小説『混沌の魔術師と天空の巫女』
作者:白鋼()

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                 第3章 エドラス編 

                    片翼



「へぇ〜ここがエクスタリアか。」

俺はミントに案内され、エクスタリアへ来た。まだ(エーラ)を出して飛んでいた。

「っ!?コージアレ!!」

ミントが指を差した方向には町の様な所があり・・・っ!?

「ウェンディ!シャルル!!」

エクシード達が2人に向かって石を投げていた。

「あいつら!!」

俺は急いでいった。

「出て行け!!堕天!!」

1人のエクシードが石を投げてきた。

「やめろ!!!!」

俺は運ネディとシャルルの前に出て、石を全て弾き返した。

「お兄ちゃん・・・!」

「コージ・・・!」

「な、なんだこの人間・・・!?」

「人間の癖に翼(エーラ)を・・・!?」

俺の登場にウェンディとシャルル、エクシード達は驚いていた。

「一体どういう事だ!!ウェンディ達はお前らの為に知らせをしに来たのに!これは一体んなんだ!!」

「何を言ってるんだ!俺はエクシードだ!!」

「俺達には天使なんだぞ!!」

「その天使達を王都は魔水晶(ラクリマ)へ変えたんだぞ!!」

「愚かな人間だ!!そいつらは!!」

「たとえそうだとしても、女王様がいる!!」

「そうだ!!俺達には女王様がいるんだ!!」

「ふざけるな!!」

「「「「「「「!!!」」」」」」」

俺はエクシード達の言葉に怒った。

「テメェらは女王の力に頼って、自分達では何もできないのか!!!」

「何を言ってる!!俺達はエクシードだぞ!!」

「そんなもん知るか!人、いや女王に頼らず、自分達の力でやって見せろ!!!」

俺はエクシード達に対してそう言った。だが次の瞬間・・・!


ドドーン!!


「うわっ!」

「うぎゃっ!」

「きゃっ!」

「何っ!?」

「まさか・・・王国がもう攻めて来たか!!」

ナツさん達、失敗したのか・・・!!
さらに俺の言葉にエクシード達はパニックになっていた。

魔水晶(ラクリマ)がぶつかった・・・。」

「まだだよ!!島の端で止まってるみたい!!!」

「まずいな・・・。」

「ごめんねシャルル・・・こんなハズじゃ・・・。」

「何言ってんの!!!まだ諦めちゃダメ!!!!」

「シャルルのいう通りだぜ。諦らめるのはまだ早いぜ、ウェンディ!!」

「・・・そうだね!」

「みんな聞いて!!!」

「まだいたのか!!堕天!!」

1人のエクシードが石を投げつけてきた。だが・・・

「ぼきゅん!」

何と先までたっていた縦長の顔のエクシードがシャルルを守ってくれた。

「石は・・・投げたら・・・危ない・・・よ・・・。」

「え?」

「ナディ様?」

「この人達はぼきゅ達に危険を知らせてくれたんだよ。
 でも・・・誰も聞かなかったから、こんな事になっちゃったんだ。」

この猫、話が分かってくれて助かる・・・。

「何を言ってるんですか!?」

「こんなの女王様の魔法があれば、ぜんぜんへっちゃら!!!」

「怖くなんてないっス!!!」

「さあ・・・早く、女王様ー!!」

「こいつら・・・・!!」

まだそんな事を・・・!!!!

「えーと・・・その・・・。」

「もういいのです、ナディ。」

声の方には4匹の老いたエクシードとものすごい服を着たエクシードが現れた。

「時が来たのですよ。」

「あんたは・・・?」

「女王様ー!!」

「「「「「ははーっ!!」」」」」

こいつが女王・・・でも、何か・・・威厳がないな・・・。

「皆さん・・・どうかお顔を上げてください。
 そして落ち着いて私の言葉を聞いてください。」

「何で女王様がこんな所に・・・。」

「きっとこれからすごい破壊の魔法を・・・。」

「シ・・・!!静かに。」

「今・・・エクスタリアは滅亡の危機に瀕しています。
 これはもはやあらがえぬ運命・・・なので私は1つの決断をする事にしました。」

「人間を全滅させるんですね!!!」

「オイ!!黙って聞け!!!」

バサッ

女王は突然、上の服を脱ぐ。

「え!!?」

「な・・・何を・・・女王様!!」

「真実を話しておかなければならないという決断です。」

「真実・・・?」

「私は・・・ただのエクシードです。
 女王でもましてや神でもありません。みなさんと同じエクシードなのです。
 私には人間と戦う力などはないのです。」

「右の(エーラ)が・・・ない!?」

俺達とエクシード達は驚くしかなかった。

「隠してて本当に申し訳ございません。」

「隠して・・・?」

「コージさんにウェンディさん、シャルルさんにミントさん、あなた達にもごめんなさい。
 全部私のせいです。どうかここにいる皆さんを恨まないでください。」

女王はエクシード達と俺達に謝罪をした。

「いえ・・・“女王”というものを作り出した我ら長老にこそ責任がありますじゃ。」

「・・・どういう事だ?」

俺は疑問に思い、女王に聞く。

「私達はとても弱い種族ですじゃ。大昔・・・人間達にひどい事もたくさんされてきました。
 だから自分達を守る為に私達には力があると人間に思いこませたのですじゃ。」

「そしてエクシード全体が自信を取り戻せるよう
 エクスタリアの皆に対しても神の力を信じさせました。」

「初めは信じなかった人間達も、やがて神の力に怖れを抱くようになってきた。」

「神の力といっても、その全部がワシら事情を知っている一部のエクシードのハッタリじゃ。」

「例えば、殺す人間を決める『人間管理』、本当は全部後付けです。」

「私達が殺す人間を決めているわけではないし、そんな力当然ありません。」

「ただ1つ・・・シャゴットには少しだけ未来が見る力があります。
 人の死が見えるのです。それをあたかも女王の決定により殺していると思わせているのです。」

シャゴットと4匹の老いたエクシードがそう言う。

「じゃあ、(エーラ)が片方なくなったのは、その未来が見える力の代償か・・・?」

「いえ、それは別にあります。」

「別・・・?」

どういう事だ・・・?

「詭弁だわ。」

「「「シャルル・・・?」」」

突如、シャルルがそう言う。

「アンタに力があろうがなかろうが、私の仲間を殺すように命令した!!!それだけは事実!!!」

シャルルは怒り、そう言った。

「シャゴットはそんな命令はしておらん!!
 きっと女王の存在を利用した人間の仕業・・・」

「違う!!!変な記憶を植えつけ、私の心を操り、滅竜魔導士抹殺を命じたでしょ!!!!
 生まれる前から!!!!」

「それは・・・」

「ち・・・ち、ち・・・違うんだ!!これには話せば長くて深い事情が〜〜〜!!」

「どんな事情があっても、これだけは許せない!!!!
 それにあなたはコージを殺す事も行っていたわ!!許せる筈がないわ!!!!」

「シャルル!!!今はその話はよそうよ。」

「そうだよ!!第一にシャルルにはそんな記憶があるのに
 私やハッピーにないのがまだわからないよ!!!」

「シャルル!俺達がここへ来たのはその話を言う為ではない!!!」

俺達はシャルルに対してそう言った。今はそれどころじゃないからだ。

「わかってる!でも、それでも・・・!!!」

ガシャ

「?」

女王が剣を抜き、シャルルに床に回す様に投げた。

「シャルルさんの言い分はごもっともです。あなたには何の罪もない。
 なのに1番つらい思いをさせてしまった。私の罪はあなたで裁いてください。
 人間もエクシードも両方愛せるあなたにこそその権利はあります。」

シャゴットはそう言い、しゃがんだ。

「「「女王様!!!」」」

「シャゴット!!」

周りのエクシード達はそう叫んでいた。

「・・・・・・。」

シャルルはシャゴットが投げた剣の前に立った。

「シャルルやめなさい!」

「やめてよ!!」

ウェンディとミントはそう叫んだ。

「・・・・・・。」

俺は何も言わなかった・・・でも、シャルルなら・・・

「女王様ー!!!」

「女王様〜!!」

「うぁ〜ん!!!」

「女王様〜!!!」

エクシード達はただ叫ぶだけであった。

「さあ!!皆さんはここから離れて!!!私は滅びゆくエクシリアと共にします!!!」

「・・・・・・。」

シャルルは黙って剣を持った。シャゴットは頷いていた。

「「シャルル!!!」」

「っ!!!」

ウェンディとミントはシャルルの行動に怒鳴った。
俺は何も言わなかったが、もしもの時は・・・俺が止める・・・!!

「離れたくないよ・・・。」

「僕もここいる・・・・・・。」

「もう俺達の歴史は終わるんだ・・・。」

「だから女王様は全てを話す気に・・・・・・」

「でもあたし女王様といたいです。」

「俺も一緒にここで・・・」

「・・・・・・。」

エクシード達はそう言っていた。お前ら・・・それでもいたんだな・・・

「ダメよみんな!!!!この国は滅びる運命なの!!!」

「・・・っ。」

シャルル・・・どうするんだ・・・

「勝手に諦めるんじゃないわよ!!!!」

シャルルの言葉に全員、黙った。

「自分達の国でしょ!!!コージのいう通り、神や女王がいなきゃ何もできないの!!?」

「・・・・・・。」

「今まで嘘をついてでも必死に生きてきたんじゃない!!!!何で簡単に諦めちゃうの!!!!
 弱くたっていいわよ!!!!みんなで力を合わせれば何だってできる!!!!この国は滅びない!!!!」

シャルル・・・お前・・・

「私の故郷だもん!!!!なくなったりしないんだから!!!!!
 私は諦めない!!!!絶対止めてやる!!!!」

「「シャルル!!」」

そう言った後、シャルルは(エーラ)を出し、巨大魔水晶(ラクリマ)へ向かって行った。

「「「「「「「・・・・・・。」」」」」」」

エクシード達はシャルルへ行った方向を見ていた。

ばさっ

「ぼ・・・ぼきゅも行ってくるよ・・・・・・。」

「ナディ・・・。」

「この国が大好きだから。」

そのナディというエクシードは(エーラ)を出してそう言い、シャルルと同じ方向へ行った。

「・・・ウェンディ、ミント、俺達も行くぞ。
 なんてたって、シャルルとミント、ハッピーの故郷だからな。だろ?」

「・・・うん。」

「コージ・・・ありがとう・・・!」

ウェンディは頷き、ミントは泣いてそう言った。

「俺も・・・行くよ。」

「私も・・・」

「僕も・・・」

次々とエクシード達が(エーラ)を出して、そう言ってきた。

「皆さん・・・。」

「みんなこの国が好きなんだ。そしていつもこの国を助けてくれたあんたの手助けしたんだ。
 だから・・・みんな止めに行くんだ!行こうぜ!!」

俺はそう言い、(エーラ)を出し飛んだ。

「私も行くよ!!」

ミントも(エーラ)を出し、ウェンディの枠の下辺りを持ち、飛んだ。

「行こう!お兄ちゃん!!」

「おう!!」

「俺達も行くぜ!!」

エクシード達も飛んだ。

「行こう!!魔水晶(ラクリマ)を止めに!!!!」

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