20話「錬金釜を手に入れた!」
〜ドラム島・近海〜
〜シオリside〜
リトルガーデンを後にした俺らは、そのままアラバスタへ直行しようと思っていた。
ドラム島は見学するには広すぎるし寒い。
あのタヌキ…じゃなかった…鹿のチョッパー加入イベントを見れないのは癪だが、そうなると一人で行動しないと難しいもんがある……と、思っていたが…
ワポル。あの超ワガママでマヌケ面に似合わず外道な性格のオッサン。奴のバクバクの実の力は…けっこうな魅力だ。
うちにウソップやフランキーみたいな大工などの技術者がいない今、奴の力はかなり役に立つ。
奴の素行の悪さは…教育を徹底的にして従順にさせる。不審な行動も見聞色ですぐ分かるから問題ねぇだろ。あの性格だから十中八九修業はしないだろうから体罰式で鍛える。…まぁ前線に出す意味は無いんだが。
…そういやワポルとバギーと『あいつ』の三大バカトリオ見てぇな…
バギーはスルーする事にしたが『あいつ』は仲間にしてぇな…あの能力使えそうだし。
奴に剃とできれば覇気仕込めば…とんでもねぇシロモノになるだろう…クーックックック…おっとついカレー好きなカエル星人になっちまった。だいたいまだまだ先だしほっとくかアレは…
…あ、そういや医者の国だったな…くれはばあちゃんとかスカウトしてみようかな…後ついでにチョッパ………………プツン
……………………ん?あら?なに?
「お嬢様?どうしました?」
「……………」
『百計のクロ。第一の部下。』
「…いえ、なんでもありません…私は少しドラム王国に行ってきます。留守を頼みます…」
「はっ…………ん?『私』!?…あっ…もう行ってしまわれた…」
〜ドラム王国・ココアウィード〜
「どうしよう…刀…刀が、『月下美人』が…なんで無くしたんだ私は…一体何が起きてるんだ…」
そういえばこのはしたない格好…それにあの男達は…
「うん?ヒーッヒッヒッヒッ!!そんな寒そうな格好してどうしたい?小娘。」
ん?この御老女と鹿?は…
『Dr.くれは』
『トニートニー・チョッパー』
…!!この子がそうか!…か、かわいい!『今』のマスコットと化した姿も悪くはないがやはりこの初期のブサイクさがたまらない…!!
「す、すまぬ…私は刀を探していて…売っている所を知らないか?そ、それとチョッ…そこの鹿君…」
「ギャー!?な、なんだぁ!?人間っ!!」
「か、かわいいな…私の仲間にならないか?」
「えっ?かわいい?お、男がそんな事言われてもうれしくねーぞ!コノヤローが♪」
おお、脈ありか!?
「おお!仲間になってくれるのか?」
「なんでだよ!?おれの言った事聞こえなかったのか!?」
「駄目なのかぁ…名医は是非とも欲しかったのだが…どうしても駄目か?なんなら御老女も…」
「バカ言ってんじゃないよ!小娘が。…見た所…さ、いや、剣士の様だが…子供に付き合ってる暇はないさね。(この小娘……なにか変だねぇ…それにチョッパーの素性を知ってる?…しかし…)…!…刀って言ったかい…それならそこのよろず屋で一本残ってたね。」
「一振りと数えます。」
「あら、そうかい。…もしやお前さん……ワ…いや、なんでもない。」
「これはかたじけない。では…ええと…」
「私はDr.くれは、コイツはチョッパーだよ。」
「私は天草詩…シオリと申します。」
「(アマクサ!?………いや、あの国にはそういう名前は多いはず……違う……といいんだがねぇ……それよりもあの存在感…まるであのクソ生意気な小僧を彷彿とさせるとはねぇ…まるで二重人…いや、多重か……)」
「それでは…また縁がありましたら…」
「ああ…………」
「ドクトリーヌ?どうしたの?顔色が悪いよ。」
「……お前が私の心配なんて100年早いよ!」
「100年じゃさすがにドクトリーヌも死んじゃうよ!」
「揚げ足取るんじゃないよ!」
あそこか…そういえば銭は…10万…これは確かべ・リ・ィーか…買えるのか?
幸運にも安物だったらしく半分ほどの出費で買えた…ハア……やはり落ち着く……
……………ん……?……!?…ここは…なんだ?ドラム王国の村か?…なんで俺は一人でここに…それに…これは…刀か!?使わねーのに…一体どうなってんだ?
…まさか夢遊病かよ…勘弁してくれ……まぁいいか…ややこしい事は後回しだ。さっさと船に帰らんと…
〜ドラム王国近海・マザーバンガード〜
「あっお嬢様っ!お帰りなさいませ!心配しましたよ!」
?一応事情聞くか……で出掛けた時の様子を聞かされる。
…訳が分からねぇ…どういう事だ?…まさかあの神様二人の…一体なに考えてやがる…
「顔色が優れませんがお休みになられた方が…」
…確かルフィVSワポルは翌日か…まだ時間もあるな…
「悪いな。翌日になったらちょっと忙しくなるからお言葉に甘える。」
「忙しく?」
「ああ…スカウトだ。グランドライン一人目のな…超絶的なわがまま野郎だから仲間にできる自信はねぇが…」
「どのような…」
「それは見てからのお楽しみってヤツだ。……あー…そういやクロが苦手なタイプかもしれん…」
「は、はあ…苦手…」
「ま、今日は訓練はもう切り上げていいぞ。3人に伝えとけ。」
「かしこまりました。」
〜翌日〜
さ〜て…とりあえず見聞色で二人の気配を探るか。動きが激しくなってきた辺りで月歩で空中待機しとくかな。
………!!この動き……これか!
「じゃ、行ってくる。」
「「「行ってらっしゃいませ〜」」」
しかし月歩は使い勝手良すぎだな…ルッチぐらいタフだったら一日中飛んでられんじゃね?……!っと!一つの気配が近づいてきたよ…
「まああああああああ〜〜〜〜〜!!?」
物の見事にドラムロックのくれはのおばあさんの家から吹っ飛んできたワポル。それを…空中キャッチ…さ〜て…こっからが骨だな〜…
〜クロside〜
空から戻ってきたお嬢様がなにやら巨大ななにかを抱えていた……カバ?
それは鉄の前掛けを身に纏いカバらしき生物の毛皮を頭から被った太った男だった。
…物凄い肥満だな…顔色もなんかおかしいし病気なんじゃないか?…まぁギンの例もあるしアテにならんが。
しかし体型だけでなく口辺りは怪我でもしたのか金属製だ。
しかしそれよりも…全身から醸し出すうっとおしさや面構え…おそらく一番嫌いなタイプだな。
「おら、起きろ。」
お嬢様がカバを蹴り飛ばす。
「んまっ!?なーなんだぁ!?貴様らぁ!?おれ様を誰だと思ってんだぁ!?」
起きてそうそうに信じられないほど騒ぐカバ。声も非常に耳障りで甲高い…駄目だ。この世で一番嫌いになりそうだ。
「おい、倉庫からこの前海賊から略奪してきた武器いくつか持ってきてくれ。」
武器?何に使うんですか?
「ま、とりあえずこれでもどうだ?」
お嬢様が一振りの剣を渡すのだが……!?
バリッボリッ…
…何だ?この音…剣を食べているだと?どういう事だ!?理解出来ない!
「まぁーずいな!貴様が誰か知らんがもっと美味いの持ってこんかぁ!」
…何故そんなに偉そうに出来るのだ?…!?お嬢様の笑顔?が怖い!!殺気が漏れてます!
「あぁ、やるよ…てめぇが俺の部下になりゃあな。」
「ああぁっ!?何言っとるかぁ!おれ様を誰だと思っぶげ!?」
お嬢様のビンタを喰らい首が一回転したカバ…いや気のせいだな。一回転なんかするわけないし…したら死ぬだろう。
「同じ事二回言うなボケ。ドラム王国元国王様のワポルさんよぉ。」
…!?国王!?こんな下品の塊のようなナマモノが!?
「黒ひげの一味に恐怖して逃亡し、さらに麦わらのルフィに敗北したお前さんはカス以下だぜ?」
このナマモノも麦わらに?…だがこのナマモノ…強いのか?
「さっきから失礼がすぎるぞぉ!そんなに死にたいのかぁ!?」
頼む…声のトーンを二…せめて一つは落としてくれ…
どんっっ!!
お嬢様からあの威圧が…
「まままま…まさかお前あの黒ひげとととと…」
「違うよ。ただ同じようなもんとだけ言っとくか。」
「ここここのおれ様をどうする気だぁ!?このおれ様に手を出したら…」
「元国王に手ぇ出したらどうなるんだい?」
「…まぁ、この場はこれぐらいで勘弁してやろう。それより、この船美味そうだなっ」
とんでもないほど口を大きく開けた…あぁ、カバの血を引いてるんだな。
そのままナマモノは船のへりに食らいつ…
ドゴォッ!
「ぶべっ!?」
「勝手に船食ったらぶち殺しますんで注意してくださ〜い♪」
お嬢様の鉄拳がカバの顔面にめり込む。…まさに拳が鉄の様な色に変化している。あれで殴られると少しの間記憶が飛ぶのがなぁ…クリークが1番よく殴られるが心なしか日を追う毎に平然としている様な…
「さっきから貴様は何だぁ!?…人間には…人間には自由と権利があるんだ!このバカチンがぁ!」
「その前に責任と義務忘れんな…大体、それをてめぇが言うかい?」
グリグリとワポルとやらを踏み付ける。その後も一言喋ろうとする度に足蹴にする。
もうカバの生命力はゼロですよ!お嬢様!
「よ…用件はなんでしょーか…お嬢さん。」
ボロボロになった元王様(笑)がついに折れた。
「どーせお前に帰る道はねぇ…が、俺の手下になりゃもう一度栄光を掴めるかもしれんぜ?
新しい王国を建てれるかもしれねぇ。」
「新しい王国!?…まーはっはっはっ!よくぞ言ってくれたぁ!よかろう…このおれ様ぶげ」
まさかの反省ゼロを披露し再び鉄拳を喰らう…学習しないな〜元王様(笑)は〜
他の者もあまりの馬鹿な様に呆れている。
「おっお前は一体何企んでるんだぁ!?」
「まだ内緒だ♪ま、これからよろしく頼むぜ?ワポルよお。」
「良かろう!ありがたく思…いえなんでもございませんよ?こ、これから頑張りまーす!」
やっと理解したか。こうも物分かりの悪いナマモノも珍しいな。
「良く言った。んじゃあ皆、これからアラバスタに行くぞ〜。で、これから七武海の一人と戦ってもらったりするんでよろしく!」
は?七武海ってあの時の…?
「なに、死なせんから気にすんな。仮に死んでも多分大丈夫だし、そこら辺は俺に任せときゃ良い。」
サラっと恐ろしい事を言われたお嬢様…
一体何が待ってるんだ…