何もかも嫌になって、手に入れたのは航空チケットだった。 小さな頃、大好きだった一枚の写真。それがいつどこで撮影されたものなのか全く知らなかったけれど、きっと、どこか南の国なのだと信じていた。真っ青な空。白い砂浜の上に転がる黒い丸太のような流木。左側から空へ向けてしなやかに伸びる一本のやしの木。そして、悠々と横たわる、海。 あそこへ、行こう。 そう思いついた。