小説『Tales Of The Abyss 〜Another story〜 』
作者:じーく()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

#18 チーグルの森・接触と真相



























チーグルを追いかけたどり着いたのは……。

巨大な木がある少し開けた場所だった。

「こん中に入って行ったぞ?」

「チーグルは木の幹を住処としていますから。」

木を見ながらイオンは言う。

というかそれ以前に、

「へぇ…… よく見たらこの辺りにこの森では無い果物が落ちてる……何か印?見たいなのもあるし、これで間違いないよな?。」

そう……食い散らかしてる感じ?

ちょこちょこ落ちてた。

ぱっと見、食い散らかしてるーっぽい感じだけど……何か違う……

沢山盗ってきて…落としたって感じかな…?

「ひょっとして…… 食べるのが目的じゃなかったりしたりするかも……」

アルは呟く……。

「ええ・・・そうですねアル。とりあえずチーグルに聞いてみましょう。」

チーグルに聞く?

魔物と?

さすがにそんなことが出来る事は知らなかった為。

若干ポカーンとしていた・・・・ 苦笑

まあ入ってみれば分かるか・・・

そしてチーグルの住処と思われる木へ入っていった。



「おまえたち・・・ユリア・ジュエの縁者か?」

声・・・が聞えてきた。

そして大量のチーグルも一緒に・・・

「うわ・・・めちゃくちゃいるな・・・それに人の言葉を話せるんだ.・・・・」

声に出てしまう・・・

「なんだァ こいつら!?ウジャウジャ出てきやがって・・・ 魔物の癖に人間の言葉をしゃべってんぞ!?どうなってんだ??」

ルークも同様のようだった。

そこへイオンが、

「大丈夫ですよ アル、ルークあれはソーサラーリングの力でしょう。」

説明してくれた。

「へぇ・・・あれがユリアとの契約で与えられたって言う・・・」

マジマジと見ていると・・・

リングを持っているもチーグルが話しだした。

「左様。このリングはユリア・ジュエとの契約によって与えられたものだ。」

肯定してくれた。

「僕はローレライ教団導師イオンと申します チーグル族の長とお見受けしますが?」

「いかにも・・・」

イオンが長と話していると・・・

「おい魔物!!お前らエンゲーブで食い物盗んだんだろ!」

ルークが割ってはいる。

すると突然の事にみんなが慌てだした・・・

「ルーク、まあ十中八九チーグルたちが犯人だとは思うけどさ、もうちょっと穏便にしようよ。みんな怯えてるよ?」

とりあえずアルがルークをなだめる。

なだめれないと思ったけどね。

「だー!こいつらのせいでオレが泥棒扱いされたんだぞ!!」

やっぱり・・・

「まーまー、とりあえず訳を聞こうよ。幸いな事に言葉は通じるんだしさ。」

「彼の言うとおりよ。ルーク。(・・・・・カワイイ///)」

ティアは賛同してくれた。

何やらチラチラとチーグルたちを見てたみたいだけど。


「?」


ティアはアルの視線に気付いたようだ

「!!なんでもないわ!!」

そう言ってソッポ向いていた・・・ 苦笑


「チーグルは草食ですよね? 何故人間の食べ物を?この森は緑が豊かなようですし・・・」

あーだこーだ言ってる3人を置いといて・・・

イオンが話を進めた。


チーグルの長はその言葉に言葉を詰まらせる・・・

「・・・我らの仲間が・・・ 北の地で火事を起こしてしまった・・・ その結果 北の一帯を住処としていた「ライガ」がこの森へ移動してきたのだ・・・ 我らをエサとするために!!」

長老の表情は苦痛でいっぱいだった・・・

「では 村の食料を奪ったのは仲間がライガに食べられない為・・・?」

「そうだ・・・定期的に食料を届けぬとヤツらは我らの仲間をさらって喰う・・・」

・・・言葉が見つからなかった。

「それは・・・酷いな・・・ いくらなんでも」

アルは暫く言葉が出てこなかったが、出てきた言葉が「酷い」だ。


本来・・・

獣は生きる為に・・・そして家族の為に獲物を狩る。

それが自然な事だ。

だが・・・ 脅し・・・食料を届けさせる・・・

人で言えば奴隷も同じ・・・

「そう・・・ですね・・・」

イオンも同様だった。

だけど、

「弱いもんが喰われるのは当たり前だろ? 大体自業自得じゃねーか。」

ルークが言っている事は確かに正しいが・・・

「オレは・・・そればっかりは賛成できないなルーク。」

これまで、なだめたり・・・ てきとうに受け流したり・・・ していたアルだったが、

今回は真っ向から反対した。

「あん?なんでだよ!」

「生き物は生き残る為に獲物を狩るそれが自然。だが、ライガと言う魔物は定期的に食料を要求している。それも脅しで・・・。そんなの人間同士であらわせばそれは奴隷と同じだろう・・・? オレはそんなのは納得できない。」

アルはキッパリとそう言い切った。

「アル・・・ はい。そうですね・・・ アルの言う事もよく分かります。それにこれが本来の食物連鎖ではありません。」

イオンはアルの意見に賛成のようだ。

ルークはやはり渋っていた。

そこへティアが・・・

「ルーク・・・ 犯人はチーグルと判明したけど この後どうするつもり?」

ルークに聞いた。

「そりゃ 村に突き出して・・・」

「そうしたら今度はエサを求めてライガが村を襲うでしょうね。」

そう・・・なるな。

「ええぇ!? あんな村どうなろうと知ったこっちゃねーよ!」

それはいくらなんでもあんまりじゃないか・・・

そう思って言おうとしたが、イオンに止められた。

「エンゲーブは食料の町。そしてその食料は世界中に出荷されています。それでは大変な規模の食糧問題となってしまう。」

イオンは・・・反論できない且つ・・・ 不快感をルークに与えないように言った。

(イオンありがとな。オレ強く言いそうだったよ。)

小声でイオンに礼を言う。

イオンは軽く頷き笑っていた。


「でもよー じゃあどうすんだ?」

ルークがそう言うと。

「ライガと交渉しましょう。」

イオンが言った。

「ライガっていう魔物も話せるんだ・・・」

アルがそう呟くと。

「いいえ、僕らだけじゃ無理ですが チーグル族の誰かに訳してもらえれば・・・」

「ああ、なるほど・・・」

納得した。

食料を要求している以上・・・

チーグルとライガはちゃんと言葉が通じてはいるようだ。

納得していると・・・

「では通訳の者にわしのソーサラーリングを貸し与えよう・・・」

長がそう言うと、1匹のチーグルを呼び出した。



ちょこん!!


っと出てきた子どものチーグル。

「この仔どもが北の地で火事を起こした同胞だ。これを連れて行ってくれ」

そう言うと長の持っていたリングを渡す・・・

すると・・

「ボクはミュウですの よろしくお願いするですの!!」

急に喋りだした!!

リングが合わないのか、動きずらそうにしていて・・・


ぼてっ・・・・「あう・・・」


転んだ。

「おい!!なんかむかつくぞ!!コイツ!!」

「ごめんなさいですの!ごめんなさいですの!!」

何か分からんがルークがイラついている・・・

「まーまー・・・」

アルがいつもどおり なだめようとし・・・

イオンは微笑みながら見ていた。

んで、ティアは・・・


「かわいい・・・・・・」

またまた顔を赤面させていた。

何はともあれ新しい仲間?と共に

ライガがいると言う祠へと向かった。




-20-
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える