小説『混沌の魔術師と天空の巫女』
作者:白鋼()

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                 第3章 エドラス編

                エドラスの父さんと母さん



「(信じられない・・・エドラス世界の父さんと母さんが人間だとは・・・。)」

「?どうかしたの?」

「あ・・・いいえ・・・。」

声と匂いは同じだ・・・だが・・・性格と雰囲気が・・・全然違う・・・。

「君の名前は?」

「コージ・フォレトロスです。」

「そう、コージ君って言うんだね。」

「はい。」

「ちょっとあんた。早く帰りましょ。その子には感謝するけど・・・」

そう言ったのは、エドラスの母さん。

「おいおい、そんな言い方はどうかと・・・。」

「何よ・・・。」

「・・・・・・。」

俺は唖然とした。俺の父さんと母さんの性格とは全然違うぞ・・・。
母さんはあんな口調じゃない・・・どちらかというと、優しい口調なんだな。
父さんも、結構カッコイイ感じの口調だしな。

「あの・・・所で・・・あの盗賊って・・・。」

「ああ。『狼の牙(ウルフ・ファング)』という、元闇ギルドの奴らさ。」

「元・・・?」

「君も知っているだろ?魔法が減って国王様の命令でギルドを全てをなくした事を。」

「え・・・ああ・・・そうですね・・・。」

マジか・・・エドラスは魔法が無くなって、ギルドをなくさせたのか・・・
魔法を少しでも減らす利用をなくすためか・・・?

「まったく、そのせいで私達の生活とか不安定よ。
 おまけに元闇ギルドに襲われて、嫌になるわ!」

怒鳴ってそう言うエドラスの母さん。

「それでは、俺はこれで・・・」

「ああ、待ちたまえ。」

俺がそろそろ行こうと思った時、エドラスの父さんが俺を呼び止める。

「折角だから、家に来てくれないか?」

「はい・・・?」

「一応、お礼がしたのでね。」

「まぁ、別にいいけど。」

「しかし・・・」

「来てください!」

「う〜ん・・・。」

どうしようか・・・用事があるんだが・・・でも・・・
ものすごく、懐かしい、それに・・・父さんと母さんと・・・一緒にいたい気持ちが・・・




「っ!?どうしたんだい、急に泣いて!!?」

「えっ・・・?」

俺はいつの間にか泣いていた・・・どうしてだろうか・・・

でも、わからないけど・・・わからないけど・・・あたたかい・・・。

「すみません・・・俺、お2人を見てますと、
 自分の父さんと母さんを思い出しました・・・。」

「君のお父さんとお母さん・・・?」

「どういうこと?」

「俺、7年前に、一緒にいた、父さんと母さんがいなくなって・・・
 何でいなくなったかはわからないけど・・・。」

「「・・・・・・。」」

エドラスの父さんと母さんは俺の話を聞いてくれた。

「お2人が俺の父さんと母さんに・・・似ているのです・・・。」

「私達が・・・」

「似ている?」

「はい・・・声と匂いだけですが・・・ものすごく・・・懐かしくって・・・。」

俺の目から再び涙が出てきた。

「とても・・・懐かしくって・・・懐かしくって・・・。」

「・・・・・・。」

エドラスの母さんは俺を黙って抱きしめてくれた。

「え・・・?」

「あたしみたいな奴だけど・・・その・・・あなたのお母さんだと思ってもいいわ。
 辛かったんでしょ?ご両親がいないって。」

「・・・はい。」

それでも、俺にはギルドという家族はあります。
でも・・・本当の親に、こう甘えるのは・・・久しぶり・・・です・・・。

「じゃあ、私も、お父さんだと思ってくれてもいいよ。」

「・・・ありがとう・・・ございます・・・。」































「父さん・・・母さん・・・」

その後、俺はそのまま寝てしまった。

「あら?寝たわ。」

「きっと、ご両親がいなかったという辛い気持があったんだろ。
 私がおんぶするから、かわって。」

「ええ。」

そう言い、コージをせおった。





































「ん・・・んんっ?」

俺が目を覚めると、ベットの上にいた。
なんだか、この部屋、と照屋宿などに止める時の部屋に似ている様な・・・

「俺は・・・」

「起きたかい。」

そう言ったのはエドラスの父さんだった。

「・・・はい。すみません、寝てしまって・・・。」

「いいよ。ご両親がいなくって辛かったんだろ?
 こんな私たち夫婦だが、代わりだと思ってくれ。」

「・・・はい。」

「あなたー、ご飯できたー?」

「できてるよ。君も来なさい。」

「・・・はい。」

俺はエドラスの父さんの後について行った。
食卓へ着くとテーブルの上にはカレーとサラダがあった。

「ところで、先程の部屋は何か、宿とかの部屋に似ているんですが・・・。」

俺は気になってエドラスの父さんに聞いてみた。

「ああ。私達はトライアという町でホテルをやっているんだよ。」

「へぇ〜。」

「私は掃除や洗濯、食事などをやって、妻は事務や接客などをしているんだよ。」

「そうなんですか。」

「まぁね。」

エドラス世界の父さんと母さんはホテルの仕事をしてるんだ・・・。

「それじゃあ、いただきます。」

「いただきます。」

「いただくわー。」

俺は早速カレーを食べてみた。

「おいしい・・・!」

「よかった。一応中辛だけど、大丈夫そうだね。」

「はい。」

「もぐもぐもぐ。」

エドラスの父さんと母さんだけど・・・

「(すごく・・・懐かしいな・・・。)」





























8年前・・・

「父さ〜ん!」

7歳の俺がそういう。俺の父さんは見た目は黒い鱗と赤い眼が特徴のドラゴンで、
無口でクールな性格だけど、母さんと2人(?)きりの時は結構デレている。

「何だ?」

「母さんがね〜。今日の光の滅竜魔法、うまかったって褒めてくれたよ〜!」

「そうか。」

父さんは少しほほ笑んだ。

「コージ〜!あなた〜!ご飯よ〜!!」

「は〜い!」

「わかった。」

俺と父さんは母さんの所へ行った。

「今日は魚だ〜!」

「ちゃんと残さず食べるのよ。」

「は〜い!」

母さんの言葉に俺はそう返事をする。
母さんは綺麗な青い眼ととても白い身体が特徴のドラゴンで、
とても穏やかな性格だけど・・・キレるととっても怖い・・・。

「野菜もあるから食べるんだぞ。」

「は〜い!」

父さんの言葉に俺はそう返事をした。



































「(本当に・・・こんなだったな・・・。)」

俺はそう思い、カレーを残さず食べました。




































「ふ〜う、いいお湯だった!」

「それはよかった。」

エドラスの父さんが風呂を沸かしてくれた。

「今日はゆっくり寝なさい。」

「はい。お休みなさい。」

「はい、お休み。」

俺はそう言い、俺が寝ていた部屋へ行った。



「・・・・・・。」

俺は部屋に入ったら、すぐに・・・泣いてしまった。

「父さん・・・母さん・・・会いたいよう・・・会いたいよう・・・!!」

何でいなくなったかはわからないけど・・・何か忘れている事があるんだけど・・・
エドラスの父さんと母さんに会い、懐かしくって、悲しくって・・・俺は涙が止まらなかった・・・。

「ううっ・・・うううっ・・・っ。」

俺は涙を手で拭いた。

「ナツさんや・・・ウェンディだって、会いたいんだ・・・
 俺がここでこうなる訳にはいかない・・・明日には・・・次の事を考えないと・・・。」

ジェラールに頼まれたしな・・・。
俺はその後、そのままベットに入り、寝た。

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