小説『ストーリー』
作者:72マヨ()

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6話 〜活動開始〜



授業が終わった。
と、言っても授業なんか聞いてない。
都夢技はちゃんと受けてたみたいだけど…
俺は、携帯で小説投稿中。
それと、隣が夏来だったから、ずっと喋ってた。


授業が全て終わると、俺たちは今日も部室へと向かう。


「泰助ー!早くっ!」
そう呼ぶのはまたしても雷鬼だった。
なんで、俺のこと『泰助』って呼ぶんだ…?
俺たちは、小走りで部室へ入った。

あっ、みんな集まってる…。
「スミマセン…待たせちゃって…」
俺がそう言うと未来さんがまたニヤアと笑った。
前にも見た顔だ。
「相変わらずだね。今日は、みんなが早かっただけだよ」
相変わらずだねというのは、前の『入部審査』のときの「律儀」なとこだろう。
「んじゃ、みんなそろったね」
未来さんが辺りを確認してそう言う。
「えっとねぇ、私たちは、今度の小説コンクールに1作品は絶対提出するから」
しょ、小説コンクール???
優勝したら書籍化とかそういうやつ?
「えっと、ジャンルは自由。ページは原稿用紙40枚分の短編小説だって」
「小さな大会なんですね」
「まぁ、作家になる一番の近道だけどね」
やっぱ、避けては通れないとこなんだよな…。
「有名な大会ですよね」
「そーだね…有名中学校とかは出るかな…?」
有名中学校…。
青木学園とかか…。
「崎部中とかもでるんですかね」
崎部中…。全国的にも有名な中学だな…。
剣道、バスケ、吹奏楽、書道…全部全国大会行ったよな…。
「崎部中は、3年生全員が提出だよ」
ぜ、全員?
「まぁ、その中でも優秀のしか残らないからね…」
「でも、毎年、中学生の部、崎部中と青木学園が占めてましたよね」
「そうだね…まぁ、私たちは一般の部だから。難しいと思うよ」
未来さんがそう言ったとき、部室の扉を叩く音がした。
「あっ、来たんだ…」
未来さんはそう呟いて何かを受け取った。
「コンクール参加に伴い、学校がパソコンを用意してくれました」
そう言って運ばれてきたのは、デスクトップパソコンが3台だった。
「ま、一応コンピューター室の鍵ももらいましたけど…」
…言うべきか…。
「あの…」
「ん?泰助どうした?」
「…自分のノートパソコン持ってきていいですか?」
俺のノートパソコン。
そこには、いろんな情報を入れてある。
あれのほうが使い慣れてて打ちやすいし、話が作りやすい。
「あっ、いいよ。ノートパソコン持ってる奴は、持ってきて普通にやって」
そういいながら未来さんは業者の人の持つ書類にはんこをうち、ユウさんはノートに記録する。
「あっ、今日は解散でいいよ。こっちのパソコンの配線とかあるし」
そう言って、みんな解散した。

残ったのは、やっぱり、3年生と俺と都夢技だった。
「未来さん。俺配線得意なんでやりますよ」
そう言って、未来さんのやってたパソコンの配線を俺がやる。
「ぶっちゃけさ、期待してんのは香だけだな」
「まぁ、話がまとまってるのは、香だよな」
すいません。ぶっちゃけ、俺が残った理由こっちです。
この話が聞きたかったんですよね…。
絶対話すと思ったから。
「あっ、泰助もむぎもごめん。あんたらのは見たことないから知らないけど」
「あの4人の中ではやっぱり香が一番ですか」
「そうね…文藝学部の夏来よりはるかに上だよ」
話の内容・伝えるポイント・全体のバランス
3つともかねそろえてるらしい。
香の作品はすごい。
そのあと先輩達はそう言って褒め称えた。

やっぱり香はすごい。
そう思いながらも、素早く配線を終わらせる。

「泰助、むぎ、ありがとね」
「いえいえ」
そう言って、俺たちもアパートへ帰る。



□■アパート■□

部屋に戻り、自分のノートパソコンを起動させる。
「このファイル開くの久々だな」
そう言って開くファイル。
ファイル名は『xxx(トリプルエックス)』。
久しぶりに開くそのファイルにはその当時そのままの状態で保存してあった。
「そりゃそうか…」
そう呟きながら俺はゆっくりとキーボードをならし始めた。


本当に俺、ここにいていいんだな…。

そう思えることが安心でしかたがなかった。

-7-
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