小説『魔法科高校のイレギュラー』
作者:rassan()

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 入学式


 どうも、三島錬だ。達也と共に入学式が行われる講堂に入ったのはいいのだが・・・・

「予想してたけどな・・・・」

「差別は差別される側の意識だと言うことだろう・・・」

 ちょうど真ん中で割れるように一科生と二科生が別れていたのだ。原作でもあったが、実際に見てみてると二科生の空気が少しよどんでいるように感じられ、卑屈な印象を受けてしまう。逆に一科生の空気は明るい感じだ。とはいっても、俺も達也も気にしないが。

「まぁとりあえず、流されるか・・・」

「そうだな・・・」

 気にはしないが、目立ちたくもないため、二科生がいるほうに向かう。そして、開いている場所に座る。

「じゃあ、俺は精神統一でもするから、変化があったら少しだけ気を当ててくれ。」

「わかった。」

 精神統一中でも戦闘体制に入ることはできるので、闘気やら殺気やらの気を当てられると意識が表に出てくるため、達也には時々これで合図することがある。ささいなことでも意識が向くため、師匠にからかわれたりするときもあるが・・・・

 そしてしばらくすると、達也に闘気を当てられて目を覚ます。

「あの〜ここ空いてます?」

 この声と気配はあいつか・・・ていうか俺に気づいてなく、達也に話しかけてるし・・・

「どうぞ。」

 そして、ぞろぞろと女子4人組が座っていく。達也の隣にはあいつが座り、その隣に『眼鏡の子』が座るという原作とは逆になったが。

「あっそうだ、自己紹介するね。あたしは千葉エリカ。同い年だし敬語はいいわよ。」

「ふっ・・そうか。俺は司波達也だ。よろしく。」

 はい、エリカですね、わかります。まぁこういう性格なので、4人組の引っ付け役なのだろう。

「あ、あの・・私は『柴田美月』といいます。よ、よろしくお願いします。」

「あ、ああ・・・・こちらこそ。」

 はい、眼鏡の子は柴田美月さん。こちらも原作キャラさんですね。後の2人も自己紹介がすんだところで、

「それにしても面白い偶然よね? チバにシバタにシバでしょ? なんだか語呂合わせみたいじゃない?」

「いや、ちがうだろ。」

「あ、あれっ! 錬! あんたいたの!?」

 思わず漏らした言葉に反応したエリカだが、いたのかって・・・・達也も少し驚いているみたいだな。話してなかったか?

「よう、エリカ。達也とは知り合いだよ。達也には話してはなかったか? 俺の母親が千葉の人間って。」

「聞いてないな、そんなことは。話すことでもないと思うが・・・」

 まぁ両親の話はあまりしたくないだろうしな・・・・・

「それよりも、ミキは? てっきり一緒だと思ったのに。」

「幹比古とは待ち合わせはしてないな。たぶんその辺にいるだろ。」

 その辺と言っても知覚には場所までわかっているので、目立たない場所にいることがわかっている。あいつも目立ちたくないだろうし、いることだけがわかっていればいい。

「あ、あの、エリカちゃん? この人は・・・」

「ああ、こいつは深島錬。あたしの幼馴染の一人。」

「お前がするな・・・柴田さん。俺は深島錬です。よろしくね。そっちの二人も。」

 そして微笑む。ふっ、三人とも真っ赤だ。いやいや、初々しいね〜♪

「あんたは・・・いい、だまされちゃダメよ。こいつのこの笑顔はたちが悪いんだから。」

「失敬な。人間関係の円滑には笑顔が一番だろ。」

「はぁ〜〜・・・」

 なんだい、達也君。ため息なんてついて・・・まぁわかってやっているので、加減は心得ている。

「で? 何でエリカと知り合ったんだ?」

「あたしが美月の眼鏡に興味を持って話しかけて仲良くなって、この2人は案内板とにらめっこしてたから仲良くなった。」

「で? 本音は?」

「へっ? なんで・・・」

 柴田さんは疑問に思ったようだが、それは違う。こいつがそんなことで終わるわけがない。

「はぁ〜・・・わかったわよ。この子、あんたと同じでしょ? だから、あたしが紹介して制御できるようにしてあげようかと・・・・これでいいんでしょ。」

「最初からそういえ。彼女の眼鏡から予想はついていた。眼鏡に頼っていると言うことはそういうことだからな。」

「あ、あの〜一体何の話なんですか?」

「あぁ、俺は君と同じ眼を持っていて制御もできているんだ。」

「ほっ本当ですか!? ど、どうすればいいんですか!?」

 いや、いきなりはっちゃけたなこの子。静と動の起伏が激しいな・・・・

「今は入学式だからな。また今度な。」

「あっ・・・す、すみません・・・・」

 まぁ治したいと思って魔法科高校に来たんだもんな・・・とりあえず、これも予定に追加するか・・・・

 そして、少しして式が始まり、挨拶があり、深雪の答辞ありだった。当然のように深雪が主席であり、答辞を担当していた。

 当然のように深雪は男共のハートを鷲掴みにしていて、達也の眼は妹への親愛があふれていた。俺はいつもどおりだったが・・・・いやだって、いつもみてるし、あいかわらず綺麗だなぐらいしか・・・・

 そして、深雪のファンクラブができるかな、ぐらいしか目立った印象がなかった入学式が終わった。

「錬、ミキ探す?」

「別に一人でも大丈夫だろ。子供じゃあるまいし。」

「それもそうね。」

「達也。妹が気になるのはわかるがまずは自分のことだろ。」

「ああ、わかってる。」

「妹?」

「気にするな。そのうち紹介してやる。」

「何でお前が答える・・・」

「別にいいだろ。」

 俺の妹発言に疑問を持ったエリカだが、どうせあとから達也のところに深雪が来るのでそのときに紹介すればいい。答辞をしていた人と言う予想はつかないと思うが。

 魔法科高校でのIDカード発行のため、窓口に行く。個人認証での発行となるため、女性陣を先に俺たちはその後ろに並んでIDカードを発行してもらった。

「達也。お前何組?」

「E組だ。錬は?」

 よかった。原作と同じようだ。ちなみに俺もE組なので一緒である。

「錬と司波君は何組? ちなみにあたしはE組よ。」

「とうとう一緒になったな。中学では別々だったのに。」

「そう! やっとね。やっと一緒のクラスになったのね。」

「そうだったのか?」

「ああ。ただなぜかエリカが起こしていた事件の後片付けは俺がしていたがな、ハッハッハッ・・・・はぁ〜・・」

「ま、まぁがんばれ。」

「失礼ね。そんなことは3年にはなかったでしょ。」

「1、2年のときにはあったんだな・・・」

 いや〜大変だったな・・・・と、それよりも他の女性陣にも気を使わないとな。

「そっちの三人はどうだったの?」

「あ、私はE組でした。」

「あたし、F組。」

「あたしはG組。深島君は? G組?」

「いや、E組だよ。ごめんね。」

「いやいや、気にしないで・・・・美月さんいいな〜。」

「ほえっ!? か、変わろうか?」

「ああ、気にしないで。そのうち収まるから。」

「は、はあ・・・」

「じゃあ、あたしたちは自分のクラスに行ってみるよ。」

「じゃあね。」

「うん。」

 クラスの違った2人がそれぞれのホームルームに行ったようだ。

「で? 俺たちはどうする?」

 俺が達也に視線を向けると、エリカも柴田さんも達也を見た。2人とも達也に任せるようだ。

「俺は妹と待ち合わせをしている。今日はもう連絡事項もないからな。」

「あっさっき言ってた妹さん? ねぇ錬? その子、かわいい?」

「楽しみしておけ。と言いたくなるくらいかな。」

「もしかして・・・・新入生総代の司波深雪さんですか?」

「えっ? そうなの?」

「まぁさすがに気づくか・・・そうだ、深雪が達也の妹だよ。しかも珍しいことに双子じゃない。」

「えっ? どういうことなんですか?」

「つまり、達也が4月生まれで深雪が3月生まれだから学年が一緒なんだよ。」

「へぇ〜。」

「それよりも錬。あんたいつからの知り合いなの? ずいぶん2人とも親しい呼び方よね。」

「かれこれ2年くらいだな。師匠のところの弟弟子だよ。」

「おい、錬。」

「あっとすまん。言い過ぎたな。悪いが今のは聴かなかったことにしてくれ。」

「はいはい、いいわよ。その代わり・・・」

「わかってるよ・・・」

「よろしい♪」

「あ、あの・・・」

「あぁ、柴田さんも気にしないで。いつものことだから。」

「はぁ、わかりました。」

 などなど、雑談をしながら深雪を待つことになった。ちなみにこの会話は俺が風の精霊に頼んで周りには聞こえないようにしてもらっているため、余計な輩には気をつけなくてもいい。だから、少し言い過ぎても大丈夫と言う言い訳をしている。

 そしてしばらくすると深雪の気配がしたため、みんなの意識を深雪に向けさせる。

「ほら、来たみたいだぞ。」

「お兄様、お待たせいたしました。錬さんもご一緒だったの・・・で・・・す・・・ね?」

 おっと気づいたかな? とりあえず第一声を期待しようか♪

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