51話「マゼランの絶望感は異常」
〜インペルダウン監獄署長マゼランside〜
う〜む…まさか…このインペルダウンに堂々と侵入してくる者がいるとはな…
モンキー・D・ルフィ…通称麦わらのルフィ。エニエス・ロビーを陥とした規格外か…
だが、目的がどうであれ…エニエス・ロビーの時の様に上手く行くとは思わん事だ…
が、道化のバギー、バロックワークス元社員ギャルディーノ(Mr.3)はともかく…傾国のシオリ…なぜヤツまで来た?
…シャボンディ諸島であのパシフィスタを強奪し、更に大将黄猿殿とも引き分けたという怪物…
ヤツから目を離す訳にはいかんな…しかし…
「監視電伝虫に写っている傾国のシオリがずっとピースサインしていますっ!」
…監視の目に気づいていて放置とは…読めん…
「それより署長!出来れば早くトイレから出てきてくださ〜い!」
報告した者が悲痛な声を上げるが…仕方なかろう。腹が痛くては戦が出来ん。
その後、ミノタウロスが倒されたという報告が入る…
両者共に戦闘能力は高いか…仕方ない。おれが直々に相手するしかあるまい。
ここレベル4と3との間の連絡通路前をハンニャバル、レベル5への階段の守護をサディちゃんに任せるか…
ヤツらが調理場に向かっているという情報が入り『毒の道(ベノム・ロード)』で急行。目標を捕捉した。
「なんだ?ゼリー?う○こ?」
「上ぇ見ろ。」
おれの気配を察知するか…傾国のシオリめ…だが関係ない。
ドスゥンッ!!
ちょうど麦わらの目の前に着地する。
「なんだよ。もう少しでんまそうな匂いのとこに行けんのに…誰だお前?」
どうやらベストコンディションではない様だな…どうでもいいが。
「ここのボス…ドクドクの実の猛毒人間のマゼランだ。アホみてぇに強ぇぞ。
相手に触れないと攻撃出来ないお前とは相性最悪だ。」
おれの事を知っている様だが…今なお大胆不敵な笑みを崩しておらん。
…海賊女帝ボア・ハンコックに匹敵する美貌だが…海賊ならば始末せねばならん。
「ギャァァっ〜〜!!マゼランはやべぇぇ〜!逃げるしかねぇぇぇっ〜!」
コイツら二匹は後回しでよいか。
「そこの麦わらのルフィ…貴様の目的は分かっている。ポートガス・D・エースの元にはいかせん
…だが傾国のシオリ…貴様は何を企んでおる?今すぐ吐けば楽に死なせてやろう。」
「さあてな…力ずくで吐かせてみなよ…」
ビリッ…
ぬぅ…やはりコイツ…覇気を扱うか…そんじょそこらの覇気使いならば敵ではないが…黄猿殿クラスの実力者か……
「初めから全力を出させてもらうぞ…そうでなければこちらが負けかねんのでな……『毒竜(ヒドラ)』!!」
「うわ!なんだぁ!?ドラゴンかぁ!?」
「ルフィ、お前ら、下がって…いや、この隙に食糧庫に行ってな。後で追いつく。」
「……分かった。気をつけろよ!」
「逃がすか!毒ガス弾(クロロ・ボール)!」
傾国は水を使う以外詳細が不明だが、麦わらはゴム…パラミシア。毒を無効化出来まい。
「ウォーターバズーカ!」
!水の大砲が相殺しおった…あれでは毒が飛散せん…
「確か…水使いだったか…ヒトヒトの実・モデル・人魚らしいな?」
「当たり♪」
水使いとは…つくづく能力者には鬼門だな…
しかし、くそ…麦わらを行かせるとは…毒の道で追おうとしても阻まれるだろうな…こやつには。
「毒フグ!!」
「……水流葬送!」
むっ…!水で包みこむとは…しかし…どうやれば水で我が毒を…だが手をこまねく訳にはいかん。
「毒・雲」
ブレスにより生まれる毒を含んだ霧…
「ウォータートルネード!!」
水の竜巻とは……完全に霧散されてしまったか!…
ぐぬう…こうも距離を取られては分が悪すぎる…
「確かにアンタの毒はめちゃくちゃ怖ぇが…当たらなきゃ意味がねぇ。…アンタは遅すぎる。
ウチには雷速の奴がいるし俺はそいつに対応できる。
それにこの前黄猿と戦って光速には慣れてる…」
そうだな…目で追うのも無理がありすぎるスピードだ…これほどとは…弱点はないのか…?
「そしてアンタの体自体は普通の人間と変わらねぇ。攻撃が当たりゃダメージをくらうだろう?
しかも俺は近距離から遠距離全てのスペシャリストだ。
それでも…やるかい?」
…確かにそうだろうな…黄猿殿に手傷さえ負わせる技量…そして能力の相性…この場所ではおれに勝ち目は薄いだろう。
奥の手はここでは使えんのが痛いな…
「だが…この世に悪を蔓延らせる訳にはいかんのだ!海賊よ!!」
「!……さすがだな。さすがマゼラン。俺はそこに痺れるし憧れる。
…だから…あんたには奥の手を見せてやるよ…黄猿にも見せる必要がなかったのをな…」
ゴゴゴゴゴ…
傾国のシオリの姿が…!?
〜サディちゃんside〜
署長…遅いわねぇ〜ん…麦わらって子、そんなに手ごわいのかしらぁ〜?
私も一度イジメたかったわ〜ん♪
「サディ獄卒ちょ」バシィッ
「ぎゃあ!?」
「サディちゃんとお呼び!!
…う〜ん、たまんないわぁ…その悲鳴♪」
「サ、サディちゃん!前方から浸入者が!」
あら、誰かしら?
「アナタはだあれ?」
かわいい女の子とかわいい男の子と…フケた赤っ鼻と冴えないおじさんかぁ…
「ゲップ…うぷ…食いすぎた…ああ失礼。
よぉサディちゃん会いたかったぜぇ…ヒマがあったらお前を手に入れたかったが、今回はお流れだ…
下に行きてぇんで…通らせてもらうぜ?」
あらぁ?女の子は私の事知ってるみたぁい…しかも手に入れたいだなんてぇ…けど…
「マゼラン署長ちゃんは…?」
どうやって振り切ってきたのかしら?
「マゼランは美味かった…ゲプ…」
膨れたお腹をさすりながらとんでもない事を言い出したわ〜ちょっと…冗談よね?
「なんて…嘘に決まってんだろ。あんな毒物野郎なんか食ったら食中毒死するわ!
ま、んな事はどーでもいいんだ…さっさと道をゆずらなきゃ…あんな事やこんな事しちゃうぞ〜」
なにそれ?怖い事言わないでよねぇん!
「私はイジメられるのは好きじゃないのよぉ〜獄卒獣ちゃん達ぃ…やっておしまい!」
「アラホラサッサーWWWWW」
女の子が訳分かんない事返してきたわぁ!?
「うぉっ!?さっきの牛のヤツみてぇだ!」
「「ぎゃああああ!!3匹もいるう〜〜!?」」
ウフフフフッいい悲鳴を聞か「メイルシュトローム!!」
!!??きゃ〜〜〜!?なんでこんなところに津波が〜〜〜!!?
………………………