小説『日本式魔術師の旅〜とある魔術編〜』
作者:ヨハン()

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Side-レイゴ

「はぁ、はぁ・・・・運び屋のオリアナさんとネセサリウスの方ですよね!?」

「ええそうです。
一体何があったのですか?」


魔道書の持ち主である組織の一員であろう人が息も絶え絶えにといてくる。

服が乱れ、またところどころに怪我をしたのか血で赤く染まっている。
その手には一冊の本が大切に握りしめられており、それが目的の物だと判断する。


「わかりません。
ただ正体不明の集団に襲われました。目的はこの魔道書のようです。」

「どれくらいの人数なの?」


その言葉にオリアナの方を向くと、
オリアナは自らの武器である単語帳を手にし、周りを警戒ているようだ。

そのため彼には一切目を向けていない


「おそらく20人未満ぐらいであるかと。ただ・・・」


彼も自分のことを蔑ろにしているのではないことを分かっているのか、特に気を悪くせずに答える。


「ただ?なんですか?」

「彼らは一切怪我や仲間の死、挙句の果てには自らの死を一切恐れていないような気がしました」

「それは・・・厄介ですね」


死兵ほど恐ろしいものはない。彼らは目的のためならばどこまでも追い続けてくるだろう。
私たちの勝利条件の一つはネセサリウス本部に到達。

これは戦力的に見てそこにたどり着きさえすれば手が出せなくなるでしょう。
メリットとしては・・・


「今は私の仲間が足止めをしていますが・・・・
正直言っていつまでもつかわかりません。あいつらは魔術の腕も相当でした。」


彼らです。彼らが足止めをしてくれている以上戦闘の可能性が低いということです。
私とオリアナが全力で逃げに徹したらおそらく追いつかれないでしょう。

デメリットとしては不意打ちを受ける危険性があること。
彼らはおそらく全員死ぬことになること。
そして、一般人に被害が出る可能性があることですね。


オリアナもこれらに気付いているでしょう。
どうするかオリアナを見ますが、オリアナ自身迷っているようです。

仕事人としては彼らを見捨て、任務を達成することが正しいのでしょう。
それはオリアナ自身もわかっている、しかし彼女は優しい。

自らの行動で関係のない人が傷つくことが許せない、
彼女の行動原理は人の為になることを行なうことです。
だからこそ一般人を危険にさらすことや、彼らを見捨てることを容認できないのでしょう。

任務をとるか、自分の信念をとるか。その狭間に揺れているのでしょう。


「この魔道書を持ち早くお逃げください。
我らが少しでも時間を稼ぎますゆえに」

「そう・・・わかっ「いえ、私たちもあなたがたともに戦いましょう」・・・え?」


確かに私たちの仕事上任務をとることが正しいのでしょうが

そのような悲しみ苦しんでいるあなたを見捨てることなんてできないでしょう?

Side-out


Side-オリアナ

私はどうすればいいのかしら・・・

運び屋としての私は任務を達成しろと言っている。
また理性的な私も任務を優先しろと・・・・


でも・・・でも!
それで一体どれだけの人が傷つくのか・・・・
確かにあくまで一般人が傷つくのは可能性の問題、彼らも無事に逃げられるかもしれない


でも私の選択で被害が出たら・・・
オリアナとしての私が・・・心が・・・・そんなことを認められないと言っている。

いや、恐れているのだ・・・・・被害が出ることを


「この魔道書を持ち早くお逃げください。
我らが少しでも時間を稼ぎますゆえに」


でも彼らの思いを自らのエゴで無駄にしていいのだろうか?
だからと言って彼らを見捨ててもよいのだろうか?

わからない・・・・わからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからない




・・・・私が魔道書を素早く届けて、ネセサリウスに協力を求める
そして迅速に戻り彼らを救助する。
それが最善策よ、もしこの魔道書が敵の手に渡ったらどのような被害が出るのかもわからない

そうよこれが私ができる最善策に決まっている


「そう・・・わかっ「いえ、私たちもあなたがたともに戦いましょう」・・・え?」


・・・・・・一?
どうするつもり?私は・・・・・・・・・一体どうすればいいの?

Side-out


本来の歴史ならばオリアナは任務をとっただろう。
自らも気付かないうちに言い訳を考えて・・・・・

それは確かに正しいことだろう、たとえオリアナが一緒に戦っても勝てる保証はないのだから。
彼女は最高の結果が出る方法は、あまりにもリスクが高いため諦めるだろう・・・

なぜならば彼女は人の為に行動することを大切にしている。
人を救うためにさらに多くの人を危険にさらすことが容認できないからだ・・・

だからこそ人を救うために人を犠牲にする。大の為に小を切り捨てる。
その矛盾に苦しみ戦い続ける。
その結果、全てを幸せにできる方法を、基準を求める。
そして科学が発展した都市にて正義のヒーローに救われるだろう。


しかしこの世界はイレギュラーが存在する世界。
彼女の苦しみを、思いを知り彼女を助けることのできる可能性を持った存在がすぐそばにいる。

さてさてこの世界における彼女はどうなるだろうか

史実よりも早く救われるのか、それよりも深く傷つくのか・・・



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オリアナに対し少し独自解釈が入ってますかね?


こんな感じで大丈夫だろうか?


コメントお持ちしております。

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