小説『日本式魔術師の旅〜とある魔術編〜』
作者:ヨハン()

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「つあっ!」

もう一方の戦場はすでに決着がつき始めている


オリアナは吹き飛ばされ、魔術師たちはあちらこちらで倒れ伏している。


これは戦場と言っていいものか

オリアナは傷つき、魔術師たちは倒れている
それに対し副リーダーは一切の怪我がない。


敗北を遅らせているだけ、
決着は既に決まっている・・・それははたして戦いと言えるのだろうか


「ぐああ!」

「きゃああああ!」


(まずいわね、もう限界だわ)


それも無理はない。
今までは後ろからの後方支援もあって、なんとか保っていた。

しかし、後ろの魔術師たちはすでに倒れている。

オリアナ一人だけでは使い魔たちの進行を止めることはできない。


「もう勝敗は決しました。
 降参をしてください。」


前方から声がかかる。
それは降伏を促す声、何度も聞いたその内容

誰がどう見ても勝敗は決している
いつでも殺せる状態なのに、降伏を促すのは優しいのだろう。


誰もがその甘い誘惑にすがりつきたくなる、
それはオリアナとして例外ではない。


(だけど・・・)
「それは聞けないわね」

オリアナは立ち上がる。
自らの信念をもって、甘い誘惑を振り払い。


「でもこれ以上戦うのは無理・・・・
 だからこれが最後の一撃、この一撃にすべてを込めるわ」

(この一撃で私ができることはなくなってしまうわね。
 一からもらった府はもう破れてしまったし、
 たぶん打ち勝つことはできないでしょうけど・・・・
 やらないで後悔よりはやって後悔よね)


オリアナの眼を見つめ、何かを見たのか

「・・・・いいでしょう。
 その一撃正面から打ち破ってあげます。
 そうしなければ諦めなさそうですしね。」


受けなくてもよい勝負を受ける彼
そこには狂人としての彼はすでに無い。
彼らと戦い何かを思い出したのか、気付いたのか

それは本人しかわからないが、彼もまた覚悟をもって相対することを決めた


「感謝するわ・・・・
 さて、行くわよ!!」

”All_of_Symbol”残った単語帳を全て使用し発動!

我が身に宿る全ての才能に告げる――
――その全霊を解放し目の前の敵を討て!!


それはすべてを飲み込む白き奔流
全てを飲み込み破壊せんと襲い掛かる


「ドラゴンよ!
 汝が最高の一撃、破壊の息吹を放て!!」


それに対するはすべてを焼き尽くす黒き炎の熱線。
白と黒が相対しお互い鎬を削りあう


簡易的な偽物の魔道書と偽物の影のドラゴン
お互いの最高の一撃は均衡を保っていたが、白き奔流が押され始める。


「くうぅぅっ!」

「はああああ!」


そしてその均衡は完全に破られる。

黒き熱線は白き奔流を燃やし尽くし、オリアナに襲い掛かる。


(これは、死んだわね)


オリアナは自らに迫る熱戦を見るが、全力を出したオリアナによけるだけの体力はない。


(ごめんなさいね一、
 お姉さんここまでみたい)

迫りくる脅威を受け入れ、衝撃に備える。

・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・

・・・・

(?おかしい、衝撃が来ないわね)

いつまでたっても自らに衝撃が襲い掛からないことに、不信を覚え目を開くと・・・

そこには土の壁があり、ドラゴンの熱線のすべてを防いでいる。
こんな芸当ができるのは


(一だけよね、また助けられちゃったな。
 でも私を助けてくれたってことは、戦いが終わったのかしら?)


そう考え、一の方を見ようとした瞬間
私の足元に何かが吹き飛んでくる


「きゃ!一体何よ、びっくりす・・る・・・わ・・・ね」


それは血みどろになっている一だった


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