小説『日本式魔術師の旅〜とある魔術編〜』
作者:ヨハン()

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Side-オリアナ

くぅ、まずいわね。

一が今までとは違うとは言っていたけど、これは段違いよ


「全員接近戦はしてはだめよ!
 隊列を組んで魔術を絶やさないようにしないさい!!
 大規模爆撃魔術が放てる人はその準備!」


とは言ったものの、敵の接近が止められないわ

重傷者こそ出てはいないけど、怪我は確実に増えて行っているし、

使い魔も消したそばから復活し数も増えて行っている。
ジリ貧どころか絶望的な戦況ね。



オリアナたちは広場の中心において、
隊列を組み順々に魔術を放つことで敵の進行を何とか食い止めている。

しかし魔術の有効範囲外からも使い魔が接近しており、
左右に魔術も放たなければならなくなり、密度が薄くなる。

そして密度が薄くなれば使い魔が接近し、
それに対応すると左右の魔術の届かない場所から使い魔が接近を図る。


オリアナが孤軍奮闘し何とか戦場の状態を保っているが、
オリアナの速記原典が突き次第一気に形成は傾くだろう。


だめね、どうやっても勝機が見つけられない。
しいて言うならば一が勝つまでの時間を稼ぐことなんだろうけど・・・


「運び屋の御嬢さん、もう勝敗は決まりました。
 魔道書を渡してくださいませんか?」

突然副リーダーがお姉さんに話しかけてきた。

「何を言っているのかしら?
 まだこっちは誰も倒れていないわよ?
 それなのに勝敗は決まっただなんて、ぼけちゃったかしら?」

一応呆けてはみるが・・・

「ふふふふ、あなたは強いですね。
 ですが、わかっているでしょう?
 あなた方はこのまま戦っていても、勝機がない。
 しかしと言ってあの少年一一といいましたか?
 彼がジル殿倒してここに戻ってくるまでの時間も稼ぐことができない。
 ・・・・・あなたはわかっていますよね?」


その言葉に周りがどよめき始める。
今は副リーダーが話すためか攻撃をしてこないが、彼の言葉で士気が下がってしまった。

持ちこたえるのはより難しくなるでしょうね。

(降伏勧告というよりは、それが目的なのかもね)


そう考えたとしてもどうしようもない。

こちらは士気上げる方法がないのだから。
もし死人、もしくは重傷者が出てしまったらこちらは総崩れになるだろう。


(一か八か特攻を仕掛けてみようかしら?)


「そうそう、私たちの復讐相手は教会の者共。
 運び屋の御嬢さんはもちろん、後ろの魔術結社の方々も復讐対象ではありません。
 ゆえに抵抗しないのならば、」


(まずい!!)

彼が次に発する言葉を理解し、彼の言葉を止める方法を考える。

しかし無情にもその手段はない。
オリアナがいくら魔術を放ったとしても、周りの使い魔が防いでしまう。

もし使い魔が防げなかったとしても、倒し切る確証がない。


(ごめんなさい一、お姉さんじゃ魔道書守りきれそうにないわ・・・・)


止める手段がない彼女はただ聞くしかない、
敵のこちらを総崩れにさせるであろう言葉を


「殺す気はこちらにはありません」


その言葉とともに、士気が崩れるのが背後から感じられる。

そして視線も、降伏を願う視線を


そうよね、誰も進んで死のうとは思わないわよね。

でもね、私だけは何もせずに降伏なんてことはできないのよ。


「わかったわ、お姉さんたちはあなたに降伏するわ。」


後ろから安堵のため息が聞こえてくる。


「では、まどう「でもね!」」


副リーダーが魔道書を渡すように言ってくるが、それを遮り話を続ける。


「お姉さん・・・オリアナ=トムソンはまだ抗わせてもらうわ。
 これはお姉さん個人の問題だから、後ろの人たちは関係ないから殺さないでちょうだい。
 その代わりと言っては変だけど、お姉さんは殺していいわよ?」

最後はからかうように、雰囲気を軽めに喋る。


「・・・・何故ですか?
 この状況でなぜ戦うことを選ぶのですか?」


副リーダーや、後ろから懐疑的な視線が来る。
お姉さんはその視線を感じ笑みを深めてしまう。


「フフッ、簡単なことよ。
 私は一のことが好きなの、その彼が諦めずに戦っているの。
 だからお姉さんが何もせずに諦めることはできないわ。
 最もお姉さんが死んでしまったら、一も悲しむだろうから死ぬ気はないけどね。」

「好きだから・・・ですか。」

「そうよ、恋する女は強しってね♪」


お姉さんの言葉に何か感じるものがあったのか、副リーダーは目をつぶり何か思考にふけっている。

オリアナはその間に予備の単語帳をだし戦闘の準備を整えていく。


(ただの狂人だと思っていたけど、彼にも何かあったのかしらね)

私の言葉に反応するということは、きっと彼もまた恋をしていということなんでしょうね。


「お、俺たちも戦います!」

突然背後から声がかかる。

「そうだ、年下の嬢ちゃんが戦うって言ってんだ。
 大人であり男の俺たちが降伏するわけにはいかないよな!」

「私にもそんな時期があったわね〜」

「あなたはまだ若いでしょうに」

「好きな男性がいる嬢ちゃんを死なせるわけにはいけないよな」

「こんな美人さんに慕われているあの少年がうらやましいぞ!チクショ〜!」

「生き残ってあの少年を殴ってやらなくてはいけないな。
 諸君!男とは!」

「「「「愛を捨て!哀に生きる者!」」」」

「なにを言っているのよ、あなたたちは・・・」

「嫉妬は醜いね〜」

「・・・・・・その本音は?」

「「「「「リア充羨ましいであります!!!リア充死ね!!!」」」」」


さっきまでの雰囲気はなく、みんな明るく笑い合っている。
こちらに笑顔を向けるもの、暴走しているものいっぱいいるが皆が戦意を充実させている。


「あ、ありがとう////」

彼らの言葉に思わず赤くなってしまったが、
それ以上に喜びを感じる。


「礼を言われるようなことはしていないな。」

「そうね、私たちがしたいようにするだけだかね♪」

「「「「「赤くなってる、オリアナちゃん可愛い〜!!!!!」」」」」

「「いい加減にしろ!!」」


確かに勝機はないのかもしれないが、彼らには絶望はない。


「そうですか・・・・
 こちらとしては、降伏をしてほしかったのですが・・・残念です。」

「お姉さんたちは最後まで抗わせてもらうわよ?」

「そのようですね」


副リーダーは私たちの行動にため息をついている。
自らの策が失敗し、戦わなければならないのだが、彼の眼には怒りなどの負の感情はなく。

あるのは綺麗なものを見つめるような目


「残念ですが、無理やりにでも魔道書を奪わせてもらいます。
 安心してください、あなたたちの心意気に免じて殺しはしません。
 あなた方のような素晴らしい人たちを殺すようなことはしたくありませんしね。」

「ふふ、お姉さんに惚れちゃった?」

「ええ、そうですね。
 惚れてしまいました。あくまでLikeですが。
 ・・・・さて、戦うとしましょうか」

「そうね。
 全員さっきも一が言っていたけど死んじゃ駄目よ?
 戦えそうになくなったら降伏しちゃいなさい」


お姉さんは背後に控えている、頼りになる仲間を見つめながらしゃべる。


「あなたたちが死んだら、お姉さんや、一、それにあなたたちの仲間、
 知り合いが悲しむんだからね。
 醜くても生き延びて」

「「「「「「「おう!!」」」」」」

「さあ」


『戦いましょうか!』




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お久しぶりです。
私を見捨てずに見てくださってありがとうございます。

学校が始まったことで、少しバテ始めました。

お恥ずかしい限りです。

す、少し更新ができていなかったらランキングが〜↓


原作に入っていないからか、伸びが悪いしすぐに落ちますね

原作に早く入るべき・・・か

しかしオリジナルだから更新が進めづらい(汗)


過去編ということで修行をすっ飛ばすのもありですかね?
もしくはダイジェスト。

これの問題点は式神や妖怪を出すんですが、
登場したらいきなりフラグ回収してある状態になるんですよね・・・・どうしましょ?


応援これからもお願いします。

コメントもたくさん書いてみてください。
作者が喜びますw

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