小説『混沌の魔術師と天空の巫女』
作者:白鋼()

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                第2章 新たなるギルド
                   
                   竜の誘い



ある日・・・

「ドラゴンを見た?」

グレイさんがそういう情報があるとナツさんと俺、ウェンディと一緒に聞いていた。

「なぁ、そのドラゴンて、イグニールか?」

ナツさんは1番に気になっている事をグレイさんに行った。

「そこまでは解らねぇ。」

グレイさんはそう言った。

「お前・・・ドラゴンを見たって奴に会ったのか?」

「いや、街で噂を聞いたんだ。ダフネって奴が、
 ドラゴンの事を得意気に話してるんだと。
 ただ見ただけじゃなく、最近・・・会ったとも言ってるらしい・・・。」

何だか本当かどうか怪しいですが・・・。

「ホントか!本当なんだな!」

「確かめる価値は・・・あるだろ?」

「どこにいるって?」

「西の荒れ地にある、ライズって宿だ。」

「よっしゃー!行くぞハッピー!」

「あいさー!」

どうやらナツさんは行く気みたいだそうだ。すると・・・

「私も行きます!そのドラゴン、グランディーネかもしれないから!!」

「・・・ウェンディが行くなら、俺もついて行く。」

俺の妹だからな・・・なんてね・・・。

「じゃあ行ってみるか。お前も来るか?」

ナツさんがそう言ったのは、もう1人の滅竜魔導士(ドラゴン・スレイヤー)ガジルさんだった。

「行かねーよ。どーせガセネタだろ。行くだけ無駄だ。」

「そんなのわかんねーだろ?」

「そう言って飛び出して、今まで何度ガセネタに踊らされてきた!
 ドラゴンの話ってのはな、人を引き付ける!
 だから利用される!ちったぁ学習しろ。」

ガジルさんの言うとおりかもしれませんが・・・

「お前だって会いたいだろ!メタリカーナに!」

「会ってどうしようってんだ、突然消えちまう様な勝手な奴なんざ、
 俺はどうでもいい!」

「ガジルさん・・・。」

「・・・・・・。」

「とか何とか言って、本当は会いたいのよ。」

「私もそう思う。」

ルーシィさんとレビィさんがそう言っていた。

「グランディーネかお兄ちゃんの方のドラゴンだといいね。」

「あ・・・ああ・・・そうだな・・・。」

なんだろう・・・この違うように思えるのは・・・。

「でもあんまり、期待しない方がいいかもしれないわ。」

「その時はその時だ。」

シャルルの言葉に俺はそう言う。

「お前にしては、まともなネタじゃねーか。」

「まーあな。」

「行こうぜ!コージ!ウェンディ!!」

「「はい!」」

こうして、ナツさんとハッピー、
俺、ウェンディとシャルル、ミントと一緒にライズという宿へ行く。




































数分後、ライズへ到着したが・・・。

「ボロイね・・・。」

ミントがそう言う。・・・確かに、ボロイが・・・。

「本当にここか?」

「どう見ても営業してなさそうだよ〜。」

ナツさんとミントが思った事をいう。

「そんなこと言っても、他に荒れ地に建っているような宿はありませんが・・・。」

「誰もいないね・・・。」

「無人のはずよ。ほら、これ。」

シャルルが指をさしたのは、魔水晶(ラクリマ)であった。

「何だこれ?」

「これは・・・全自動魔水晶(ラクリマ)式宿泊管理システムですね。
 チェックインもチェックアウトもこれ1台で全部できるんです。」

「へぇ〜。」

「でも・・・宿の人はともかく、お客の姿がありません・・・。」

「グレイの奴・・・またガセかよ!」

「まだそうと決めつけるのは早いですよ。
 誰かいるかもしれません、お部屋を1つ1つ確かめてみたらどうでしょう」

「そうだな、手分けして探してみましょう。」

ウェンディの案により、人探しが始まった。
この宿は3階建てとなっており、1つの階に数十ほど、部屋があった。
ノックして確認したり、入って確認するなどをした。
途中でシャルルとミントがドアノブを壊したりなどありました・・・。


































それから・・・

「結局、ここまで誰もいなかったね。」

「最後はこの部屋だけか・・・。」

3階の1番奥にあった部屋の前に俺達はいたが、この部屋のドアが怪しい・・・。

「つうか、あきらかにここだけ怪しいだろ。」

変な猫の形をした巨大な人形かぬいぐるみがいた。
左右の壁から突き出ている2体、ドアの横の近くに置いてる2体、
ドアの形をしたのが1体、そして上のも1体、計6体。
というか、1体上の奴はハッピーに似ていますけど・・・。

「おい!誰かいんのか!!」


































「ハイハイ。」

「!!」

「おっ!」

「いた!!」

声はどうやら女性だな。

「開けてくれ!ダフネって奴か!!」

ナツさんがドアの近くにやってくると、ドアが開いた。

「ハイハイ、ダフネさんは私だけど?」

ドアからはメガネをかけた女性が出てきた。
とてもだるそうな感じで・・・

「ちょっと話があるんだ・・・。」

「ハイハイハイ!話しね話し!! 
 もしかしてもしかしなくてもお客さんね!!!」

そう言うと、ダフネさんは扉をドカンと開け広げた。

「あ、あの〜俺達は・・・」

「入って入って入ってちょうだ!ハイハイハイ!!!」

言葉と同時に俺達全員の足元に魔方陣を展開し、扉の中へと引きずり込んだ。

「どわっ!」

「ちょっと!!」

「ええっ!?」

「わあっ!!」

「何なの!?」

「あ〜れ〜。」

ドン!

ドアが閉まった!?すると・・・

「ハイハイハイハイ! わたくし、各地を旅に旅する美の伝導しダフネと申します!」

何か突然話し始めたよ!この人!!

「『び』と申しましても貧乏の貧にあらず。
 美貌の美、美容の美、美人の美、美形の美で御座います!」

いつのまにか移動していたダフネさんが巨大猫人形に支えられた足場で
ライトアップされながらすごい勢いで喋りまくっていた。
さらに背後では花火が上がっていました。

「ハイハイハイ! 
 売り物はなにかと言えば、この夢のダイエット食品、名付けてメタモちゃん!!」

「「メタボちゃん!?」」

ハッピーとミントは勘違いをした。というか1文字違いをした・・・。

「そこ!言い間違えないでくださいませね!!」

少し怒ったように顔をしてそう言う、ダフネさん。

「メタボちゃんにあらずメタモちゃん!
 長年かけての研究に研究を重ねて作り出した奇跡の食品なのですね〜。
 解毒作用をもつ海の幸を、三日三晩秘伝の薬に漬け込んで、
 天日に干してさらに一週間!そうしてできたのが・・・このぉ!!!」

「夢のダイエット食品・・・」

「メタモちゃん・・・?」

「ハイハ〜イ。今度はよく言えましたねぇ子猫ちゃん達。
 嬉しいからサンプルあげるよハイハイどうぞ〜。」

「で、でも・・・」

「オイラ達メタボじゃ・・・。」

「ハイハイ!いいから食べてみて美味しいから〜!!」

そう言い、ハッピーとミントにサンプルを押しつける。

「一口食べたら美白の効果!二口食べたらスッキリお腹!
 ハイハイ!こちら兄妹かしら?坊っちゃん嬢ちゃん猫ちゃん、
 食べてみてみてメタモちゃん!!」

俺達にも押しつける。

「効果はバッチリ!ビフォーアフター!!!」

緑色の太った猫のぬいぐるみが、一気に痩せていった。

「すごーい!」

「わあっ!効果抜群!」

「お、おい!感心してる場合か!?」

ハッピーとウェンディの言葉に突っ込むナツさん。

「というかあれ、ぬいぐるみだから・・・。」

「それでは、いくつかユーザ様の喜びの声も聞きましょう。」

あれ!?何時のまに俺達座っているの!!?

「まずは・・・」

「おおい!!!聞きたい話しは痩せ薬の話じゃねぇ!!!!」

「ハイハイ痩せ薬じゃないですよ!メタモちゃんの話です。」

「そのハイハイもやめろぉぉぉぉ!!!!!!!!」

ナツさん、少し落ち着いてください・・・。

「だからちげぇっての!!ドラゴンの話だぁ!!!」
「ハイハイドラゴンですか?よござんすよ? 
 メタモちゃんならドラゴンさんもダイエットできちゃうすぐれもの。」

「いいから話を聞けぇ!!!俺はドラゴンスレイヤーだ!!!!」

「あらあら、ドラゴンスレイヤーさんでしたか。これは失礼。」

ようやく本題に入りましたか・・・。











































「ドラゴンにあった話ですけどね、あれ商売上の嘘。ハイハ〜イ。」

「ウソだとォ!?」

「そんな・・・。」

「まぁ、そんな事だとは思っていたけど・・・。」

ガジルさんの答えは正解だったみたいです。

「ハイハイ。このメタモちゃんにドラゴンの鱗を
 擦り潰した粉末を入れたっていうと売れ行きが違うんだもの。」

「鱗だと!?」

「ハイハイ嘘よもちろん。鱗なんて手にはいるわけないじゃない。」

「それじゃ、詐欺ですよ!」

「そうかしら、私の作ったものは完璧よ?」

「ん?それはどういう意味ですか・・・?」

作ったもの・・・まさか・・・。

「こんのぉ〜、ふざけやがって!!帰るぞ!!!」

ナツさんはドアを蹴って開けた。だが・・・!

「なっ!?何だこれっ!!?」

「廊下消えてる!!」

「嘘!!?」

「どういう事なんですか!?」

「これって・・・!」

「ハイハイ。あなた方は、篭の鳥。」

光が反射して見えないが、眼鏡の奥の瞳は笑っているダフネさんの姿がわかる。


完全に俺達は・・・閉じ込められてしまった!!

-20-
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