小説『めだかボックス 〜From despair to hope 〜』
作者:じーく()

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1.プロローグ 絶望の底























僕は…大好きだった女性がいた…

幼いころからずっと知っていて… 共に遊び笑い涙を流し…

…何をするのにも一緒だった。



それは歳をとっても変わらないものだった。

そして… 僕たちは幼馴染の関係から恋人になったんだ…

家族はみんな「やっぱりな!」とか「おそーい!」とか言って冷やかしてはいたが、

とても暖かい目で見ていてくれた。

こんなに幸せな事ってあるのだろうか…?

いや…あっていいのだろうか?

そこまで考えてしまうほどに…



【幸せだったんだ…】



だけど…


そんな日にはもう…



二度と戻れない…………………………………………


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They are all the beginnings from here.......
(ここから 全ては始まった………)









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「ん… ここは……?」

目が覚めると… ここは何も無い空間。

唯… 言葉で表現すると、真っ白で何も無い空間。

地面があるのかも分からない、実際に立っているのかも分からない。

極めつけは…

「あ…あれ?体が…」

自分の姿が… 無いのだ。

普通なら…下を見れば下半身が見えるはずなのに…



「よぉ………。」                                                                                                  

そこへ… 1人の男が近付いてきた。

「……だれ?」

慌てるわけでもなく…

ましてや、警戒するわけでもない。

唯…乾いた言葉で話す。

もう何の感情も篭っていない。

全てどうでもいいかの様な…

そんな声だ。



「…なるほどなぁ。 お前… ンな事があったのか… そりゃあ 心の1つや2つ壊れちまっても不思議じゃないな人間ってのは脆いからな…」

目を見ただけで…その男は全てを理解したようだ…

「…だからなんなの? 君は…誰? それにここはいったい…?」

気になるセリフはあった…


それは【人間ってのは脆い】…だ。


だが… 一瞬だけ考えたが、直ぐに考えるのを止め、いつもの表情に戻る。

「お前みたいな人間…オレは沢山見てきた。大体は同じなんだけどな… 違うところがある。人は…死んじまったら、その魂は浄化され全て忘れるんだ。 だが…お前さんは、死しても尚…覚えてるんだな。」

ああ…やっぱりそうか、

男の話を聞き、すべてを理解した。



(僕は死んだのだと………。)   



「理解したようだな………。」

また目を見て感じ取ったのか、男はそう呟いた。

「はい… もうどうでもいいです。僕を…早く連れて行ってください… もう何も残ってませんから…」

そう呟いた。

男は本当に…心の底からそう言っていると感じていた。

「…ふふふ オレはおまえに興味が湧いたぜぇ。」

男からは意外な言葉が帰ってくる。

「興味…?」

「そう…興味だ。変な意味じゃないぜ。 さっきも言ったが、ここに来る奴らはほぼ全員…記憶なんか全部消えている。当然だ。ここは所謂体と魂が離れ、浄化されたものがここにくるんだ。だが、お前さんは魂となっても… その深い悲しみを忘れていない…忘れられてない。異常なまでにな。」

ということらしい…

僕は結局何が言いたいのかよく分からなかった。

その次に出てきた言葉に更に驚いた。

「お前…もう一度…違う人生を歩んでみないか?」

所謂、生まれ変わりという奴だろう…か?

「いえ…僕は疲れきってます… 生まれ変わらなくてもいいんです。…このまま消えてい来たいんです…」

その提案を拒否した。

すると、

「今のお前は絶望のどん底だろ?」

また脈絡もあまり無い話が始まった。

「………………」

「そして… 生きたいとも思えない…なぜなら 絶望だから。そう、魂が歪んでしまうほどに…」

回答を聞く前に…さらに男は続けた。

「そんなお前に凶報だ… お前はこのままだと悠久の時… 早い話このままだと、これから永遠にその苦悩を味わう事になるぞ?」


“ピクン!!”


その言葉に強く反応した。

この苦しみが永遠に…?

信じられないといった感じだ。

「信じられないと思うが、間違いない。それが証拠に…ほら、見てみろ。」



“ヴォン…………。”



そう言って男が手を翳した先に映像の様なものが見える…

それは…見たことあるような…無いような… そんなとてもデカイ町だ。

「これは…?」

見たことあるような気がするけど…



疑問だった。

疑問に思うことなど…何かかなり久しぶりのような懐かしいような…気がする…

「見たことあるよな? 当然だ。ここはお前が暮らしていた場所。ただ…少し違う。…100年後になるがな。」

「ひゃっ…100年!?」

「ああそうだ… ほら、町の空に日付がふってあるだろう?どんな技術かは興味ないんで知らんが、日付が2114年になってんだろ?」

男が指した方を凝視する…

それは、間違いない…日付は大体最後の記憶から、約100年後だ。

仕掛けにしては凄すぎる。

自分の体が見えないのにこの場にいる変な感覚もそうだし、

トリックで出来る事ではなかった。

「信じるか?いや信じざるをえないだろうな。 そう…お前さんが死んでもう100年になる。それでも…お前は記憶を保持しているそれも鮮明にな。」

確かにそうだった。

…大切なものを失った痛みはまだ…心にズキリッっと傷を抉るように健在だ、

「痛みは、時と共に風化する…なんて次元じゃねぇんだお前の場合。だからお前に興味を持ったんだよ。人に興味を持つなんて、何千年ぶりかなぁ…?」

途方もない事を言っている…

何千年って……………

「こんな苦痛ずっと受けるなんて……嫌じゃねえか?お前さんもさ。」

そう言い再び近付いてきた。

「……………ッ」

沈黙…

「今回は迷ってんな。」

この人に隠し事は無理なんだろう。

確かに僕は迷っている。

でも、迷うなんて…凄く久しぶりのような気がする。

「1つ…教えてください。」

聞きたい事があったんだ。

「ん?なんだ?」

「唯の興味本位名だけで… 貴方は僕にこんなに気にかけてくれているんですか?他に理由は無いんですか?」

確かにもっともな疑問だ。

唯のお人よしって感じはしない。

「まあ そう感じても無理ねぇな… まあマジで興味が湧いたってのはマジなんだ、そして…もう1つ」

そう言って男は穏やかな顔になる。

「さっき何千年ぶりかって言ったけどあれは実は嘘…だったな 実はお前さんより早めに来たお嬢さんが、お前のことを頼むって言っててさ。」



≪ドクンッ…≫



心臓などもう無いはずなのに…胸が高鳴ったような感覚がした。

「私は大丈夫だから…貴方に生きている間に幸せをたくさん貰ったからって… でも、お前の性格を完全に知り尽くしているからかな… お前がここまで追い詰められるのも読めてたみたいなんだわ。全く… こんな人間にほとんど同時に2人にあえるとは…な…」

オレにとったら100年なんてあっという間だ、

転寝したら、100年たってたなんてざらだ。

どれだけで起こる確率なのだろうかな…

「…か…かのじょ…が…?」
 
涙なんかでないはずなのに…

泣いている感覚が今度はしていた。

「そうだ… お前がここでこれ以上しょげていると彼女…うばれないみたいなんだわ。 お前さんの心の傷を完全に癒して・・・もう一回天寿を全うしないと、今のような魂の牢獄に閉じ込められたまんまになるんだぜ。そんなのは嫌だろ?」


「……………」



生前も…きっと迷惑かけていた。

何回も…何回も…怒られてた。

また…彼女に心配をかけるの…?



心が動く。


「まあ そういうことだ。 生まれ変わらしてやることはできないが… 別の二次元へ転生してやる事はできるんだわ。そっちなら何とかな… 実在しない思いの世界だから干渉しやすいんだ。」

二次元…世界…か…

「彼女が好きだった世界(にじげん)があった……よ…確か……。」

何かを思い出していた。

「…たしか…あれは【めだかボックス】だったっけ……? ふふ……、正しすぎる主人公に惹かれて…何度も一緒に立ち読みしたり…してたっけ…」

昔を思い出すように、そう呟いた。

思い出の中で……わずかだが笑みが出てきていた。

どことなく… 彼女と主人公は似てたんだよな…

決して折れない心とか… 人望があったりとか… 正しすぎるような感じもさ…いや…間違っていることは決して肯定しない所…

うん…当然だけど、さすがに漫画的な力はないけど。

「…そいつで決定でいいか?」

また…心読まれちゃった。

「うん… 彼女との思い出の漫画だからね… 今の僕は…まだ立ち直れそうにない… 1人でずっといたって絶対に考え込んで… どうでもいいって気持ちになってくる…なら… 彼女が… 会えなくてもそう言ってくれてたのなら… もう一度…頑張ってみるよ。僕」

力強く…頷いた。

先ほどまでとは比べ物にならないほど… 生気は戻っている感じだ。死者なのに…魂だけなのに…そんな感じがする…

「へ… 見違えるほどになったじゃねぇか。さっきと比べてな。 よしそっちでもう一回頑張ってみな。 まぁ破天荒で無茶苦茶な登場人物に振り回されるかもしれんがな。頑張って来いよ。」

そう言うと…

白い空間が一面光りだした。

「うわぁ…なんかキレイだね… ……あ、そう言えば」

男は思い出したように・・・

話す。

「あの世界は 確か 異能… えっと、異常(アブノーマル)とか過負荷(マイナス)とか… 後… なんだっけ? まあいいよね……。 そんなのがあったと思うんだけど… そんな能力者みたいなのになったりするんですか……?僕も……?」

男は手を掲げながら言う。

「ああ…ああいう世界はそいつの環境やら性質で能力を持つみたいなんだわ。詳しい事は分からないが、間違いなくお前さんは能力保持者(スキル・ホルダー)になってるだろう。後、今は見る影も無くなってるお前さんの身体能力だけど、思いの強さで強くも弱くもなるようになってるからな、 ……しっかり頑張れよ!」

なるほど… 思いの強さか…

「確かに今じゃ見る影もないはずだよね… 想ってた大切な人を失っちゃったんだから…さ。」

苦笑する…

でも 以前ほど落ち込んではいないみたいだ。

「ははは… 彼女の言葉本当にお前には効果抜群だったんだな。ん…そろそろか。」

男は見上げると…そう呟く。

「時間だ…じゃあまたな。 …また会おう。」

そう言うと…




ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………





空が…いや、白い世界が開いた。


「ッッ!!」


そこに吸い込まれる!?



「ああ!!まって最後に1つ!」



吸い込まれる直前に聞く。

「あなたの…名前はッ?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「…オレか? 俺の名は…………」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


そして…世界は光に包まれた…


















あとがき。




どうも!じーくです。

この作品も、にじファンで行っていたものです。

こちらも、徐々に書いていこう…と思いますので!よろしくお願いします!!


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