小説『ストーリー』
作者:72マヨ()

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2話 〜仲間〜


「よし、2人ともこっちに来て」
そう言った女性は扉を開けた。
「ごほごほっ…」
埃っぽい風が吹く。
「あちゃー…。俊太また散らかしたな」
そういうと、その部屋にスタスタとみんな入っていったから、
俺と都夢技も一緒に入っていった。


「ようこそ。『文研』へ。まずは、自己紹介かな?」
俺らの前に立つ5人。
「まず、私は、会長の陽種未来(ひぐさみき)です。文藝学部の3年です」
俺に名前を聞いた女性がそう話す。
「で、あたしが、副会長の桜木結衣(さくらぎゆい)です。同じく文藝学部の3年です」
俺に最初に話しかけてきた、黒いキャミの女性が次にそう言った。
「俺が、会計つとめます大江裕哉(おおえゆうや)です。みんなと違って環境科学学部の3年です」
環境科学…思いっきり理系…。
「あたしは、天草百合音(あまくさゆりね)です。あたしは、脳科学研究学部の2年です」
黒髪のおとなしそうな女性はそう言った。なんで脳科学でココに?
「私は、展同亜歌音(てんどうあかね)教育学部の2年です」
教育学部…。
このサークルすごいや…。
『文研』って言ったら普通、文藝学部なのに…。

「あの…」
俺がそう言ったとき、むくっとだれかが現れた。
「あれ…新会員?」
「あっ、俊太。おはよう。早く、自己紹介中だよ!」
「……そう…。俺、羽瀬川俊太(はせがわしゅんた)。文藝学部の2年です」
眠そうに目をこする男はそう言ってまた、ソファーに寝っ転がった。
「ごめんね。俊太は、ココで寝泊まりしてるから…」
会長さんはそういって頭を掻いた。
寝泊まり…?ココで?
凄い人だな…。
「じゃ、君たちも自己紹介よろしく」
会長さんがそう言った。
「えっ、えっと…新垣泰助です。文藝学部の1年です」
「私は、泰ちゃんと同じく文藝学部の1年の坂上都夢技です」
「よし、泰助にむぎちゃん」
む、、、むぎちゃん?
「あははははははは」
俺は1人で笑い出した。
笑うツボの分かったのは、都夢技ぐらいで、他はキョトンとしていた。
「泰ちゃん!笑わないでよ…」
「だって…むぎちゃんなんて…」
むぎちゃんなんて呼ぶ人……
「泰ちゃん以外呼ばれたことない呼び名だけど…」
そう。俺は昔、都夢技のことをむぎちゃんと呼んでいた。
今は恥ずかしくてそんなこと呼べないけど。
「あっ、幼馴染みなんだよね?」
キョトンとしてる先輩たちの中で会長さんだけが口を開いた。
「あっ、ハイ。そうです」
そう言うと、周りの先輩も「そうだったんだ」と安心の顔をする。

それから、俺らはちょっとずつ話し始めた。

「じゃ、明日は、5時にココね」
明日も呼び込みをするらしく、俺と都夢技も参加することになった。
「あの…会長さん…」
そう言うと、会長さんは笑い出した。
「会長さんってなによ。未来でいいよ」
「いや…先輩呼び捨ては…」
「律儀だねぇ。じゃ、未来さんで」
「…はい。未来さん」
俺は笑顔で未来さんにそう言った。
それを他の先輩も聞いていたのか、「俺は!」とか、「あたしは?」と聞いてきた。
「えっと…。結衣さんに百合音さんに裕哉先輩に亜歌音さん?」
「なんか、固いね…」
「そうだね…」
「な、泰助!俺のことは、ユウさんでどうだ」
「ユウさん…」
「じゃ、あたしリリィ」
「私は、亜歌音でいいよ」
「あの…呼び捨ては…」
「「いいの!!」」
百合音さんと亜歌音さんはそう言った。
「は、はい…」
「私もそう呼んでいいですか?」
そう割り込んできたのは、やっぱり都夢技だった。
「むぎー。可愛い!いいよ♪」
そう言うと亜歌音は都夢技を抱きしめた。
「うわぁ、こんなとこで百合なんか見たくねーっつの」
ゆ、百合?
「あの…ユウさん…百合って…」
「あっ?あぁ、GL。つまり」
「レズ…」
「そう」
レズ…じゃないだろ。これは…。
「リリィってもしかして…」
「あっ、気づいた?百合の英語だよ」
俺がそう言うと、リリィはすぐにそう言った。
「「「「「じゃーねー」」」」」
5人は俺と都夢技に手を振ると、俺らと違う方向に歩き始めた。
「じゃ、帰ろう」
「おう」

そう言って、俺らも歩き始めた。

なんか、楽しそうだったな。
あそこなら、楽しめそうだな……。

そして、ゆっくり目を閉じた。

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