小説『混沌の魔術師と天空の巫女』
作者:白鋼()

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               第1章 ニルバァーナ

               ニルバァーナの秘密                  



ジェラール・・・一体・・・どうしたんだ・・・本当に・・・。

「皆、ナツ君を追うんだ。」

「ナツ・・・ジェラールとか言ってなかった?」

「説明は後!!それより今はナツを・・・。」

「「あーーーーーーっ!!!!」」

シャルルとミントが何かに驚いていた。

「どうし・・・あれ?」

「エルザがいない!!!」

「!!」

「あ・・・ああ・・・。」

「なんなのよあの女!!ウェンディに一言も礼もなしに!!!」

「エルザ・・・もしかしてジェラールって名前を聞いて・・・。」

「(そう言えば、ナツさん・・・
 エルザさんにはジェラールを会わせないって・・・どういう事だ・・・?)」

「どうしよう・・・私のせいだ・・・。」

「ウェンディ・・・?」

「私がジェラールを治したせいで・・・・・・・
 ニルバァーナ見つかっちゃってエルザさんや・・・ナツさんや・・・。」

「!!」

「(まずい・・・!)」

「ウェンディ!!」

俺はつい、ウェンディ抱きしめ、大声を出した。

「お前はエルザさんを救った!!」

「お兄・・・ちゃん・・・?」

「お前は・・・人の命を救った!!!救うのは簡単そうで難しい事だ!!!
 お前のせいじゃね・・・だから大丈夫だ・・・俺がいるから!!」

「お兄ちゃん・・・。」

俺は・・・分かってやったのかどうかは知らないが、
ウェンディから・・・ものすごく嫌な予感がして・・・ほっとけなかった。
でも・・・これがニルバァーナの・・・。

「お兄ちゃん・・・。」

ウェンディは涙を流し、俺の服を握り、気を失った。

「ウェンディ!?」

「・・・どうやら寝てるだけだ。大丈夫だ。」

「そう・・・。」

「何かわからなかったけど・・・あんたのお陰で安心したわ。」

「それじゃあ、悪いけど・・・ナツ君を追ううよ。」

「はい!」

行こう・・・ジェラール・・・お前に直接会って、聞きたい・・・!!



































走っている途中・・・

「コージ君、ちょっと聞いていいかな?」

「はい?一体何を?」

「君はひょっとして・・・ニルバァーナについて何か知ってるのかい?」

「・・・・・・・。」

「どういうことなの?」

シャルルがそう言った。

「さっきウェンディちゃんを落ち着かせた時、
 なんだかそんな性格にはさせたくないって感じがしたんだ。」

「それとニルバァーナについてって何か関係があるの?」

ミントはそう言った。

「・・・あるさ。」

「「「「?」」」」

「ニルバァーナ・・・それは光と闇を入れ替える魔法だ・・・。」

「光と・・・」

「闇を・・・」

「「入れ替える!!?」」

「やっぱり・・・僕も知ってはいた。ただ、その性質上は誰にも言えなかった。」

「どうして?」

「この魔法は意識してしまうと危険なんだ。」

「そう。だから一夜さんもレンもイヴも知らない、
 僕だけがマスターから聞かされている。」

「俺もニルバァーナの事は、マスターから聞いた。
 もっとも、それは最終段階になったらだし、それ以上の事は知らない。」

「取りあえず、まず封印が解かれると黒い光が上がる。まさにあの光だ。」

ヒビキさんは黒い柱の光を見てそう言った。

「黒い光は手始めに光と闇の狭間ににいる者を逆の属性にする。」

「強烈な負の感情を持っちまうと光の者は闇に落ちる。」

俺はそう言った。

「じゃあ、コージ君がウェンディをああ言ったのも・・・。」

「そういう事だ。」

「“自責の念”は負の感情だからね。
 コージ君が何とかしていなかったら、
 ウェンディちゃんは闇に落ちていたのかもしれない。」

「落ちたかもしれないんじゃない・・・落ちそうになったんだ・・・。
 俺は闇の滅竜魔導士、闇の魔法だけじゃない、
 その人の感情が危ないと感じる事もできる。」

「すごいな・・・!」

「それはそれでいいけど・・・」

「どうしたミント?」

「私・・・意味がわからないんだけど・・・。」

「オイラも。」

「おいおい。」

「あんた達バカでしょ。つまり、ニルバァーナの封印が解かれた時、
 正義と悪とで心が動いている者が性格変わっちゃうって事でしょ。」

「その通りだ。だから話せれなかったんだ。」

「それは僕も同じだ。
 人間は物事の善悪を意識し始めると思いもよらない負の感情を生む。」

「それがニルバァーナによってジャッジされてしまうんだ。」

「・・・そのニルバァーナが完全に起動したら、
 あたし達みんな悪人になっちゃうの?」

「まぁ、そうなるね。」

「でもさ・・・それって逆に闇ギルドの奴等は
 いい人になっちゃうってことでしょ?」

「それもなる。」

「ただ、ニルバァーナの恐ろしさはどれを意図的にコントロールできる点なんだ。」

「ええ!?」

「そんな!!!」

ヒビキさんの言葉にルーシィさんとミントは驚く。

「例えるなら、あるギルドに対してニルバァーナが使われたとしたら・・・。」

「仲間同士の躊躇なしの殺し合い・・・。」

「他のギルドとの何の理由もない戦争。」

「そんな事が簡単に起こせる。」

「だから一刻も早く止めないと、光のギルドは全滅する!」

早くしないと・・・!そしてジェラール・・・お前は一体どうしたんだ・・・?

「ナツはこっちへ行ったみたいだよ!」

「それじゃあ早く急ごう!」

「・・・あの、ルーシィさん・・・。」

「何?」

「あなたは・・・ジェラールについて何かしってるんですか・・・?」

「・・・詳しくは知らないけど・・・エルザを・・・。」

ルーシィさんは話してくれた。楽園の塔で黒魔導士ゼブラの復活についても・・・。

「・・・信じられない・・・俺の知ってるジェラールがそんな事を・・・!」

「悪いんだけど・・・全部事実なの・・・。」

「・・・・・・・・。」

ジェラール・・・お前はどうして・・・何で・・・!

「待ちやがれ!!」

「!?」

「何っ!?」

「俺達、コブラ直属ギルド『暗黒の鳥(ダーク・バード)』だ!!」

「『暗黒の鳥(ダーク・バード)』だと!?」

俺がさっき戦ったあの飛行船の奴ら、生きてたのかよ・・・。

「そこの小僧!さっきはよくもやってくれたな!!」

「知ってたんだ。」

「テメェだけは許さねぇぞ・・・!」

「・・・ヒビキさん、ウェンディをお願いします。」

俺は抱いてたウェンディをヒビキさんに預ける。

「こいつは俺が相手します。すぐに追いつきますので。」

「で、でも・・・!」

「ルーシィさんもナツさんを追ってください!」

「・・・・・・。」

「コージの言う通りにしなさい。コージなら大丈夫よ。」

「・・・分かった。行こう!」

「うん!」

「あいさ!」

ヒビキさん達はそのままナツさんの後を追った。

「私も手伝うよー!」

「ミント・・・。」

「さっき岩にぶつけた奴をひっかいてやるわ!」

「・・・勝手にしてな!」

「行くぞ!!」

「「「「「おおー!!」」」」」

「相手してやるぜ!!光竜の咆哮!!!」

さっさと終わらせる為、一気にケリをつける・・・!

「ぐあぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!」

「うわあああああああっ!!!!!!」

「ぎゃあああああああっ!!!!!!」

「光竜の鉄拳!!」

どーん!

「ぐおおおおおおっ!!!!!」

「あああああああっ!!!!!」

「ひええええええっ!!!!!」

「こっち、こっち!」

「この猫が!!」

「うわっ!危ねぇ!!」

「何やってんだよ!!」

「うるさい!!」

「きゃはははっ!!」

ミントは攻撃をかわしていた。

「小僧が・・・!喰らえ!」

1人の男が魔法で岩を出し、俺に投げつけてきた。

「遅い。」

びゅん!

「なっ!!」

「光竜の鉄拳!!」

ズドォォォォォーーーーン!!

「ぐあああああああっ!!!!!!!!」

「「「「「「ぐわああああああああああああっ!!!!!!」」」」」」

「ふん。」

これで全員、やっつけたぜ。

「やったー!!!」

「ミント、早く行くぞ。」

俺はダッシュで走る。

「待って〜!!」





































夕方、岩場にて・・・

「私・・・来なきゃよかったかな・・・・・・。」

「まーたそういう事言うの?ウェンディは。」

「だってぇ・・・。」

「だってじゃないぞ、ウェンディ。」

ウェンディの言葉に俺はそう返した。

「コージ!」

「お兄ちゃん!!」

「探したぜ。ウェンディの事だから、またネガティブな事を考えてたんだろ?」

「あぅ・・・。」

「鋭い読みね。」

「だって私・・・。」

「はい、考えない。また闇に落ちる気か?」

「うぅ・・・ごめんなさい・・・。」

「ウェンディがいなかったら、エルザさんは助からんかったんだぞ?」

「・・・・・・。」

「大丈夫。まだニルバァーナが見つかったって訳じゃないから。」

「そうだよ。コージのいう通りだよ。」

俺の言葉にミントも続けて言う。

「ねえ、1つ聞いていい?」

「何だ?」

シャルルが何か聞きたい事があるみたいだから、俺はそう言い返した。

「何なのあのジェラールって、恩人とか言ってたけど。」

「私達も聞いてみたよ〜。」

「そういや話してなかったな。実は・・・」

俺はミントとシャルルに全てを話した。

「アニマ!?」

「ああ、ジェラールはそう言った。」

「私達にはよくわからないけど、危険だから近くのギルドに預けてくれたの。」

「それが・・・『化猫の宿(ケット・シェルター)』だ。」

「で・・・ジェラールはどうなったの?」

「あれ以来、会っていない。」

「その後・・・噂でジェラールにそっくりの評議員の話や
 最近でとても悪い事をしてたって話も聞いた。」

「俺は信じなかったけどな。俺は決して忘れない・・・あの時の約束・・・。」






































『ジェラール!』

『?』

『いつかまた会おう!絶対に!!約束だぞ!!!』

『・・・わかった。絶対に・・・会うよ!』

『ジェラール・・・!』

『その時まで・・・』

『さよならはなしだ。』

『え?』

『また会おう!』

『・・・ああ!また会おう!!』









































「この7年間・・・忘れた事はない・・・。」

「「コージ・・・?」」

「お兄ちゃん・・・?」

「さぁ、行こうぜ。ニルバァーナを止めに!」

「うん!」

「そうね。」

「はーい!」

「じゃあ、出ぱ・・・!?」

俺の眼に見えたのは、
黒い光を放っていたはずニルバァーナが白い光へと変わっていた。

「まさか・・・!」

「どうしたの・・・?」

「飛ぶぞ!!」

「「「え?」」」

「いいから早く!!!」

「う、うん。」

「何よ、一体・・・!」

俺とミントとシャルルは(エーラ)を出し、俺はウェンディを抱えて空を飛び、2匹も飛ぶ。

「!!」

俺の眼に見えたのは地面を割り、
その下から出てきたのは6つの足を持った岩の化け物のよなのだった。
中心に古代都市をのような町があり、
そこから巨大な6つの足が伸びている、そんな姿をしていた。

そして・・・

「これが・・・ニルバァーナ・・・!」

ニルバァーナが復活してしまった・・・!

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