小説『日本式魔術師の旅〜とある魔術編〜』
作者:ヨハン()

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「一!?
 怪我は!?動いても大丈夫なのですか!?」


今の状況を認識した火織の行動は、お礼ではなく
疑問の叫びだった。

火織は抱きしめられている状態のまま、一の体を触り始める。

傍から見れば、抱きしめられている女性が
抱き着いているように見えるかもしれないが・・・


「大丈夫ですので、暴れないでください!」


抱き上げている立場からするとどうだろう?

くすぐったいわ、動かれるでわたまったものではないだろう。


「一様・・・今はそんなことをしている場合では・・・」


その時後ろから冷たい声が

その言葉に火織は冷静さを取り戻し
一はうすら寒いものを感じる。


「(なっ、この体勢!?おおおお姫様抱っこというものでは///////)
 って一様!?誰です!!?」

「愛紗、私はそんなつもりはないです・・・・よ?
 それと火織落ち着きましたか?」

「あ、はい。大丈夫です・・・・じゃなくてそこの女性は誰です!?」


一の言葉で一瞬勢いが収まるが、すぐに再発し
愛紗を指しながら、一に疑問の声を叫ぶ。


「私の名は十二神将が一人にして四神の青竜です。
 一様の式神でもあります。」

「式・・・神?」

「ええ、そうですよ?
 ・・・・それと愛紗というのは彼女の真名というものです。
 神である以上本人が認めない以外、
 物理的といううか意味的に呼ぶことはできませんがね。」

「・・・・・一・・・早く」


火織を宥めつつ、説明をしていたら
声と共に袖に違和感を感じる。

そこには私を急かすように、袖を引いている恋が


「そうですね・・・火織、少し移動しますよ」

「え?、きゃあ!」


火織に少し声をかけ、先ほど火織の元に移動したように
今度はオリアナ達の元に一気に移動する。

愛紗や恋も使い魔や海魔に牽制しながら、追従する。


着くや否やオリアナとレッサーが駆け寄ってきて、
口々に私に対する心配や、いきなりの行動に文句を言ってくる。

その言葉に返答しつつ、レッサーを確認する。
私が倒れたことによって、結界が緩くなり救出されたのでしょうが・・・

そのまま去らずにここに残ってしまっている。
それに簡易的ですが式紙との契約がなされています。


これは確実に巻き込んでしまいましたね・・・


「オリアナ、火織、レッサー」


私の言葉に三人とも黙り、
私の眼を見つめる。


「これから私はもう一度ジルに挑みます。」


言葉の途中に反論をしようとするが、それを黙殺し続ける。


「危ないなどは言ってられません、
 今のあなた方では戦えないでしょうし致命傷も与えられないでしょう?」


私の言葉を理解したのか、悔しそうにうつむいてしまう。
そんな彼女たちを愛おしく思える。

本当に私のことを思っているのだと、心配してくれているのだと感じる。


レッサーも空気を呼んでいるのか、目に涙を溜めながらも黙っている。

いや、袖をつかみ私の眼を見つめてきた。


「今度は、怪我しないですか?
 さっき凄く怖かったんです、死んじゃうんじゃないかって・・・」


・・この子は・・・・


「ええ、今度は怪我をしませんよ。
 レッサーは安心してここにいてください。」


レッサーは子供ながらの無遠慮に見つめる視線で私を見つめる。
安心させるためにも、信じてもらうためにも視線を合し見つめ返す。

しばらくの無言の時間

誰も二人の邪魔をせず、二人の行方を見つめる。


「・・・・わかりました
 今度こそ倒しちゃってくださいね」

「ええ、任せてください」


そういうと立ち上がり、海魔に向けて歩き出す。


「では、愛紗護衛をよろしくお願いします。」

「はっ。」


背後では愛紗が青竜偃月刀を構え、オリアナや負傷した騎士たちの壁となり立ち塞がっている。


「無理はするなよ」

「ご武運を一」

「負けたらお姉さん許さないからね?」

「頑張ってください」


愛紗の後ろで、騎士団長が、火織が、オリアナが、レッサーが応援をしていてくれいる。

前方では恋が敵を薙ぎ払い、横に玉藻が歩いてくる。


「玉藻結界の強化を」

「了解で〜す。
 例えこの広場が更地になろうとも誰も気づくことの無い結界を張っちゃいますよ〜!」


そういうや否や、符を四方八方に投げ呪を唱える。
その瞬間今まで張られていたものとは比べ物にならない、強固な結界が張られる。


「お見事ですね、玉藻」

「なんのなんの、これぐらい朝飯前ですよ!
 さてと本来の仕事をしますかね・・・
 恋ちゃん!そのまま敵を近づけないでくださいね?」

「・・・・りょ〜かい」

「じゃあ、行きますか!
 さあさあ皆様!ご主人様!
 良妻狐の舞をご覧くださいね?」


そういうと私の前に立ち、扇を手に出す。

その瞬間張りつめている空気が変わる。
玉藻の雰囲気に、魔力に広場は掌握される。


神秘的で美しい空気、今この瞬間この広場は玉藻の儀式場となる。

ここにいる全ての生き物が、玉藻の一挙手一投足に舞に魅了される。


「我が元に命在り
 審美確かに生命の息吹を
 山河水天に殺生す
 是自在にして九つの尾
 名を大妖 九尾の狐
 秘術生命創造也
 ……なんちゃって」


舞と共に玉藻の尻尾は黄金に輝く。

そして舞が終わると同時に光は周りに四散する。


そして四散した光から、狐や犬、人、鬼、様々な姿が現す。


「これが私の秘術です。
 本来ならば100万の軍勢を創りだすことができるんですけどね・・・
 制限がかかっているのであまり作れませんが、
 今回程度ならばこれぐらいで大丈夫でしょう。
 量的には同等ですが、質的にはこちらが圧倒してますし」

「驚きました・・・
 妖狐を召喚するもんだと思っていたんですが、まさか創造。
 それに狐以外にもいますね。」

「おやおや?
 これは好感触ですか?
 和製の使い魔は私の殺生石を利用していることが多いですからね、
 使い魔自体はほとんど網羅できるんですよ。
 それに私は九尾の狐にして天照大神に大日如来、ダキニ天と様々な姿がありますからね。
 つまり万物の慈母や主神、大妖怪ですから想像自体もお茶の子さいさい!ですよ!」


一が感嘆するかのように、玉藻が創りだした数百の軍勢を見つめる。
それに喜び、活き活きと自分の能力や出自を説明しだす玉藻

その尻尾は左右に上機嫌に揺れている。


「どうですか、どうですか、ご主人様?
 あなたの良妻狐の感想は?
 惚れましたか?」

「ええ、惚れましたよ?
 あなたの能力にですが。
 中身についてはこれから付き合っていかなくては分かりませんけどね?
 一目ぼれを否定はしませんが・・・
 やっぱり恋愛はしっかりとお互いを理解したいですし、
 私は玉藻のことをもっと知りたいですし・・・ね?」

「はうっ/////
 ・・・それは、反則ですよご主人様//////」


私の言葉にうつむき、ボソボソとつぶやく玉藻
何を言っているのかは分からないが、可愛らしいのでそっとしておく。

軍勢が現れ、使い魔たちと戦い始めたため恋がこちら側に戻ってくる。


「・・・・・?」


玉藻を見て小首を傾げていたが、気にしないことにしたのかこちらを向く。


「・・・・やる?」

「そうですね、では恋。
 久しぶりの共闘です、背中は任せましたよ?」

「・・・・・ん」


恋愛用の方天画戟を振り回す、任せとけとばかりに。
反応はいつも通りだが、恋の頭の触手が嬉しそうに動いている。

その光景に思わずほほが緩みそうになるが、我慢。

そして玉藻を正気に戻すために、声をかける。


「玉藻!使い魔に関しては任せましたよ!」

「ハッ!あ、はいお任せくださいご主人様!」


さてと玉藻も正気に戻りましたし、愛紗がオリアナ達を守ってくれている。
心配することは何もありません

では、リベンジに行くとしましょうか。



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実力ランキングが上がらない〜♪

ふと思ったんだが、これが原因か?


この余分な文が・・・・・

やめるべきなのだろうか?

どうでしょう?意見お願いします

-50-
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