昨日、風呂上がりにテレビをつけると、とんでもない報道があった。
晃さんと優海ちゃんが……
そんなことは決してないと思う。晃さんもそこまでいい加減な人ではない。
俺の足は自然と小学校へと向かっていた。
ウィンドブレーカーが歩くたびカシャカシャと音を立てた。
小学校の門を開けると教}室の電気がついてるのが見えた。
今の俺には何もできないかもしれない。
けれどこのまま放ってはおけない。
誰もいない校庭を横切り最短距離で教室まで歩く。
こっちが暗い分だけけ教室の中で考え事をしている美香が窓越しによく見えた。
「おい美香」
俺が声をかけると、その顔が何かを期待して振り向き次の瞬間、目には落胆が見えた。
「あっ、てっちゃん」
美香が無理に作り笑いをするのが悲しかった。
「晃さんじゃなくて悪かったな」
俺が言った冗談を真に受け言葉がつまった。
「……そういうわけじゃなくて」
美香が気まずそうに俯く。
「最近何やってても上の空だぞ」
「そんなことはないよ」
真っ暗で何も見えないはずの外を見た。
「……俺は晃さんならお前が幸せになれると思ってお前の事あきらめたのに、全然幸せそうじゃないんだな。」
「……てっちゃん」
美香はゆっくりと顔を上げ、不安そうに俺を見た。
「よし、思いっきり泣け」
「えっ」
「お前は俺の親友だ、俺の親友のいい男がとんでもない女に振り回されてんだ。いくらでも話聴いてやる」
そう言い終わると同時に美香の目には涙がポロポロと流れおちてきた。
俺は自分の睡眠時間を削り、夕方から夜の仕事を無くし急いで特急電車に乗った。
久しぶりに乗る電車は心地よく夢の世界へと行けた。
次に気がついたのは携帯のアラームが鳴った時だった。
外を見ると暗いながらも見なれたあの風景が広がっている。
少なからず熱愛報道気にしてるだろうからな
自分の両ひとさし指で動きをつける。
「会いたかったわ。あなたのことを考えると夜も眠れなかったわ。」
「俺もだよ。チュー」
久しぶりに美香に会えることで俺はなんだかとても浮かれていた。
「次は小山、小山です。お降りの方は」
俺は待ちきれなくて放送が終わらないうちに客車を飛び出した。