勘違い(後編)
えぇ〜問答無用で連れられている三島錬だ・・
あれから寝室を出て、廊下を歩いている母親に抱かれながら父親の横顔を見る限り、緊張しているとか不安そうな顔をしていないので、危ないことではないと理解はしている。
しかし、いやな予感がますます強くなっている気がする・・・いや、命にかかわるようなひどい感じはしないのだが・・・・
「兼松さん、本当に錬ちゃんに見せても大丈夫でしょうか・・私達はありがたみがわかるけど、赤ちゃんにはただ怖いだけだと思うんですけど・・・」
「何、私が子供の時に初めて見たときも怖いと思ったことは無いのだよ。『あれ』はここにあるものだけは別物だからな。」
何だろう、『あれ』って? いや、何でここまで固有名詞を使わないんだ? 人ではなく物だとはわかるが・・赤ん坊が見ると怖い物って・・・
ガラガラガラっ
うん? 外に出たぞ? 部屋じゃないの?
ジャリっジャリっジャリっ
おお、道場がある。あっちには神社があるな・・やっぱり、神社の息子に生まれたんだな。父親は基本的に和服だし、古式魔法の使い手なんだろうとは思っていたけど・・・とりあえず、『あそこ』はおそらく道場のことだったんだ。
ガラガラガラっ
「あううっ!!(まぶしっ!!)」
「錬(ちゃん)、どうした(の)!?」
うお〜まぶしい〜〜・・・・・って精霊が何かに集まってる?? あ〜何だかシルエットから嫌な予感が強くなってきた理由が半分だけわかった・・・・
「ああう?(あれって?)」
「む? 錬、大丈夫か?・・・・なぜ、目を覆った? いや、まさか・・・」
「錬ちゃん? 大丈夫? やっぱり怖かった? この『だるま』さん。」
あぁ〜やっぱり・・・このシルエットはそうだよね・・かなり大きく感じるけどあいつと同じぐらいだろう・・・まぁ精霊につどられているから真っ白なんだけどね・・・・
カっ
「あっ・・・ふぅ〜・・・・」
「む?」
「どうしたんです? 兼松さん? あらっ、錬ちゃん?・・寝ちゃったみたいですね・・・」
「いや、精霊の活性化が起こった気がしたのだが・・・」
「はい、というわけで転生後の質疑応答をしますっ☆ 尚、これが被験者と接触できる最後の機会となるので、質問はここで全部してくださいね♪」
まぁだと思ったよ・・・精霊がピカっ、っと光ったと思ったら眠たくなり、気がついたら赤ん坊の姿のままこの真っ白い空間にいた。目の前に巨大なだるまがいるのは当然として、なぜ頭にリボンが??
「うん? あっリボン? 一応今回の通達者は前回と担当者が代わって私なので。このリボンは趣味です♪」
うん、何でハスキーボイスなんだろう・・・俺には高次元生命体は絶対理解できないだろう・・・・
「じゃあ、転生後のことで質問があれば頭の中で念じてください。赤ん坊ではしゃべれないので。」
「あう? あっあうう・・(えっ? あっまじだ・・)」
あれっ? じゃあさっきのは考えていたことが筒抜け?
「はい、そう考えていただけで結構ですよ? まぁ私達のような高次元の存在はえてして低次元の存在では理解できないので大丈夫ですよ?」
まぁ、理解しようとも思わないので良いのだが・・それじゃあ、まず第一に何で精霊視えてんの?
「はい、それはこちらにも報告があがっているので説明しますね。え〜と『霊子は量で測れるものではなく、情動を形作る粒子なので、代わりに『霊子放射光過敏症』といわれている精霊が見える能力をサービスします。また、魔法式の構造を視ることができる『精霊の眼』も魔法を習うときにあわせて追加しておきますので、それまでには見えすぎている眼の制御をおすすめします。』とあります。」
うん、チートが増えたね☆ やったね!!・・・・ないわ〜これはないわ〜
「それでは、他に質問はありますか?」
あっ、スルーですか・・そうですか・・・・というか、よく考えてみると勘違い? 恥ずかしっ!
「他に質問は無いですか? 無いならこれで最後になるのですが・・・」
あっすみません・・じゃあ、三島家って十師族なの?
「あ〜すみません、質問の内容は被験者に関することなので転生特典で気になることだけでお願いします。」
えっそうなの?・・・う〜ん、だったら思いつかないかな〜
「では、私たちからの接触はこれで最後になるので、第二の人生を楽しんでください♪」
あ〜はい、わかりましたから、こっちにズイっと来ないでください、無表情のだるまは怖いんですから・・・
「うっすみません・・それでは、へそ!」
えっ!? ここでワ○ピースネタ!? 尾○先生は高次元生命体とつながっていたの!?
「あっ冗談ですからねwwwこんどこそ、サヨナラ〜」
冗談かよ!? 何回ツッコミさせる気だっ!!
ヴゥン
あん?・・・・あ〜はい、テンプレですね・・また黒い穴が・・・
「あうあうあ〜〜〜〜・・・・・・・(またかよ〜〜〜〜・・・・・・・)」