小説『日本式魔術師の旅〜とある魔術編〜』
作者:ヨハン()

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Side-レイゴ

「・・・・ジル・・・殿」


副リーダーがリーダーの名前らしきものを呼ぶ。


「お前はやりすぎだ。
 お前のやっていることは我らの復讐相手と同じことだ。」

「な、なぜですか!?」


リーダーであるジルの接近に気付くことはできましたが、
攻撃かと思い防御姿勢に入ってしまい、副リーダーの救助を防ぐことができませんでした。

「・・・・・・・」

しかし彼の移動速度からして、かなりの実力者ですね。
うかつに接近はできませんね。


「教会の者どもは神の名のもとにと、正義を謳い。
周りを見ることもない。
お前はどうだ?聖戦聖戦といい、罪もない子供を殺そうとしたではないか。
一体何が違うというのだ?」

「そ、それは」

「貴様に与えた力はそのように使うためではないぞ。
 貴様がそれ以上間違えるのならば、その力返却してもらうぞ?」


ジルが副リーダーを見つめながら喋る。
しかしそれは詰問しているようであり、副リーダーは睨めつけられていると感じるのか
体を小さくしおびえている。


(与えた力?返却?一体何のことを言っているのでしょうか?
 彼はそれらしき物は持っていませんしね。
 その力は誰でも使えるのか、どれほどの力なのか・・・
 情報が足りませんね。)


「思い出せ、貴様の願いを。
 貴様はすべての者に復讐をしたいのか?」


ジルの言葉により副リーダーの狂気が薄れていく。
自らの間違いに気付いたのか、何かを思い出したのか・・・

同じ組織にいるわけでもない、知り合いでもないそんな私には彼の心情は理解できませんが

少なくとも狂気が薄れていくのだけは理解できました。


「・・・・いつのまにか、私は結果を優先するあまりに
 過程を蔑ろにしていたのですね・・・・」

「そうだ、また間違えるようならば私自ら粛清してやろう。
 ・・・・・・・・・またせたな。」


副リーダーとの会話は終わったのかジルはこちらを向く。
その背後には副リーダーが控えている。
もう彼の目には先ほどのような異常な量の狂気はなくなっている。


「いえいえ、構いませんよ。
 それに彼を止めてくださって感謝しますよ。」

「こちらとしても罪のない子供や市民が犠牲になるのは容認できぬのでな、
 感謝する必要はない。」


異常な人物ですね。

彼の目には間違いなく狂気があるというのに、理性も感じられる。

理性的な狂人

それは果たして狂人といえるのでしょうか?
少なくとも厄介な人物と憂いのはわかりますね。

狂人であるがために通常では考えられない行動をしてくるでしょう、
しかし理性的な分狂人にある無駄がない。


彼らの組織はジルが存在するからこそ成り立っているのでしょう。
狂人が組織を作ることは不可能、しかし常識人では狂人をコントロールすることはできない。

だが彼は別だ、同類であるからこそコントロールでき
理性的であるからこそ組織を作れる。
また彼にはカリスマ性も感じ取れる。

嫌な存在ですよ、まったくもって。


「ならば、そのまま撤退してくれませんか?
 このまま戦っても犠牲が増えるだけでしょう?」

「こちらとしてももう引けぬのでな、無理だ。
 ・・・・おい!こちらに来い。」

「ハッ」


その言葉とともに副リーダーがジルの隣に来る。
それに合わせ魔術を唱え始める。


(・・・・無理ですね。隙がほとんどありません)


「本来ならばまだこの力を与えるつまりはなかったんだが。
 同士はお前を除いて全員倒されている。
 だからお前にさらなる力を与えようと思う。
 しかし、先ほどのようになったらすぐにでも返してもらうからな。」

「わが命に代えてももう間違えることはしません。」

「ならばいい」


その瞬間魔術完成し発動し始めた。


(降霊の術!?力を与えるというのはこのことですか!
 止めなければまずい!!)


術を認識し、彼らの考えを見抜きためそれの妨害をするために縮地をもって一気に接近する。
その速度は彼らの間には一切の距離がないように感じる。
そしてその速度を一切の無駄なく、勢いを殺さず必殺一撃を放つ


「フゥッ!」 ”円神理念流 速の舞い 速断”


しかしその必殺の一撃は届かなかった、なぜならば


”ガギィ!”

「く、すさまじい一撃だな。
 こいつの相手は俺がする、貴様は魔道書をとってこい」

「ハッ」


その返事とともに副リーダーはオリアナたちがいる方向へ走っていく。
その速度は先ほどまでいた接近戦型の魔術師よりも圧倒的に速い。

また彼は走りながらも使い魔を召喚していく。
その使い魔も今までの非ではなく圧倒的な存在感・威圧感を放っている。


「オリアナ!今までの敵とは違いますよ!!
 油断しないでください!!
 また命に危険があるのならば魔道書を渡してしまいなさい!!!」

副リーダーの力の向上がすさまじいものがあったため、すぐさま支持を出す。


「いいのか?魔道書を渡すことになるような指示を出しても?」

「ええ、どうやらあなた方はそこまで狂ってなさそうですしね。
 むやみやたらに虐殺とかはしないでようから。
 ・・・・・・それに、私があなたを倒してしまえば問題ありませんからねっ!」


その言葉とともにつばぜり合いの状態から、距離をとる。


「なるほどな、確かにその通りだ」


距離をとった状態から二人とも武器を構えなおす。
一は錫杖を、ジルは大剣を・・・


「衛宮が次期党首にして、円神理念流師範一一!」

「青髭のリーダーにして、復讐者ジル・ド・レェ!」


「「押して参る!!!」」


その言葉とともに二人が激突した。


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また消してもうた〜(泣)

同じ文を二回書くのは苦痛じゃけん(号泣)


さてと、一応説明なんですが。

一の名乗りで”衛宮”の名乗っています。
ここで”一(ニノマエ)”と名乗っていないのは、一はあくまで姓であり一族の名ではありません。

彼らの一族は名誉とかは特に気にしていないため、姓などがよく変わります。
だからこそ一族と言いながら、組織名が一族名となっています。
だから”一が次期党首”ではありません。

また安倍清明が一族としての形を作り、守護の道を作りましたが
実際にはそれ以前、神代から存在していました。

まあ、プチ設定としては姓名の母が今でいう当主であり。
後に清明が継いだのですが、その時代の日本はやたら妖怪が出てくるので
日本の危機として清明が守護者の道を考え、設立。

妖怪の数が減ったため、裏の世界に消えようと考えたが一部の者が離反。
これが土御門家。
土御門家は陰陽術という秘奥を世に出してしまったが、権力を手に入れた。

離反しなかった一族員は、離反したものは仕方ないと土御門を隠れ蓑にして裏に隠れる。
土御門としてはほかの秘奥や宝具を欲したが、
土御門の持っている陰陽術は一族の持つ術等のほんの一部であったため盗むことができず諦める。


陰陽術が世に出てしまったが、他の術等は神代から神秘が一切薄れることなく保存に成功。
これらの術はインデックスの魔道書にもない。(実際日本の魔道書ってあんまり聞きませんよね?)

但し一部を継承することはできても、すべてを継承することなどはできなかったため、
一族は衰退(現状)。

・・・・・・・これは話としてちゃんと書いた方がいいですかね?
書くとしても当主からの説明な感じになるでしょうけど・・・・

ちなみに”衛宮”の由来なんですけど、
型月作品のキャラクターの名字って何かしら意味があることが多いじゃないですか、
だから士郎君の名字にも意味あるのかな〜と思い調べてみたんですよ。

まあ見つけられなかったんですが。

それで漢字の意味も調べてみて”衛”が守る、”宮”がまあ都市みたいな感じで。
清明の時代に宮は合うし、守護者なんだから衛も合うんじゃね?

と考え組織名を衛宮にしてみました。


長々と書いてしまいましたね。
今回も読んでいただきありがとうございます。

コメント・意見・感想をお待ちしております。
ぜひぜひ書いてください、書いてくださると作者がとても喜びます。


では今後ともよろしくお願いします。

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