小説『混沌の魔術師と天空の巫女』
作者:白鋼()

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                序章 始まりと出会い               

                   (エーラ)


あれから5年・・・

「う〜ん・・・。」

「どうしたのお兄ちゃん?」

「シャルルとミントの(エーラ)を見てねな。時々だが羨ましくて、空が飛べて。」

「それで・・・?」

「俺もできないかなと思うんだ。」

「無理があるんじゃあ・・・」

「ちょっとミントにどういう感じかを聞いてみる。」

1年もたったが、シャルルとミントは人間語を話せるようになっていた。

「ミントー!」

「なぁに〜?」

元気そうに返事をして、俺の所へ来た。

「お前とシャルルの(エーラ)って、どうやっていつも出してるんだ?」

(エーラ)?う〜ん・・・・・・フワフワ?」

「何で疑問形なんだよ・・・。」

「えへへへ・・・。」

「褒めてない。」

「何やってんのよ。」

俺とミントの会話にシャルルがやって来た。

「シャルルか。ちょっと聞きたい事があるんだ。」

「聞きたい事?」

(エーラ)って、どうやっていつも出してるんだ?」

「・・・何でそんな事を聞くの?」

「まぁ、いいじゃねーか。」

「・・・そうね、飛びたいと思ったら、出せるけど。背中に翼があるイメージで。」

「そうか。よし!」

「何をする気・・・?」

「俺も(エーラ)を出す!」

飛びたいという思い・・・背中に翼があるイメージ・・・。

「無理だと思うけど・・・。」

「(やってみないと分からないぞ・・・!)」

飛びたいという思い・・・背中に翼があるイメージ・・・もっと強く・・・もっと強く!!








































ん・・・何だこれ・・・?




俺の頭の中に・・・父さんと母さんの姿があった・・・。



「(父さん・・・母さん・・・?)」

何だかわからないけど・・・何だろう・・・何かを忘れている気がする・・・。

「(何だろう・・・何か忘れている気が・・・何だったんだ・・・!!!)」

だが次は背中に違和感を感じた・・・その時・・・!


























バァッ!

「・・・バァッ?」

「お、お兄・・・ちゃん・・・。」

「コージ・・・。」

「・・・・・・。」

「な、何だ・・・どうした・・・みんな・・・?」

「コージ・・・背中に・・・。」

「ん?」

「翼が・・・。」

「え・・・。」

俺は右後ろを見ると、白い羽の翼があった。
でも、シャルルとミントの翼よりはるかに大きく、力強い翼だった。
今度は左後ろを見ると、黒い翼があった。
まるで蝙蝠の羽根の様だが、それよりも力強く、悪魔みたいな翼だった。



































「なんじゃこりゃあああああああああああっ!!!!!!!???????」

俺は驚いてそう言う。

「私達が聞きたわ!!!」

「コージに翼がぁ!!?」

「ど、ど、ど、どうしよう・・・!!!!」

「・・・いや待てよ。よく考えれば・・・シャルルやミントの(エーラ)は能力系魔法だ。
 俺にもその能力系の魔法ができたって事じゃねぇのか・・・?」

「・・・かも・・・しれないわね・・・。」

「でもびっくりしたね〜。」

「うん、お兄ちゃんがまさかできるなんて思わなかった・・・。」

「やってみないと分からないものだな。」

「・・・でも、なんで片方ずつ違うんだろう?」

「コージが光と闇の滅竜魔法だからかもしれないわ。
 あんたのイメージ的に合うし。」

「そうかもな。さて、試しに飛んで見るか!!
 (そういえば・・・さっきの記憶って・・・何だったんだろう・・・?)」

俺はそう思いながら、外に出て(エーラ)で飛ぼうとした。








































「・・・・・・。」

「ボロボロだね。」

「・・・飛んではみたが、羽がうまくコントロールできないし、
 家や木にはぶつかってこうなった・・・。」

「コージ、今回は少しバカね。」

「なんだか昔の私達もそんな感じよね〜。」

「私じゃなくて、緑ネコ、あんたの方よ。」

「はうっ!」

シャルルはなぜかミントの事を「緑ネコ」と呼ぶ。
・・・何でだろう、シャルルはミントの事を嫌っている様ではあるけど・・・。
それに1年前は俺達の事を冷たかったけど、なんやかんやで仲良くはなっている


「お兄ちゃん、大丈夫!?」

「そうは見えんだろ・・・。」

「ねぇ、コージ。私が飛ぶ練習手伝うよ。」

「そうか・・・じゃあ頼むは。」





































それから数分後・・・

「はい、はい、はい、はい!翼を意識して、飛んで!」

「ぬう・・・くうっ!!」

なかなか難しいなぁ・・・。

「もっと、翼を動かして!また落ちちゃうよ!!」

あれから5回落ちて、3回壁にぶつかった・・・。

「ぐうううううっ!!!」

「いい感じ、いい感じよ!!」

「そうなのか、ミント・・・?」

「今は先生って呼ぶの!」




「頑張ってるね、お兄ちゃん。」

「アホみたい・・・。」
































あれから1ヶ月後・・・

「ま、待ってよ〜・・・。」

「遅いぞー。」

俺は完全に飛べる様になった。
俺のスピードについていけてないミントはもうヘトヘトだった。

「立場が戻ったわね。」

「お兄ちゃん、すごい!」

「そらどうも。」

「疲れた〜〜〜〜〜〜〜〜。」

ミントは疲れてこの場から落ちる。

「まったく、世話の掛かる緑猫ね。私がこの緑猫、ベットの上にのせておくわ。」

シャルルはミントを引きずり、家へ戻って行った。

「なあ、ウェンディ。」

「なあに?」

「空からこの周りを眺めてみないか?」

「え?」

「結構いい眺めだったぞ。」

「そ、そうなの・・・?」

ウェンディは少し震えて、そう言った。

「ああ。それに俺がいるから大丈夫だ!」

俺はウェンディに安心させる為にそう言った。

「お兄ちゃん・・・う、うん。私も空から眺めてみたい・・・!」

「よし!じゃあ俺につかまってろよ!」

俺はウェンディを抱える。

「行くぞ!」

俺は空高く飛んだ。
































「ウェンディ。」

「何・・・?」

「眼、開けても大丈夫だよ。」

「う・・・うん・・・。」

少し怖いのか、眼を閉じてるウェンディに声を掛ける。

「あっ・・・。」

ウェンディが眼を開ける。

「どうだ?いろんな所から眺めるだろ?」

「すごいね・・・!」

「だろ。」

「あ・・・ねぇ、お兄ちゃん。」

「何だ?」

「あそこに降りてみない・・・?」

ウェンディの視線には、花畑が見えていた。

「いいぜ。」

俺は花畑へ向かい、降りてゆく。





































「綺麗なお花だね。」

「そうだな。」

俺とウェンディは花畑に降り、ウェンディが何かをしていた。

「はい。」

「?」

これって・・・

「お花の冠、どう・・・?」

「上手だなぁ。」

「頭に・・・被ってくれる・・・?」

「いいぜ。」

「ありがとう・・・!」

笑顔で喜ぶウェンディ。それで、俺は花の冠を被る。

「もうちょっと、ここに居るか?」

「うん!」

そうか・・・。



































ジェラール・・・ウェンディは俺といて、とても幸せそうだ。































早く・・・帰ってこいよ・・・!

-6-
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