小説『混沌の魔術師と天空の巫女』
作者:白鋼()

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                第4章 天狼島編

                 七眷属の1人  
 


「敵が来るなんて・・・」

まさか、あの男の人じゃ・・・いや待てよ、
あれは敵がこれから襲撃してくるという意味だったよな?
もしあの男の人だったら、もっと早く信号弾が出る筈だしな・・・。

「コージ、二次試験が合格したのにすまぬが、
 あの信号弾の発射された所へ行ってくれぬか?」

「・・・はい。行こう!ミント!!」

「わかった!!」

俺とミントは(エーラ)を出し、信号弾が発射された所へと向かって行った。

































数分前、ルーシィとカナを追跡するグレイとロキは・・・

「赤い信号弾?」

「敵だ。」

ロキの言葉にグレイが言う。






エルフマンとエバーグリーンは・・・

「試験はどうなるんだョ、オイ。」

「さすがに一時中断って事ね。」





ナツとハッピーは・・・

「・・・・・・まさかさっきの奴か?」

ナツが言ってる、さっきの奴とはゼレフの事である。

「どうだろう?あれは敵の襲撃の合図・・・これから攻めてくるって事だよ。」

ハッピーはナツにそう説明をする。

「どこのどいつだか知らねえが、妖精の尻尾(俺達)にケンカを売る気か。
 返り討ちにしてやんぞ!」

「あいさー!!」








ルーシィとカナは・・・

「なんでこんな時に・・・・・・。
 これが最後の試験なのに!!ギルドを抜けるつもりでのぞんでるのに!!」

「カナ・・・。」

「冗談じゃない!!私は試験を続けるよ!!!邪魔できるもんならやってみなさい!!!」

怒鳴ってるカナをルーシィはただ見るだけであった。

「落ち着けよカナ。」

「みんな同じ気持ちだよ。」

カナとルーシィの前にグレイとロキが出てきた。

「グレイ!ロキ!!」

「何でここに・・・。」

「君達の跡をつけて「偶然見つけたんだ今!!そんな事どーでもいいだろ。」」

ロキが2人を追跡していた事を言おうとしたので、グレイがそれを止め、嘘を言った。

「敵が来たってんじゃ、試験どころじゃねえ。」

「緊急事態の集合場所まで行こう。今は情報が少ない。」

「一体・・・何が起きるっていうの?」

「・・・・・・。」































一方、コージとミントは・・・

「あそこだ!」

「誰かいるよ!!」

そりゃそうだ、俺達のギルドの誰かが信号弾を放ったからそうだろう。

「エルザさんにジュビアさん!レビィさんに・・・ガジルさん!?」

いたのはその4人だったが、ガジルさんは明らかに怪我をしていた。かなりの重症だ!!

「コージか!」

「一体どうしたんですか!!ガジルさんが怪我してる様ですが・・・。」

「あそこにいる敵にガジル君が・・・。」

ジュビアさんがそう言った。そこには1人は鶏の姿をした奴と、
もう人には東洋の鎧の様なものを着た奴が倒れていた。

「この人達、悪魔の心臓(グリモアハート)の人よ!!」

悪魔の心臓(グリモアハート)!!?」

レビィさんの言葉に俺は驚く。
確か六魔将軍(オラシオンセイス)と同じ、バラム同盟の一角で、最強の闇ギルド・・・!!!

「私、ガジルをキャンプまで連れて行くね。」

「お気をつけて。」

レビィさんの言葉に俺はそう言った。
レビィさんはカジルさんの左腕を自分の方の上に乗せ、キャンプまで連れて行ったのだった。

「さて・・・お前達の目的を聞こうか。」

エルザさんはそう言い、倒れている東洋の鎧の様なものを着た奴へ行った。

「フン、誰が貴様等になんぞに・・・」



ゴッ!!




「ゼレフ・・・だ。伝説の黒魔導士ゼレフ。」

エルザさんの鉄拳によってこいつは目的を話した。で、今、俺達は驚いている。

「そのゼレフがこの島にいる。」

「バカな!!!」

そいつの言葉にエルザさんはそう言った。

「ゼレフというのは、確か何百年も昔の人・・・」

ジュビアさんがそう言う。

「確か400年だったけ?」

「その通りなり。」

俺の言葉にそいつはそう言う。

「ありえん!!生きてるハズがない!!」

確かに・・・400年も人は生きられないし・・・。

「(まさか・・・あの男の人じゃあ・・・!!)」

俺は心の中でそう思った。
あの黒い波動、そしてあの恐ろしい魔力の感じ・・・可能性としてありえる!!

「生きていたのだよ、400年間ずーっとな。
 ただ・・・マスターハデスは今のゼレフの状態を
 『眠っている』と言っておられたがな。」

「信じられない話です・・・。」

そいつの話にジュビアさんがそう言う。

「(でも、あの人の性格上、そんなに恐ろしい人とは思えないんだがな・・・。
 もう1人の人格があるのか?二重人格みたいな・・・?)」

俺は心の中でそう思った。

「ゼレフが目を覚ました時、この世界は完全なる闇へと染まる。」

「バカな事を・・・・・・ここは妖精の尻尾(フェアリーテイル)の聖地。
 妖精の加護に包まれた島で狼藉を働くつもりか。」

「直にマスターハデス直属部隊、煉獄の七眷属を甘く見ない方がよいぞ。
 時魔導士のウルティア、ラスティローズ、拙者達のボス カプリコ様、
 華院=ヒカル、ザンクロウ、メルディ、そして、くくく・・・
 あと1人はすでにこの島に。」

「っ!?」

「何だと!!?」

「!!」

そいつの言葉に俺達は驚く。






































「メストさん。」

「!」

ウェンディがメストに声をかけてきた。

「あの信号弾、何の合図でしたっけ?」

ウェンディはそう言い、信号弾を指でさした。

「ん?えーっと・・・あれ・・・?知りたい!!とてつもなく知りたい!!」

メストはそう言い、近くの岩を顎で大きく開けて、噛みついた。

「えーーーーー!?メストさんも忘れちゃったんですか?」

ウェンディはそう言う。

「(・・・・・・マズイな、()()が来る前に動くか・・・。)」

メストは心の中でそう思った。

「ウェンディーーーー!!!」

「!」

「すぐにそいつから離れなさい!!」

「シャルル!!リリー!!」

ウェンディは声の聞えた方を振り向くと、そこにはシャルルとリリーがいた。

「メスト!!あんた一体何者なの!?」

シャルルは地に降り、メストにそう尋ねた。

「え?な・・・何者って・・・・・・俺はミストガンの弟子で・・・」

ゴッ!!

王子(ミストガン)がこの世界で弟子をとるハズがない。
 この世界からいなくなった人間を使ったまではいいが、
 ()()をあやまったなメストとやら。」

リリーは戦闘フォームとなった。
この戦闘フォームはエドラス世界でのリリーの姿にできる魔法の様なもの。
ただし、短時間しかもたない。

「ちょっと!!何なの2人とも急に!!!」

「あんたは黙ってなさい。」

状況に呑みこめないウェンディにシャルルはそう言う。

「お前は何者だ?」

「な・・・何の事だ・・・。」

「1つ質問させてもらう。王子(ミストガン)がこの世界でやっていた事を知ってるか?」

「そ、それは・・・その・・・」

「言えないのも無理はない。知らないのだからな。」

「・・・っ。」

「コージのいう通りだった。」

「何・・・?」





























昨日の事・・・

「もし、メストに会ったら、質問をしておいてくれ。」

「質問?」

「ああ。ジェラールの弟子なら、ジェラールがこの世界でやっていた事を知っている筈だ。
 すぐに答えが出なかった場合・・・奴はギルドの一員じゃない。」




















「てな。」

「く・・・。」

「おそらくお前は、人の記憶を操作する魔法の使い手だ。
 ギルドのメンバーに魔法をかけ、自分がギルドの一員である事を装った。
 王子(ミストガン)の事を含め考えれば不自然な点だらけだ。
 お前と接点を持つ者の名も挙がらない。
 その上、ギルドの信号弾の意味も知らんようでは言い逃れはできんぞ。」

「・・・・・・。」

シュン!

「なっ!!」

「消えた!!」

「いや・・・・・・」

ビュッ!!

「瞬間移動の魔法!!?」

メストはウェンディの前に現れていた。

「しまったァーーーーーっ!!!!」

メストはそのままウェンディを捕まえた。

「あん!」

「ウェンディーーーー!!!!」

だが次の瞬間だった!!

「危ない!!!!」

ドッ!ドッ!ドッ!ドッ!ドッ!

「「「!?」」」

突如、地面が割れた。さらに・・・


ボゴォ!ボゴォ!ボゴォ!ドッ!!ドッ!!


割れた地面から爆発が起きた。

「攻撃!?何事!?」

リリーは驚いて言う。

「(ウェンディを・・・・・・守った!?)」

シャルルは心の中でメストの行動にそう言う。

「誰だ!?出て来い!!」

メストはそう叫ぶ。すると・・・

もごっ

「よくぞ見破ったものだ。」

突如、木から顔の様なものが現れた。

「ひっ!」

「木から人が!?」

「な・・・何者だ!!」

「俺の名はアズマ。悪魔の心臓(グリモアハート)煉獄の七眷属の1人。」

何と、悪魔の心臓(グリモアハート)煉獄の七眷属1人であった。

「グリモアハート!?」

「闇ギルドよ。」

悪魔の心臓(グリモアハート)の名を知らないウェンディにシャルルが簡単に言う。

「さっきの信号弾は敵の襲撃を知らせるものか。」

メストがそう言う。

「フム。今さら遅いと言っておこうか・・・・・・。」

アズマは木から上半身を出してそう言った。

「一体・・・・・・何がどうなっているんだ!?」

リリーは予想外の事に驚きを隠せなかった。

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の聖地に侵入すれば、
 キナくさい話の1つや2つ出ると思ってたんだがな、
 黒魔導士ゼレフに悪魔の心臓(グリモアハート)、こんなでけェヤマにありつけるとァついてるぜ。」

メストがそう言った。

「(ゼレフ?)」

ウェンディは心の中でそう言う。

「あんた一体・・・!?」

シャルルがそう言うと、メストは答えた。

「まだ気がつかねえのか?俺は評議院の人間だ。
 妖精の尻尾(フェアリーテイル)を潰せるネタをつかむ為に潜入していたのさ。」

メストの正体は評議院の人間であったのだった。

「評議院!?」

「そんな・・・。」

「これはこれは。」

メストの言葉にシャルル、ウェンディ、アズマがそう言う。

「だがそれもここまでだ。あの所在地不明の悪魔の心臓(グリモアハート)がこの島にやってくるとはな。
 ふはははは、これを潰せば出世の道も夢じゃない。
 万が一の為に評議院強行検束部隊の()()・・・
 戦闘艦をすぐそこに配備しておいて正解だった。
 一閃検挙だ。悪魔の心臓を握りつぶしてやる。」

メストは自信満々にそう言った。

「戦闘艦?あれの事かね?」

ドゴォーーーー!

アズマの言葉と同時に戦闘艦は爆発した。

「な!!?」

「え?」

「な・・・何をしたの!?」

「船が・・・」

「バカな・・・!?」

戦闘艦が爆発した事に驚くメスト、シャルル、ウェンディ、リリー。

「フム。ではあらためて・・・そろそろ仕事を始めてもいいかね?役人さん。」

アズマは木から出て、地に足をつけて現れた。

「全員、下がってろ。」

リリーがそう言ったのであった。

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