」
ドアがぴしゃりと閉められた。
すると周りの空気は静かに動き始める。
そんな中、俺は鉛筆をおいて、背伸びをする。
かれこれここにいて1時間はたつだろう。
体を動かさないと…。
すると、廊下を誰かが走る足音がした。
たたたたたた…。
どてっ。
「!?」
こけた。今誰かがこけた。気になったので
とりあえず廊下に出る。
そこには、女の子が倒れていた。
「…」
「…」
あれ、何だこの空気。声をかけたほうがいいのだろうか
(伊坂、早く帰ってこないだろうか…。」
【続く】