小説『日本式魔術師の旅〜とある魔術編〜』
作者:ヨハン()

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「で、あなたはどのような役目で私のところに?」

「学園統括理事長が守護者と話をしたいそうだニャー」


土御門元春を家に上げ、お互いが椅子に向かい合いながら座り
話をする体制になる。

土御門は魔術師の工房ともいえる場所にいるのに余裕を崩さず、
腕を組みながら質問に答える。


「守護者と・・・ですか」

「ああ、一一あんたと話したいっていうことだニャー」


守護者=一一と結びつけることのできる人物は、
ローマ教皇・アークビショップ・天皇家・イギリス王室・傾国の女・明け色の陽射しなど巨大魔術結社
など極一部限られた上位の存在

そして守護者はその中でも重要な意味をする

守護者は国同士の正当性がある戦争に関しては介入は行わないが、
魔術がらみの侵略行為に関しては今まで全ての国・結社から迎撃・報復を成功させている


逆に正当な方法で交渉を行い、また守護者がそれに応じた時莫大な利益が得られる。


だからこそ国のトップ達が語り継いでいるのが、
「守護者に挑むな、守護者には敬意をもって接しよ」

ちなみにアークビショップなどイギリスではまだ一が守護者ではなく、
また両親が一個人として接してやってくれと頼んでいたためフランクに接していた。


エストは守護者の意味を正しく理解していたため、
土御門が守護者=一と繋げたことが異常だとわかり警戒を強める。

一に危害を加える気ならば排除する

言葉も殺気もないが、目が如実にそれを表している。


「お茶しか出せませんが、どうぞ」


土御門はエストの敵意を感じたのか、エストを訝しげ見る。

エストは自身が一のための剣であると考えており、
また一自身むやみな殺生を好まないことも理解しているため、
一の支持なしには人を殺そうとは考えない。

だがエストは一のことが大好きのため、一に危害を与える存在が嫌いである。
そしてその可能性が高い土御門に盛大な敵意を向けている。

土御門がエスト訝しげに見た理由はこれらにあり、
それは敵意の大きさの割に殺気を一切感じられないためである。


少し空気が悪くなった瞬間、レッサーがお茶を手に部屋に入ってきた。

レッサーは悪い空気を無視して、お茶を各自に渡す。
そしてエストの耳元で


「客人に無礼を働いたら、一の評価が下がってしまいますよ?」

「!?」


その言葉にエストは一瞬目を見開くと、敵意を収める。
最も警戒心は無くなっていないが。


「ありがとう、レッサー。
 ・・・・土御門殿、あなたの言い分は分かりました・・・が
 それを確認する手段がこちらとしてはありません。
 また土御門家には散々騙されたことがありますからね、信用もできません。」


レッサーに目配せで礼をしながら、お茶を飲む。

一息つきながら、土御門に目線を再び向ける。
土御門もまたエストから目線を外し、一に戻す。

目で土御門にお茶を進めると、素直にお茶を飲み言葉を発する。


「散々騙したって、そりゃご先祖様のことぜよ。
 それに騙しても目的を果たせたことは無かったらしいし、
 死人もこっちぐらいしか出てない。
 そもそも両親の仇とかなわけでもないし、俺っちたちには関係ないことだぜい。
 水に流してもいいんじゃないかにゃ〜?」

「水に流すとかはこちらのセリフだと思いますがね?」

「じゃあ、どうぞ
 遠慮をする必要はないニャー?」

「許すとはいとことも言ってませんが・・・」


土御門のあまりにも軽い言葉に、一族の因縁どうでも良くなってくる。

というよりは頭が痛くなるといううか、疲れ、脱力によって
思わず顔を手で覆ってしまう。


「はぁ、どちらにしても信用ができない以上素直には従えませんね。
 素直に学園都市の教師でも派遣してください。」

「なははは、一切信用が無いニャー
 ・・・・・・実際のところ、素直に来た方がいいと思うぞ?」


今までの胡散臭い雰囲気は無くなり、
魔術師としての顔に一気になった土御門が真剣にこちらを見つめてくる。

その代り用にレッサーは驚き、エストは意外そうに見つめている。

一は面白いものを見たかのように、興味深げに土御門を見直す。


「なぜ?」

「アレイスター=クロウリー。
 それが学園統括理事長の名前だ。
 ちなみにお前たちが一番最初に思い浮かべた存在であっているよ。」

「嘘、クロウリーは討伐されたはずです。
 それにクロウリーが死んだとという情報も上がっています。」


レッサーがそれに食って掛かる。
それもそのはず、アレイスター=クロウリーは魔術師としては尊敬できるほど優秀な存在だが、
それと同じくして最悪の人間であると有名であるからである。

もしそれが事実ならば、一気に学園都市の危険度は上がる。

そうなれば、一もより危険性の高い戦いに赴く可能性が高くなる。
そのようなことは、一のことが好きなレッサーにとっては認めたくないことである。


「おそらく事実だ。
 おまけに守護者のことも調べ上げているようだ。
 素直に出向き、交渉したほうが正解のはず」

「・・・・なぜそれを私に?」


私の疑問に土御門は思わず視線を机に下げる。
言ってもいいかどうかを悩んでいるようだ。

一もまたこの言葉によって、判断を着けようと考えている。

こいつは信用できるか?

お互いが頭の中で考え、計っている内容である。


「・・・・俺は権力に何か興味はない。」


数分後土御門は語りだす。

自身の中で答えが出たのか、しっかりとこちらを見つめる。
その眼には一切の迷いがなく、また魔術師としての眼でもなかった。


「待ってください。
 レッサー、エストすいませんが」

「わかっていますよ。
 出てけばいいんでしょう?」


土御門の言葉を途中で中断させ、レッサーとエストを見つめる。
一の言葉の意味を察したのか、レッサーはすぐさま部屋を出る準備を始める。

エストは一と土御門の二人の間に目線をさまよわせ、
何かを考えるかのように小首を傾げ


「わかりました。
 この人は大丈夫そうなので、失礼します。」


土御門に危険性が無いと判断したのか、レッサーの後に続き部屋を出ていく。

それを見送り、再び土御門に目線を合わせる。


土御門は驚いたかのように、こちらを見つめている。


「良いのか?護衛何だろ?」

「今までだったら、部屋からは出さなかったですが・・・
 あなたの今の眼は信頼できそうですしね。
 それに話す内容も女子がいたら話し辛そうですし。
 なによりも、あの二人より私の方が強い、だから大丈夫です。」


一の言葉に思わず目を見開いている、土御門だが納得したのか
笑みを漏らす。


「そうか、じゃあ続けさせてもらうぜ。
 さっきも言ったが、俺に権力なんか興味ないし、一族の因縁にも興味ない。
 俺には義妹がいてな、俺が興味あるんは義妹を守ることだけだ。
 義妹は魔術師でも超能力者でもない、身を守る能力が無いんだ。
 だから俺が義妹を守る。
 そのためならば多重スパイだってやって見せる。
 ・・・・でも実際限界はあるし、俺は能力開発を受けてしまった。
 能力者は魔術を使えないからな、より命の危険は増した。
 だからもし俺に何かあった時、義妹を守ってもらいたい。
 そのために情報を話したのさ」

「・・・・・・・・フフッ
 まさか土御門家の中に1のために全てを捨てるか覚悟があるもの居るとは、
 驚きましたね。
 いいでしょう、学園統括理事長・・・いえクロウリーのもとに連れて行ってください。」


土御門家らしからぬ言葉に驚いたが、その内容は気持ちが良いものであった。
そしてそれは土御門家は信用は出来ないでしょうが、
土御門元春は信用できる存在だと判断するには十分。


「ああ、それと
 義妹のことは心配しないでください、何かあった時守ってあげますよ。」


それだけ言うと、準備をするといって一は部屋から出ていく。
土御門は頼りになる存在から、約束を、保護の確約をもらったことに安心し
一が出ていくのを見送るのであった。




おまけ1

「ちなみに土御門殿」

「殿とかいらないにゃ〜
 で?なんですたい?」

「ふと疑問に思ったのですが・・・・
 あなた義妹のこと異性として好きなのですか?」

「ブッ!!
 んなわけあるか!!!
 家族としてだ!!!あくまで親愛、兄弟愛だ!!!!」

「ふむ、それは失礼」

「ああ、まったくだニャー。
 ・・・・俺は義妹に魔術師としてのプレッシャーに潰れそうになっていたところを助けてもらたんだ。
 そんな感情は抱かないさ、あるのは感謝の念だ。」

「なるほど」



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更新だぜい!


一応舞夏をヒロイン入りさせてもおかしくないように、オマケを入れてみましたが・・・

どうしよう?


落とすか?


一応土御門のライバル一族として一があるため、
天才の土御門にはプレッシャーが強かったという設定です。


ではでは、コメント・応援今後ともよろしくお願いします。

コメントありがとうございます!


おかげで創作意欲がわき、結構早めに更新できました!

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