小説『日本式魔術師の旅〜とある魔術編〜』
作者:ヨハン()

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Side-レイゴ

「えええい!何をやっているのですか!
 さっさと敵の陣形を崩し、殺しなさい!」

「どうやら、あの男我慢の限界が来たようですね。」

「本当にね、焦る男はもてないわよ〜」

「黙りなさい!!」


戦闘開始から数十分、いまだに硬直状態が続き副リーダーらしき人物が焦れてきた。
しかしこちらとしてもこの硬直状態はあまり好ましいものではない。

私は符が亡くなったとしても戦闘手段を多数持っていますが、
オリアナはストックが切れたら戦うことができなくなる。

また教会の者たちも精神的疲労でいつミスをするかわからない状況になってもおかしくない。


「少し賭けに出ますか・・・?」

「何か手段があるの?」


オリアナが小さな声でつぶやいた私の声をしっかりと聞き取り訪ねてきた。


「まあ、あるにはありますね。」

「じゃあ、まかせるわ。
 お姉さんもこのままの状況は分が悪いことぐらいわかるしね。
 大丈夫、お姉さんたちは強いわ。
 安心して戦ってきていいわよ?」


そういいながらオリアナは私にウインクをしてくる。
私の考えもお見通しですか。

私が出ることで防御が手薄になってしまいます。それが心配だったんですが・・・


周りを見渡すとオリアナと同意なのか、
皆私を見つめ強い意志をもって返してくる。


「・・・・わかりました。
 私が最前線に出るので、全員防御優先にして戦闘してください。」

「「「「「了解!」」」」」


さてと、私は皆さんを信じ戦いましょう。
しかし時間がたてばたつほど彼らが不利になるのは明白、つまり迅速に勝つ丁寧に敵を殲滅

これが重要ですね。


「一一出ますよ!」


自分を叱咤する言葉とともに私は最前線に打って出る。
その瞬間同士討ちを避けるため見方からの攻撃が止まる。


「攻撃が薄まりましたよ!
 今です!特攻しなさい!!!」


副リーダーが目聡くもその瞬間を察知し指令を出すが


「させるとお思いですか?」

その言葉とともに錫杖を横に振る。

”シャ―――ン”


その音とともに錫杖が場の魔力を使用し、魔力弾の雨嵐を放つ。


「ギャアアアアアアアアアア」「ぐわっ」「くそっ」


その魔力弾により接近しようとしていた使い魔たちを吹き飛ばし、接近戦型魔術師をひるませる。


「まだまだ行きますよ!」

”シャ―――ン”

例え敵がひるもうとも魔力弾の止めず、そのまま接近する。
自らも錫杖を使用し接近戦を行う。

ここからは錫杖を魔力弾だけではなく、自らの錫杖の動作に適応させることで
横から薙ぎ払う魔力の刃や、振り下ろしに合わせ魔力爆撃、
突きに合わせた魔力刺突などを織り交ぜていく。

接近しても錫杖で打ち払い、離れていても魔力操作と魔力弾により敵を減らしていく。


「おのれおのれおのれおのれええええ!!!!
 お前たち!!あれを持ってきなさい!!!」

「ほ、本気ですか!?」

「当たり前でしょう!?何のために準備したと思っているのです?
 それともあなたが贄となりますか?」

「い、いえ。ただちに連れてまいります!」


敵を大分減らすことができましたね。
接近型の魔術師も打倒せました。火織と模擬戦してましたからね、そこまで苦労しませんでした。
遠距離型の魔術師もオリアナたちや私の手で、数人さらに減らすことができましたね。

しかし”贄”に、”連れてくる”ですか・・・
悪魔召喚などには人の命を使うことが多い、つまり彼らは


「連れてまいりました!!」

「よろしい。
 良くも私の邪魔をしてくださいましたね、魔術師よ。
 しかしこれから私が召喚する使い魔はそう簡単にはいきませんよ?」

「何をするつもりかしら?」


オリアナ達にも余裕ができたのか、こちらを視認しながら問う。


「なに、簡単なことです。
 使い魔や悪魔を召喚するには穢れ無き魂であればあるほどよい。
 今まであなたたちが相手にしてきた使い魔は、醜い魂を利用し召喚したものです。
 しかし今から召喚に利用するのは・・・」


その言葉とともに贄と呼ばれていた存在が目に入る


「この子供たちですよ!!」


それは私よりも年下達の5〜8歳ぐらいであろう、少年少女たちであった。


「この外道が!」

「外道?違いますよこれは必要なことです。
 この子らは礎となるのですよ。」


オリアナが何をするかを理解し怒鳴るが、
男性は意にも欠かさない。

そして子供たちに手を向け魔術を発動させようとするが


「しかし、私がその儀式を待つ必要はありません。」


走って移動しても間に合わず対応される可能性があったため、
転移符を使用し子供たちの間に割り込む。


「な!?きさ、があああ」


不意を突かれることにより出来た隙を逃さず、錫杖で殴り飛ばす。


「オン」

”シャアン”

それと同時に錫杖を地面に突きつけ結界を張る。


「えええい。私の計画をことごとく邪魔をしよって!まあいいです。」

「何を言っているのかしら?一に結界は張られて手も足も出せないでしょう?」


不審に思ったのかオリアナは疑問の声を上げるが
それに対し余裕の声で男性は返す。


「確かに今から呪いをかけるのはできなさそうですね。
しかしすでに準備は整えてあるのですよ、その子らには!
自らの張った結界があだになりましたね!
自らの結界の中で死になさい!!」

「な!一!!!」


オリアナは驚きの悲鳴を上げ、一を心配するが


「我が名において命じます、その命を喰らいてこの世に姿を現せ!」

「あ、ああ、ああああああああああああ」


呪文により子供たちが悲鳴を上げ始める。
急激に生命力を吸い上げら始めているからである。


「残念ながら、呪に関してはこちらの専売特許ですよ。」

”祓いたまえ、清めたまえ 神ながら 奇しみたま 幸え給え”

”パアンッ”
その言霊と柏手(かしわで)により男性による呪を払い落とす。


「ああああああああ、う、あ」

「な!?呪いが打ち消された!?」

「いったでしょう?こちらの専売特許だと」


私の行いに絶句する、彼に私は声をかける。
陰陽術師であり、神道を学んでいるためこのような呪いを解くのは朝飯前です。

しかし彼にとっては切り札だったのでしょう。
かなり狼狽をしています。

しかし罪もない子供を贄にしようとは許せないですね。


「ここは、あなたは?・・・誰?」

「む?」


背後から声がかかる。
呪いは解きましたが、かけられたという事実は残ります。
そのため全員気を失っているものだと思ったのですが・・・

Side-out


Side-???

友達たちと遊んでいたら、いきなり知らないおじさんたちが声をかけてきました。
そしたらいきなり眠くなって・・・そこから何も覚えていない

でも自分の体から何かが抜けていくのが感じた。

とても怖かったけど、なにか暖かい感覚がそれをぬぐってくれました。


体がとても重かったけど、
目をあけると覚えている場所じゃなくて、それに知らないお兄さんがいました。


「ここは、あなたは?・・・誰?」

「む?」


私の声に反応してお兄さんがこちらを向きました。
とても綺麗でかっこいいお兄さんです。


「私の名前は一一です。君の名前は?」


私の名前?私の名前は・・


「レッサーです。・・・・私の名前はレッサーです。レイゴさん。」




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