小説『日本式魔術師の旅〜とある魔術編〜』
作者:ヨハン()

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広場にて多数の鎧を着た男性と戦っている一人の男性がいる。
しかしその圧倒的な人数の差を使い魔を召喚し、巧みに扱うことで対等に戦っていた。


戦闘中ジルは背後から気配を感じ大剣を全方位の振り回す。


「くっ」


奇襲を行おうとしていた神裂はとっさに後ろに飛ぶことで、その攻撃を避ける。


「今度は聖人か」

「ええ、そうです。
 あなたが一を傷つけた本人ですね?」

「ああ、そのとおりだ。」


神裂は後ろに飛んだことでできた距離をそのままに、騎士団長の横に行く。


「一をあそこまで傷つけたんだ、覚悟はできているだろうな?」

「お互いの同意の上に戦ったのだ、貴様に傷つけられる理由はない。
 最も戦場にいるのだ、傷つくことも死ぬことも覚悟はしているがな。」


その言葉の瞬間、ジルは一瞬で視界から消え去る。
神裂は目標を見失うが、騎士団長はしっかりと把握しジルの迎撃を行う。


「神裂!怒りにのまれるな!!
 冷静に戦えばとらえられない速度ではない!」

「はい!」


神裂とて幼いころから仕事を行っていた人物であり、場数はある程度こなしている。
騎士団長に叱られることで、公私をしっかりと分け

頭は冷静に、心は熱い状態にすぐさま持っていく。


「ほう、甘ちゃんだと思っていたが・・・
 意外としっかりしているようだ」

「ほざけっ!」

「だが、一と比べたらまだ甘いな」


騎士団長に合わせ神裂も同時に切りかかるが、防がれ二人とも吹き飛ばされる。
それに追い打ちをかけるように使い魔達が一気に殺到する。


「だが、このまま戦えばこちらがジリ貧になるのは確実。」

「ならば、さっさと降参するんだな!」


騎士団長は使い魔を吹き飛ばしながらも怒鳴る。
その横では神裂も騎士団長を手伝いながらジルを睨みつける。


「しかし、あなた方は先ほどまでの方々と違い。
我らが憎むべき対象・・・・・
手加減する必要はないな・・・・・」

「何?」


誰かがつぶやいた言葉を無視しさらに語り続ける。

「今ここにいるのは、神を信じる愚か者達
 神名を語る愚者達、
 そしてそれを容認する外道達」



両手を広げまるで劇場舞台に立っているかのように



「今をもって、我らは復讐の旗を掲げよう。
 
 見捨てられたるものは集うがいい。私が率いる、私が統べる
 
 我らおとしめられたる者達の怨嗟は、必ずや神にも届く。
 
 おお、天上の主よ、私は糾弾を以て御身を讃えよう。
 
 傍眼(ぼうがん)なる神よ、冷酷なる神よ
 
 我らを御座(みざ)より見下ろしたまえ。
 
 あなた様を信じる愛すべき人の子を死ぬのを傍観するがいい

 天上の主よ、私は復讐と殺戮をもって汝を汚そう

 我らが力を、意志をもって



 我らは御座(みざ)より引きずりおろす。」


その天にまで届く狂気に場の全員が飲まれる。

おぞましい怪物が次々と召喚されていく。
そしてジルの足元から召喚される海魔はジルを包み込み、肥大していく。

それは副リーダー召喚した偽物ではなく、本物の魔。

その再生能力は強大で、怪物を切っても一切効果がなく
逆に血をもって新たに召喚される。


数の優位性はすでに消え、召喚者自体も分厚い肉の壁の奥におり攻撃ができず、

肉の壁自体、英雄をもってしても殺し切ることが出来ないであろう再生能力を持つ。


絶望が今目の前に召喚された


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