荒神はアレイスターに呼ばれ、窓のないビルに来ている。
「何の用だ?」
いつも通り、壁を通って入って来た。
「その入り方は止めて欲しいモノだな」
「本題に入れ」
冷静に言い返す荒神。
勿論今のが本題な訳がない。
「お前が、『神の右席』前方のヴェントを倒した事で、ローマ正教内がパニック状態だ」
その言葉に荒神は黙って聞いていた。
「元々ヴェントが学園都市内に入ったのは、上条当麻の撃破が目的だったのだが、たまたま居合わせたお前が、そ
の邪魔をしつつ、『神の右席』を倒した。お前は此れからローマ正教に追われるだろう」
「なに?心配してんの?」
一つため息を付き、床に胡座をかいて座った。
「学園都市が再びパニックになる可能性が在る」
「・・・・・・」
黙ることしか出来なかった。
この状況で、自分の出来る事は何なのか・・・・・・
出来るとすれば、学園都市から出る事だけ。
「一様聞いておくが、俺は何をすれば?」
胡座を描いていた足を崩し、もう一度立ち上がる。
「学園都市を私が連絡するまで、出ててくれ」
「もう一つ聞きたい事が有るんだが、良いか?」
アレイスターは黙っている。
その行動に、荒神は(答えても良い)と取った。
「俺は何処の国に行けば良いんだ?」
「フランスだ」
その言葉には、何か意味が有るのだろう。
荒神は言われるがままに、フランスに向かった。
勿論飛行機は使わない。
金の無駄だからな。
数時間掛かり、フランスに付いた。
「一先ず、記憶を帰る能力を結構使う羽目に成だろうな」
一旦フランスまで来るのに疲れたため、服を買い換えたあと、カフェで一息付くことにした。
服屋に来た荒神は、女性の定員にフランス語で、「この服は何円ですか?」と訪ねた。
定員はしょぽんとした顔で荒神を見ていた。
(言葉は合ってる筈だが)
すると、店員の口が開いた。
「お客様、こちらの品は、ご自由に取って良い物となっています」
丁寧に説明してくれた。
その服の置いてあった場所をよーく見ていなかったからだろう。
「・・・・・・ッ」
自分の視界の小ささに、切なくなってしまった。
だが、今は此処から去らねば、恥ずかしいため、腰を曲げドアへ向かった。
店員は最後に日本語で、「また来てください」と言ってきた。
荒神は振り返り、その店員を見ると、笑顔だった。
一方の荒神は、無言で外へ出た。