小説『Believe 1』
作者:Bor Choko()

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 昼休み。いつもどおり屋上での昼食。最近は雨が降らないため、食事は充実していた。冬のときの場所を確保しないとなと考える。9月の下旬の風は少し肌寒くなってきている。
「……」
 最近聞こえていたいきなりの扉の音はしない。当たり前だよな、と考える。

ガチャッ、

「!!」
 嘘だろ、と驚き扉を見る。そこに立っていたのは清奈、ではなくあの編みこみ少女だった。
「ありがとっ!」
 彼女は千尋の姿を見つけるとそう叫び近づいてきた。千尋は軽く引いていた。
「清奈ちゃんがねっ、私と今度の土曜日一緒に買い物に行こうって誘ってくれたんだっ。やった、やった!」
 1人で喜んでいる。千尋にとっては異常だった。
「あのさ、1つ聞いていいか?」
「ん?何かな?」
 編みこみ少女は嬉しそうな顔のまま言った。
「お前と木野の関係って何だ?」
 その瞬間あみこみ少女の表情が凍る。地雷を踏んだかと焦ったが、少女の表情はすぐに戻ったことで少し安心する。
「ん、とね。それは、友達、だよ。うん、友達。だって小学校からの友達だもん。そうだよ」
 あきらかにおかしい。そして。
「“私の、私だけの、私のための、私にとってたった1人の友達”だもん」
 千尋はあきらかに風のせいではない寒気が走る。自分だけの友達。自分のためだけの友達、だって?おかしい、それはおかしい。それはただの“独占欲”じゃないか。
「そうか。仲良いんだな」
 それだけは口から絞りだせた。
「うんっ!」
 本当に嬉しそうに、無邪気に、少女は笑ってそう言った。

 それは奇妙すぎた。

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