小説『日本式魔術師の旅〜とある魔術編〜』
作者:ヨハン()

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「今回の任務の内容は、暴走している研究者たちの抹殺です。
 また実験体とされている人達がいるようなので、
 任務外ですが私はそちらに向かいます。」


空がすでに暗闇に染まり
人であふれていた道路は静まりかえっている。

その中を走り抜ける一台のワゴン車
そこでは今向かっている研究所での各自の行動が話し合われている。


「私と一緒に来るのはエスト一人です。
 それ以外のメンバーは、研究者の排除をお願いします。」

「わかりました」

「・・・ん」

「お姉さんとしては、一と一緒に居たかったんだけどね〜」


各々が了解の言葉を発す中、一人だけ沈黙を守る少女が
一の隣に座っている、黒髪の少女である

初めての任務に体が竦み、
他の、周りを気にする余裕がない

それもそのはず、今から行う任務は人と殺しあう必要があるからだ。


「レッサー、大丈夫「ひゃ、ひゃいっ!」・・・・ではなさそうですね」


声をかけた瞬間、身体を飛び上がらせ
返事もまた噛んでいる。

誰でも一目で、緊張しているのがわかるであろう反応だ


「レッサー、安心しろとは言いません。
 今回の任務、私はレッサーと一緒に居ないため守ってあげることも出来ませんからね。」


その言葉に不安が大きくなったのか、
一緒に行動をしたいという表情が浮かぶ。

一としても安全のため、一緒に行動をしたいところだが
今後のことを考えるならば、ここは厳しくしておいたほうが良い。


これからの任務
一といつも一緒に居られることはまずない。
またこちら側に来る以上、危険な任務を受けていくことは必須。

だからこそ、一に頼り切っている今の状態を抜けなくてはならない。
それがレッサーを生かすために必要なことである。


「しかし、貴方は一人ではありません。
 オリアナと恋が貴方と一緒にいます。
 オリアナは学園都市での戦いは初ですが、今までにいくつかの戦場に行ったことのある先輩。
 恋は、それこそオリアナ以上の修羅場を駆け抜けてきた人物。」


隣に座っている、レッサーを抱き上げ膝に座らせる。
そして後ろこら抱擁をしながら、
オリアナや恋を指しながら、耳元でささやいていく。


「こんな頼りになる人たちがいるのです、
 安心をして隙を作ってはいけませんが、過剰な心配をする必要はないでしょう?」

「・・・・・はい」

「だったら、今できる最善の状態で挑んでください。
 レッサーの努力は私が知っています。
 レッサーだったらこんな任務簡単にこなすことができます。」

「・・・・・・・・はい」


ジルとの戦いは、巻き込まれただけで自分が表立ったわけでは無かった。
しかし今回は、自分が最前線に立ち戦う必要がある。

自らの命が狙われ、死ぬかもしれない恐怖
言葉では覚悟を述べることができたし、今でもその覚悟は揺らがない。

しかし、生物としての本能が
その事実に恐怖し、身体が硬直し、思考が鈍る


しかし一の言葉で、ぬくもりで緊張が解け、ようやく冷静になることができた。
自分が殺されてしまうのではないのかという恐怖に苛まれていたレッサーは、

一人ではないということを確認することで、
ようやく落ち着きを取り戻す


「・・・・落ち着きましたか?」

「はい、心配をかけてすいません一さん」

「初の任務ですから、仕方ないです」

「そうですねぇ、
 でも初だからと言って恋さん達のことを忘れるなんて、
 私もまだまだですかね」


言葉も通常通りに戻りつつあり、
これで一安心とレッサーを膝から降ろそうとするが


「すいません、一さん。
 もう少しこのままでいいですか?」


レッサーのその言葉に動きを止める。
確かに過度な緊張こそ解けたが、緊張している事には変わらない。

今は少しでも一の温もりが、
好きな人の温もりが欲しいのだろうか


「ええ、構いませんよ」


レッサーの心境を察し、
もう一度後ろからレッサーのお腹に手を回し抱きしめる。

レッサーもまた、自らの手を一の手に重ね合わせ
一によりかかるように座る


その状況を嫉妬した目で見つめる、二人


「・・・・ずるい」

「・・・・・・・・・(ジー)」

「まあまあ、レッサーちゃんにとっては大切な時期なんだから
 先達者のお姉さんたちは譲ってあげましょう?
 ただ、お姉さんたちのことを忘れるなんて・・・
 そんなにも頼りないかしら?お姉さんたち」

「いえ!そんなことはなくてですね!」


オリアナの空気の読んだ発言

少しでもレッサーの気を紛らわせるために、軽い話題を振る。
恋やエストも空気を呼んで、その話題に乗り
あわよくば一の膝の上に座ろうとする。

皆がレッサーの心配をし、レッサーもまたその思いに感謝し明るくふるまう


そんな明るい空気の中、二人は目的地に到着するまでずっと手を繋ぎ
お互いのぬくもりを感受しているのであった。




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更新です

とても遅れてしまいました


恋姫の始まりが難しいです

恋姫のキャラや、戦国武将が多いので
台本形式でしたっけ?で最初は書こうかな?と思うんですが意見をお願いします。

一応試に、普通に書いてみるだけは、書いてもいいでしょうか?

sounさん誤字連絡ありがとうございます

コメントをお待ちしております

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