小説『魔法科高校のイレギュラー』
作者:rassan()

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魔法


 原作キャラとの初遭遇から約2年がたった。今までスルーしてきたことだが、母親とエリカの父親は兄妹なので、母親の旧姓は千葉であり、エリカとはいとこである。また必然的に寿和さんと修次さんともいとこである。二人には弟のようにかわいがってもらっており、特に修次さんにはである。このことでエリカからケンカ腰でこられることもあり、

「ちょっと、錬っ! 次兄上の邪魔しないで!!」

「エリカ、そんなことを言うもんじゃないよ? 錬君も困っているじゃないか。」

「別に邪魔をしたいわけじゃ・・・」

「お〜い・・寿和お兄さんもいるんだよ〜?・・・・はぁ・・」

 というようにエリカが修次さんの修練を邪魔していると思い、それに俺が困惑し、寿和さんがエリカに無視されるのが定番になりつつあった。このときにはもう修次さんは『千葉家の麒麟児』と呼ばれ始めているが、寿和さんとはまだ互角な感じである。年齢を考えると寿和さんは悔しいと思うのだろうが、本人としては飄々としており、その内面は俺では判断がついていない。




 吉田家との関係は三島家の魔法と関係している。その三島家で代々受け継いでいる魔法をこれから教えてくれるらしい。

「錬も5歳を過ぎた・・早いものだ・・・っと、感傷に浸っている場合ではないな。」

「父上。三島家に伝わる魔法とは何ですか?」

「まぁそう慌てるな。本来は7歳から10歳の間に当主が良いと判断してから教えるものなのだがな・・・錬が優秀すぎるので、今から教えようと思う。」

「いや、さすがに早すぎませんか??」

「一応、文様の意味を理解できる年齢と云われているが、錬はわかるのであろう?」

「まぁたしかにそうではありますが・・・」

「なら問題は無いな。何、錬ならすぐに習得できると思うぞ。なにせ私と真理の息子なのだからな!!」

 いや、関係ないだろ、それは・・・それにしても魔法か・・・どんなのだろうか・・・・少し楽しみだな・・・

「んんっ、少し取り乱してしまったな、すまん。でははじめに・・・・これが見えるか?」

「えっうん、見えますけど・・・・」

 うん、精霊がいるね・・・っていうか、起動式も視えちゃってるよ・・・うわ〜変な感じだわ〜・・・起動式の意味はわからないけど、どういう効果をもたらすのかがわかってしまう・・・達也君でも知識が無いと無理な芸当だろう・・・頭の中にはじめから刷り込んである知識が突然表面に昇ってきて表示されている感覚とでも言えばいいのか? ちなみに霊子放射光過敏症については、意識していたらいつの間にか制御できるようになっていたので、今見えている精霊は淡く土色の光を放っている。

「やはり・・・・錬、お前には精霊が実際に視えているんだな?」

「あぁ〜うん、やっぱり父さんもわかってた?」

「やはりそうか。お前が赤ん坊の頃に御神体のだるまを見たときにまぶしがっていたのを見たのでな・・・・それと今は修練の時間だから言葉に気をつけなさい。」

「あっはい、すみませんでした。」

 言えね〜・・完全記憶能力でそのときの記憶もあることも、実はその御神体のだるまが高次元生命体の媒介になってたことも・・・・話したら絶対混乱必死だから無理!!

「まぁそれはともかく、三島家の魔法というのはだな・・・・・・」

 ここからはだいぶ長くなるので、まとめると以下になる。

・古式魔法の地形を操る『地陣魔法』:地脈や地質学や風水を用いて陣地形成を得意とする

・関東一帯の守護をつかさどる家系:江戸幕府ができる前に整地の役を賜った陰陽師が祖先

・土精霊以外の使役は不得意だが、陣地形成を行った場所ではその限りではない

 俺が重要と思うようなところをあげるとこんなところだ。いろいろ歴史背景なども説明されたが、これでは7歳から10歳でも理解ができないと思うのだが・・・・

「まぁふつうはもっと大雑把に教えて魔法の使用に慣れさせる程度なんだが、錬だったらできる気がしてな。ハッハッハッ!」

 いやいやいや、笑い事じゃねぇよ! 確かに覚えたけども精神的にはだいぶ疲れたよ!?

「父上、笑い事ではありません・・・・」

「いやいやすまん。まぁ早く覚えられるのもそれはそれでメリットはあるのだがな。」

「それは?」

「中途半端に覚えてしまうと効力が半減してしまうのだよ。術に余計な解釈が入ってしまう場合もあるからな。覚えられるなら覚えたほうがいいというわけだ。」

 それもそうか・・・いや、チートもらっといてよかったな・・・・そういえば、

「父上。さきほど魔力量が多いほど術を多用できると聞きましたが、僕の魔力量はどうなのでしょうか?」

 特典でもらった魔力量ならすごいと思うのだが・・・

「うん? 錬の魔力量か? 私と同じくらいだと思うが?」

 うん? 何か嫌な予感が・・・・

「えぇ〜と、母上ではどうなのですか?」

「真理か? 真理だと・・・・どのくらいだ? 真理は隠蔽能力が極めて高いからな。おそらく私の半分も無かったと思うぞ?」

 ちょっと待てよ・・・他に対象者は・・・・

「あの・・・一般的な魔法師と比べると?」

「うん? なんだ、さっきから・・・まぁ自慢ではないが私の魔力保有量は一般と比べると千人分あるらしいぞ? そこまでは無いと私も思っているが・・・・」

 開いた口がふさがらないとはこのことだろうか・・・もしかしなくても自分の父親が世界最高の魔力保有者だということなんだろう・・・道理で魔力量がわかってもびっくりしていないわけだわ・・・・自分と同じくらいなんだから気にしていないのだろう、そのでたらめな魔力量に・・・・くしくも転生特典をまた確認できたのだからよかったのだろうが・・・・

「まぁだからこそ、関東一帯を覆う術を行っていても疲労感が無いのはもうけものだがな。」

 ありがたみはそれだけしかないのか、わが父よ・・・・

「あぁ〜それと、関東の守護結界は常時発動型なので並列思考の修練も課すからな、まあせいぜい一般人の三十人分の魔力量しか使わないのだから錬でも大丈夫だろう。」

「さっ!??」

 三十人て!? いや、魔力量はあるからいけるが並列思考でずっと展開させないといけないのかよっ!?

「ち、父上っ? 術の構築はどうしているのですか? 視たところきど・・・じゃなかった、精霊がみあたらないのですが・・・」

「きど? ああ、術の肝は精霊にお願いしているのだよ。地形の境界線に関してだけを我々が行っているに過ぎないので、そう難しいことではない。ただ地形を思い浮かべるだけでよいのだから。」

「なるほど・・・しかしそれをどう精霊に伝えているのですか?」

「ふ〜む、錬には見えんか? 私の頭部分が。」

「えっ・・あっ!」

 父親の頭にうっすらと、本当にうっすらとだけみえる薄い緑の光の玉があった。

「見えたか? 風の精霊に情報を供給して、そこから土の精霊の伝言を頼んでいるのだ。地脈や地形に関する三島家では土精霊が主だが他の精霊が壊滅的というほどでもないからな。その点、吉田家は精霊に特化しているといってもいいが。」

 う〜む、予想外に魔法を極めるのは難しいと感じてしまった。果たして原作までにはどの程度修めることができるのか・・・・

「あぁ〜と、それから、だな・・・うんん・・」

「なんですか? 父上?」

「いやうん・・・真理が錬に剣を教えるといっていて、だな・・・まぁ、そちらもがんばれ・・」

「はぁ〜〜〜〜〜〜っ!!??」

 魔法だけでも厳しいのに、剣もって!!




 こうして俺の拷問というのも優しすぎる地獄の始まりであった・・・・・

-6-
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