Side-レイゴ
「何故とはいったい?」
「打ち合ってわかりました。
あなたはとても強いです。聖人でもないのに聖人と張り合える力をもっています。」
「ええ、もっていますよ。」
私は武器の構えを解きながら答える。
神裂さん自身武器の構えを解き話しているため、こちらだけ構えるのも失礼かと思ったゆえです。
まあ警戒は説いていませんが。
「だったらわかるでしょう。
私たちのような力を持つ者は力を呼び寄せてしまう。」
「その通りですね。それが力を持つ者の宿命ですからね。」
「私の場合聖人という力をもっています。
そして聖人というのは神の加護により強靭な力以外にも幸運も集めてしまいます。」
「それで?」
これは神裂さんの心の声であろう。
自分と並び立つ存在がおらず、
また立場により正面から意見をしてくれる人がいないため打ち明けることのできなかった叫び。
「幸福の席の数というのは決まっています。
そして私はいつもその席に座ってしまう。
私のせいで戦いを呼び、私だけが無事に終わってしまう。」
そこに私という立場を機にせずに済み、年の近い存在が現れた。
天草式を知り、神裂さんに正面から包み隠さず、恐れを知らず意見を述べることができる存在。
「私にはそれが耐えられなかった!
わかるでしょう!私と同じような力を持つあなたならば!!」
例えそれが自分に対し否定的な意見の持ち主であろうとも、すがってしまったのだろう。
今までそのような存在がいなかったのだから。
自信と似たような強力な力を持つんだから理解者になってくれる可能性があるという希望に
「いいえ、私にはあなたのような弱者の考えなんてわかりません。」
「えっ」
しかし私がその手をつかむとは限りませんよ?