40話「傾国のシオリ海賊団協力組織CP9」
〜ジャブラside〜
フゥ〜…やばかったぜ…まさかおれらごと島を破壊しようとするとはな…あのアホ長官め…
ブルーノのおかげで命拾いした…ホント、無能呼ばわりしてすまんかった。
しっかしよー…これからどうすりゃいいんだ…
おれらは任務に失敗した…多分、いやあのアホの事だ。消しに来るだろうな…
それにしても…聞いた話じゃウォーターセブンでの麦わらの一味とやらは弱かったらしいのに全員負けちまうとは…
おれやブルーノ、フクロウは傷が浅かったが、黒焦げになってたカリファも動けるってどういう事だよ。
だが、残りの3人…カク、クマドリ、そしてルッチがボロボロだった。
おれは腹と左頬が死ぬほど痛ぇがこのぐらいで弱音吐いてたらカリファにしばかれそうだ。
「よよよいっ!ルッチは大丈夫なのか〜カリファ〜!」
お前も重傷のはずなんだがな。こいつは全身の骨が折れてた…だいたい化け物みたいな奴にタコ殴りされたって聞いた時は死んだと思ったぞ。
奴が生命帰還の達人じゃなきゃ死んでたな。今に至ってはもう動けてるし…
一方のルッチがやばかった…なにをどうしたらあんなケガができるんだ?
全身に拳の跡がめりこんでやがった…
ルッチを診ていたカリファが黙り込む。…おい!?
「いつ…死んでもおかしく…ないわ…」
!そんなにかよ!?
「せめてルッチがあの薬を割ってなかったら…」
あの薬?
「カリファ!あれはルッチの意思でした事。ワシらが口を挟める道理はない。」
「なんの事話してるんだ?チャパパパ。」
フクロウは比較的余裕あるな。
「麦わらの一味が来港する前におれ達を襲撃した奴の事だ…その強さは…」
ブルーノがガクガク震えてやがる。カリファも顔真っ青でカクも表情が硬ぇ。
事情を聞くと…信じられん内容だった。道力4000を誇るルッチが赤子扱いされ、4人全員でかかっても傷一つつけられないって…
しかも道力53000ってバカげてやがる…だがカクは嘘はつかんからな…荒唐無稽な話だが…マジらしいな。おれだったら逃げてるぞ。
だが、こうしてまごまごしてる間にも海兵共がワラワラと湧いてきやがる。
…普段ならカスみてぇな奴らなんだが…
しかも、あのスパンダムの差し金だとぉ!?あの野郎…!いくらなんでも手ぇ早すぎだろ!
「まずは…何に代えても逃走ルートの確保をするしかない…行くぞ…ぐっ…」
カクが膝をつく。…ちっ…
「カク、つかまれや。」
テメェがそんな調子じゃこっちもやりにくいんだよ!
で、カクの手を取ろうとしたんだんだが…
「おーおーこっぴどくやられたな…お前ら…」
!?いきなり下品だがかわいい声が聞こえてきた…なっ!?
「なんだ!?めっちゃ美人がっ…」
うぉっすげえ好み……ん?カク達はなんで動揺してんだ?
「け…傾国のシオリ…」
カリファが声を絞り出す。…へっ?それって…
事情をあまり知らないクマドリやフクロウが前に出て挑発してるが…
「うわっカブキ野郎うざっ!実際見てみるとキツイなー!」
言われて凹んでるがフクロウが庇っとる。
「や…止めるんじゃ…そいつには勝てんっ!…」
地にへばり付きながらもカクが叫ぶ。
「別に取って食やしねぇよ…人を犯罪者みたい…あ、犯罪者か。ま、とにかくお前らを始末しにきた訳じゃねぇ」
え?なんだ?こんな時じゃなかったら口説くのに…
「迎えにきたよ!!…なんちて」
えらく猫撫で声だが…迎えってなんだ?くそっ何を考えてんのかさっぱり分からねぇ!
おれらはどうしたらいいんだぁ?
「向こうに海列車の線路がある…そっからなら敵の目も欺けっだろ。前もってあそこら辺にいた奴らはご退場していただいた。
1番近い島は…なんとかの女王の町の…セント・ポプラってトコがある島だったかな…?」
怖っ…なにその邪悪な笑顔…
カク達も油断なく睨みつけてるし…
「ホレっ」
とシオリって美人ちゃんがビンを7本よこした。
「こ、これは…」
カク達が躊躇しながらもビンを拾う。
「今のお前らならコレで体力はけっこう回復できるだろ。
ルッチもこれならなんとか危ない状態は回避できっだろ。」
「……カリファ。」
「えぇ。」
カリファが口移しでルッチに薬とやらを流しこむ。…うらやましいな、ルッチの奴。
「!…なんとか脈拍が落ち着いてきた…命に別状は無くなった…」
マジで!?
「そうか……ワシらも回復するぞ。」
どーやら危ない薬じゃねぇみてぇだな………!こ、こりゃなんてこった…
「回復したよーだな。」
「助けてくれた事には感謝する…だが本当に何が目的じゃ?
この前言った通りなら…返事は変わらんぞ?」
何の話だよ?
「あぁ、別に無理矢理協力しろってこたぁ言わねーよ。アンタらの好きにしたらいいさ。…じゃあな。」
!?消えたぁ!?へっ?まさか走って去ったってのか?どーいうスピードだよ!?
「…………行くぞ。」
複雑な表情をしたカクが立ち上がる。
で、おれらは線路の上を歩いていく。ルッチはクマドリに抱えてもらった。
「なぁ…カク。おれたちゃ政府に捨てられたんだ…このままじゃ野垂れ死にだぜ?あのシオリってのに協力してもらった方が良かったんじゃねぇか?」
「ルッチならこう言うじゃろうな…海賊に平伏すぐらいなら死を選ぶと…」
そりゃそーだろうが…クソッルッチもカクも頭が固ぇな!
その後おれらは無事セント・ポプラに到着した…が、金が無かった!
このままじゃ病院にも行けねぇ!…ルッチはカク達が残した回復薬でなんとかもってはいるが…クソッ一気飲みするんじゃなかった!
…おれらはプライドを捨て路銀稼ぎをする事に決めた。
クマドリは奴の故郷の芸「カブキ」の公演、おれとブルーノは狼の火の輪くぐりショー、カリファは町の清掃、カクはキリンに変身しての子供らの遊具になった。フクロウも子供らにしがみつかれてる。
…なんつーか…おれやクマドリとフクロウなんてこんな真っ当な仕事したの初めてじゃねーか?
日を追うごとにみんなの表情から険しさが取れてる。町の人らと友人になったりもしちまった。
そしてある日…手術代が貯まった!
ヤケに熱い医者達の努力の甲斐あって…ルッチの手術は成功した!
肩の荷が降りたおれらは久しぶりの休暇を取る事にした。こういう町で一般人みたいに普通に買い物や遊びをするなんて初めてかもしれねぇな…
で、ルッチも無事退院出来た。
「………アマクサ・シオリがか…?」
事情を聞いたルッチの表情からはあの姉ちゃんに対して何を思ってるかは分からなかった…
…ある日、ルッチのリハビリを兼ねてボウリングを楽しんでたらヤケに騒がしい。
海賊が攻めてきたよーだ。
ルッチが誰よりも早くここを出た。慌てておれらも着いていく。
ルッチは町にいる奴ら、おれらは奴らの船を制圧したんだが…
町の人らの表情は青ざめていた…
「この町を出ていくか。」
とカク。そこに声がした。
「助けてくれてありがとう!」
少女が花を差し出した……!!?………
なっなんだ?なんで涙が…
ちょっと心が暖まったおれらは海賊の船でCP9の修業場に向かった。
若ぇ奴らがいるな…懐かしいぜ…
生暖かい目で小僧達の修業をのぞき見していたら…海軍が来やがった!
許さねぇぞ?テメェらは!…
だいぶ本調子になってきたルッチを先頭におれらは海軍の追っ手を片付けた。
「カリファ…電伝虫を貸してくれ。」
「聞いていますか?『元』上官。こちら『元』部下ロブ・ルッチ。
あなたに言いたい事がある。」
『なっなんだってんだぁ!?テメェらはもう犯罪者「聞いてください『元』上官。いずれ必ずあなたのもとへ皆で一緒に戻ります。」ヒィっ!?』
「クビを洗って…待っていてください。」
へっ!スパンダムの野郎ビビってたよーだな。いい気味だぜ!
「話はついたよーだな。アンタら。」
……げっ!?また来たぁ!?……隣のピンク髪の女は誰だぁ?なんかロリっぽくてイマイチ好みじゃねーなぁ…後6〜7年後に期待かな…
「ホロホロホロ〜…誰だコイツらは?」
となんかエラソーなゴスロリ娘。
「世界政府の組織の一つCP9だ。裏切り者の烙印をバカになすりつけられちまったがな。
よう、ロブ・ルッチ、元気か?」
「……邪魔をするなら…力ずくで通してもらう…」
え!?ルッチでも歯が立たねーんだろ!?マズくねーか!?
「手を組まねぇか?」
「!?」
「海賊嫌いってのは知ってる。だから仲間になれなんて言わねーよ。
…けど船一隻で世界政府にケンカ売っても無駄死するだけだ。どーせスパ………長官は奥に引っ込んで出てこねーだろうし。」
スパンダム…
「断る…我々だけで十分『麦わらのルフィに勝ちたくないか?』!?」
ルッチがギョッとする。
たしかルッチを倒したとかいうあのチビか…挑まなくてよかった…とあん時思っちまったよ。
「衣食住提供してさらにアンタらを今より強くしてやる。
見返りとしてウチのモンを扱いてくれるとありがたい。」
「………っ!」
「ルッチ、ここはお主の判断に委ねる。どちらを選んでもワシらは一緒じゃ。」
「…………………………分かった。貴様の申し出を受けよう。だが目的を果たした後…おれは貴様の命をもらいにいくぞ。」
「そりゃありがたい。挑んでくる奴は大歓迎だ!」
なんでそんなにうれしそうなの!?コイツもルッチと同類なのかぁ!?
「じゃ、誘導すっから着いてこい。ペローナはそっちに乗せてもらえ。」
「じゃあ邪魔するぞ〜」
「勝手にしろ。」
姉ちゃんはどうす…………「ぎゃーーー!?」
姉ちゃんが巨大な海蛇になりやがった!なんだこの威圧感…
「……これが奴の真髄か……面白い…」
も、燃えてる!やっぱ戦闘狂だ!コイツは!