小説『日本式魔術師の旅〜とある魔術編〜』
作者:ヨハン()

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Side-reigo

前回は情けない姿をお見せしましてすいませんでした。

今私は文殊と言霊の研究を行っているんですがいまいち良くいきません。
文殊とは漢字一文字に念つまりは、魔力を込めることで様々な効果を発揮させることができる術です。
つまりは火だったら火が起こり、守だったら守護の力が発揮されます。

言霊は主に発した言葉に力を待たせる術です。


私は符術にこれらを利用することで、効果の飛躍的な上昇を考えているのですが
言うは易く行なうは難しというべきか、
両方とも出力の形が定まっているため、それの変更に手間取っています。


出力の形というのも文殊は魔力をビー玉サイズの形に凝縮させ、
それを解放することによって力を発揮します。
言霊は先も述べたように主に言葉です。文字としてもある程度効果を発揮しますが、
やはり一番は言葉がいいのです。

これを符術に利用するには文字にしなくてはいけません、それができないのです。
まあ、


「解決策はある程度は浮かんでいるんですがね」

「ふむ、またやっているのか」


背後から父さんが声をかけつつ、私の手元を覗き込んできました。


「符術に言霊、文殊すべて確固とした技術と成り立っているため、
融合に手間取っているようだな」

「ええ、まあ」

「我が一族の初代も抜き去る鬼才の持ち主でもつまりはするのか」

「知識がなければどうしようもないこともありますよ。」

「ふむ、当たり前のことだな。
で?何をしたいんだ?」


父さんは私の試作品である符を見ながら私にといてきました


「なんのことです?」


形式上一応とぼけてみますが、
あきれたものを見るような目で見つめられました。
目だけでののしられた気分になりますね。


「お前は阿呆か」


言葉でもののしられましたね


「俺がお前の独り言を聞いた可能性ぐらいわかっているだろう。
そしてお前が考えていることを当ててやろう。
今お前の研究は行き詰っているが、さっきも言ったように解決策は浮かんでいる。
しかし実行することができていないところを見ると、今ここにある知識ではできないのだろう?
そこでお前は外国へ行き技術を学びに行きたい。
そんなところだろう?」

「・・・・ふぅ、さすが父親ですね。
ならば私の残りの考えもわかるでしょう?」

「ああ」


その言葉にもう一度ため息をつきつつ、私は佇まいを直しつつ
父さんのほうを振り向きました。


Side-out


Side-titioya

はあ、こいつは馬鹿か?


「一は俺たちとの残り少ない時間を大切にしたいんだろう
しかしそのために自分のやりたいことを犠牲にするなっての。
子供なら子供らしく俺たちに甘えればいいんだよ」

「しかし」

「しかしも、かかしもなしだっての」


確かに一のその気持ちはありがたいし、嬉しい。
しかし、もうここにいてもお前は成長することはないだろう。
それに一の未来には戦いがや様々な困難が待ち受けている。
だからこそ一には力をつけてもらいたい。
だから・・・


「お前には修行というなの研修に行ってもらう。」

「場所はイギリスの必要悪の教会だ。」

「なっ!?」

「そこでならルーンも学べるだろうから、お前の修行にもなるだろう?」

「確かにそうですが、私は」

「一よく聞け」


一が反論をしようとしたため、俺は静かな圧力を出すことで黙らせる。
一の肩に手を置く


「お前が属する一族はそんなに甘い一族ではないんだよ。
お前は力をつけなければならない、この手で自分の大切なものを守り通すために」


肩から手が下に行き一の手に触れる


「お前は強くなければならない、自らの信念を貫き通すために」


手を離し今度は胸をたたく


「お前は賢くなければならない、あらゆる脅威を退けるために」


今度は頭をなでる


「力は力を呼び寄せる、俺たちの一族はそういう運命だ。
俺はお前に死んでほしくない。
確かにこのままでいてもお前は強くなれる、しかしこのままでは俺と同じ運命をたどる。
一族の秘宝を扱いきれずに自らの体を壊す。
俺はそれが耐えられない、だからこそお前を海外に送る。
確かに一緒にいられる時間は少なくなるだろう。
しかしな親っていうものは、一緒にいられる時間よりそれからの子供の人生を大切にするんだよ」


俺は一を抱きしめささやくように、言い聞かせるようにつぶやく


「・・・まかせてください。
私は一族の秘宝なんかに負けない力をつけてきます。
自らのすべてを押し通すだけの力つけてきます。
そして・・・なによりも親の願いを叶えるためだけの力を手に入れてきます。
あなたたちが驚いて驚嘆するような力を手に入れます。
・・・・・・・私はイギリスに行きますよ、父さん」


ありがとう息子よ。
そしてすまないこのような業を背負わせてしまって。

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