小説『日本式魔術師の旅〜とある魔術編〜』
作者:ヨハン()

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Side-レイゴ

どうやらレッサーは魔術の素養が高いようですね。
おそらくほかの子供たちに比べ才能や生命力が高いため、気を失わなかったのでしょう。


「レッサーよく聞いてください。」

「・・・なんですか?」


本来ならば眠らせるなどをするのが良いのでしょうが、ここまで関与してしまった。
魔術をかけられただけならば対処の使用もありますが、
恐らくは完全に忘れさせることは不可能でしょう。

これは認識の度合いや、素養によって異なりますが、
もし無理やり完全に忘れさせるならば記憶封印どころでは済まないでしょう。

記憶破壊

これが必要になりますが、これは今までのすべてを失ってしまう。
それはしたくありません。


「まず最初に言うことは、今あなたの目の前にあることは現実です。
 ああ、質問は後にしてください。」


レッサーがこの状況について知りたいためか、質問をしようとしましたが時間がありません。
無理やり中断させ、話を続けます。


「この場は危険です。
 しかし今の状況ではあなたをこの場から離すことができません。
 ですので、ここから動いてはいけません。
 正確に言うとこの薄い壁が見えるでしょう?ここから出てはいけません。
 わかりましたか?」

「わ、わかりました。」


レッサーもこの状況の異常さを認識しているためか。
私の勢いのためか素直にうなずいてくれました。


「それとこの紙を持っていてください。
 これもあなたのことを守ってくれます。」


そういいながら、守護の力が込めてある守護符をレッサーに渡す。
危機を察知したら自動的に防御結界を張ってくれる効果があるものだ。


「レッサー、この状況は怖いと思いますが私には頑張ってくださいとしか言えません。
 しかし安心してください、あなたは私が守ります。
 無事に家に帰してあげますので、この場から私を信じて動かないでください。」


レッサーの目線まで姿勢を下げ目を見つめる。
私は肩を掴みながら安心できるように微笑みながらいいます。


「は、はい//////]

「ありがとうございます。」


レッサーの返事を聞き私は立ち上がります。
この子たちの安全のためにも、錫杖による簡易結界から
文殊・符などを使用した強固なものに組み替えます。


「また一つ早く終わらせる必要が出来ましたね。
 ふう・・・”式紙よ”
 命令を与えます。この結界に害を与えようとするものを迎撃しなさい」


結界を組み替え外に出る前に、式紙を召喚します。
形状はレッサーを怖がらせないように猫と犬の二体です。
二体とも理解したようでうなずきます。


「うん、これでいいですね。
 では・・・・行くとしますか。」

「あ、あの!・・・・がんばってください!!」

「!・・・フフッ。
 ええ、頑張って倒してきますよ。」


レッサーの応援を聞きながら私は結界の外に出、戦場に戻ります。
さあ、あの男にお灸をすえるとしますか。

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