「――君と友達になりたい」
「!!」
千尋に衝撃が走る。
「わ、私なんかと友達になってお前は何を得するんだ?」
ぎゅっと眉を寄せ、真偽をさぐるように千尋が反論する。それはあまりにも説得力がなかった。
「君とは本当に出来そうな気がするんだよ。よい人生に」
満面の笑みで清奈は言う。
「だから、教えてくれないかな?君が友達を作れない……作らない理由」
そこで千尋は沈黙する。
清奈はただ沈黙して、千尋の言葉を待っている。
「はあ……」
千尋が息を吐いた。
「まあ……いいか」
諦めた声を出す。
「たいしたことない、呆れるような話だぞ。がっかりすんなよ。お前から言えって言ってきたんだからな」
「もちろんだよ」
少女は語る。偽物を演じ、本物を知らない少女のために。本物をよく知った、いや、知りすぎた少女は語る。