小説『日本式魔術師の旅〜とある魔術編〜』
作者:ヨハン()

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Side-reigo

夕日に染まりつつある空に響き渡る幼い女の子の声。
私はその声を聴き思わず後ろを振り向いた


「美琴ちゃん?」

「おにーちゃーーん!」


その声とともに私の体に衝撃が走った


「・・・前にも言ったでしょう?いきなり飛びついたら危ないと」

「グスッ・・・おにいちゃんならだいじょうぶだって・・・しんじてるもん」

「前にも聞きましたね、その言葉」

「・・・・・ねえおにいちゃん、やっぱりいっちゃうの?」

「・・・・・・ええ」

「いやだよう・・・ずっといっしょにいてよう・・・」


顔を見ることはできていませんが、私の服がぬれているのを感じる


「美琴ちゃん・・・よく聞いてください」

「・・・・・・」


私は美琴ちゃんを抱きしめ、落ち着くように頭をなでながら耳元でささやくようにつぶやく


「確かに私は京都に行ってしまいます。
しかし、何もこれが一生の別れになるというわけではありません。
私はちゃんと帰ってきますよ。」

「ほんとう・・・?」

「ええ、じゃないと約束が守れませんからね」

「・・・・やく・・・そく・・」

「もっとも、私と行きたくなくなっていたらわかりませんが」

「そんなことない!ぜったいおにいちゃんといく!!」


美琴ちゃんはあわてて私の目を見ながら叫んだ


「ならば大丈夫です。美琴ちゃんが約束を覚えている限り・・・
私は約束を果たすために帰ってきますよ。」

「うん」

「それに、私は約束をやぶったことがないでしょう?」

「うん・・・うん・・・」

「なら最後は笑顔で見送ってください、
それが私にとって約束を守るために最高の贈り物になります。」

「ほんとうに?」

「ええ」


美琴ちゃんは泣くのをやめ、私の心意をはかるようにじっとみつめてきた


「・・・いつ・・・」

「なんですか?」

「いつになったらかえってくるの?」

「そうですね・・・・
この指輪を美琴ちゃんにあげます。
この指輪はまだまだ美琴ちゃんには大きいです。
だからこの指輪が美琴ちゃんにとってちょうど大きさになったら、
私は帰ってくると誓いましょう」


そういい、私は美琴ちゃんに指輪を渡す。
この指輪は私が陰陽術で作った加護の効果が刻まれている指輪です。
形状は中心にガーネットがり、周りをアイビーの蔦と花で囲まれています。


「・・・きれい」

「この指輪を美琴ちゃんが持っている限り、私はあなたのもとに会いに行きます。」

「わかった・・・たいせつにする」

「ありがございます。
・・・・それとこれもどうぞ。
美琴ちゃんにはまだ大きいので指に付けれませんからね、
このチェーンで美琴ちゃんが付けられるようになる日までネックレスにしておきましょう。」

「・・・・つけて?」

「はいはい、わかりました。お嬢様?」

「・・・ん」


美琴ちゃんが指輪を私に渡し背を向けたので、
私は美琴ちゃんの背後からネックレスをつけてあげることにしました。
・・・そのとき


「おにいちゃん・・・わたしおにいちゃんといっしょにあそべてたのしかった
これからもずっとつういていくんだとおもってたの」

「・・・・・・・」


私は黙って美琴ちゃんの言葉を聞いていました


「おにいちゃんにおひっこしするっていわれても・・・・しんじれなかったの
きょうも・・・おにいちゃんをこまらせるつもりだったの・・・
だけどね・・・・・・おにいちゃんが・・・・・
おにいちゃんがやくそくしてくれたから・・・・・・」


そういうと、いきなり美琴ちゃんは私から離れ


「おにいちゃん!いってらっしゃい!
それと・・・おにいちゃん、だああいすき!」


それは夕日に照らされ、とても神秘的でかわいい笑顔だった

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