小説『魔法科高校のイレギュラー』
作者:rassan()

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 錬の日常(という名の拷問の日々)



「もう・・・無理ポ・・」

「はいはい錬ちゃん。そんなこといってる暇があるなら、あと3周ね♪」

「マジ・・・ですか・・・・母上・・」

 やぁ、三島錬だ。魔法の修練は順調そのもので、完全記憶能力をフル活用してどんどん吸収している。

 しかし、しかしだ・・・母こと鬼・・いや、鬼こと母との鍛錬がきつすぎるのだ・・・・内容は、


 家の周りをランニング(最低で42.195?)

 ↓

 素振りを母上が納得するまで(最低で一万本)

 ↓

 母上の型を一度見て、それぞれを五千本


 これを毎朝に行うのだ。いくら転生特典で身体能力が向上していても、実際に動いているのは前世で自他共に認めていた普通の俺なので、まったくついていけないのだ。まぁ、この鍛錬を済ませないと朝食が食べられないので、必死にやると何とかなっているのだが・・・・

 この鍛錬は母とともにやっているのだが、その母は普通にこなしている。そう、多少汗をかいている程度なのだ。



 初めてこの鍛錬をするとなったときに愕然としていたのだが、

「それでは、錬ちゃんの剣を教えることになる『千葉の女傑』ことママです☆」

「は?」

「う〜ん、この二つ名はママにとってはあんまり好きじゃないけど、修次ちゃんが『千葉の麒麟児』って呼ばれているのはど〜もママが教えてたことが役に立ったみたいでね? ママにもついちゃったのよ。」

「あの〜母上? 父上にも聞いたのですが、母上は千葉一族最強女剣術師と呼ばれていたのですか? にわかには信じがたいですが・・・」

「うん、そうよ?」

 軽っ! 軽いよ、この人! 俺の両親とんでもないな!!

「じゃあ、とりあえず体作りからかな? 家のランニング(をフルマラソンより多く)と素振り(をとりあえず一万本くらい)から始めて、あとは体ができてから型の鍛錬だから。」

「はい、わかりました。」

 このときの俺はこの()の中身を知らなかったばかりにあっさりと返事をしてしまったのだ・・・・



 そして、そんな生活を続けること2年で型の鍛錬に入り、それからさらに3年がたっているのだが、10歳児の子供ができる範疇を大幅に超えているため、普通に力尽きている・・・・

「まぁ〜これだけできているのは錬ちゃんだからなのよね。大人でもこの量の鍛錬をこなすのは難しいし。」

「なんですと!?」

「あら、まだ元気ね、錬ちゃん。じゃあ、もう5周追加ね♪」

「うが〜〜俺の馬鹿!?」





「はい、錬ちゃん。水分補給よ。」

「うん、ありがと、ママ。」

 鍛錬が終わり、くつろいでいる。いまさらだが、普段の父上の呼び方は親父、母上はママと呼んでいる。これは二人が子供から言われたい呼び方だ。二人の間でのギャップが激しいのだが、2歳のときにしゃべれることがわかると強制してきたので、もう慣れたものである。

「それにしても錬ちゃんは本当にえらいわ〜。ママが10歳のときはじゃじゃ馬だったからな〜。」

「そうなの? 親父といるときには全然感じないけど・・・」

「う〜ん兼松さんに対しても自然と接しているつもりなんだけど・・・」

 いやいやいや・・・・親父と他の人に対する態度は真逆だろう・・・なぜ親父に対して敬語でおしとやかなのに他の人にはため口に明るい感じなのだ。おそらく素は後者で、エリカと似ていてるところが多いために話が合うのだろう。ちなみに両親の仲はいまだに新婚の空気が抜けていなく、逆に増しているように見られる。

「真〜理。」

「兼松さん?」

「真理!」

「兼松さん!」

「真理!!」

「兼松さん!!」


 ハシっ

 このように唐突にお互いを呼び合い抱き合うということを10年間欠かさず見続けている。親父の後ろのほうには夜島さんが当然のようにつき従っており、彼に対して俺が頭を下げると彼も頭を下げて挨拶をしてくれるが、顔色の調子はいいとはいえないだろう・・・

「はぁ〜〜・・・」


 この二人はそれぞれが一流の魔法師なのだが、二人そろうと甘々な空間を作るのでさらに厄介になるのだろう・・・・

 夜島さんの小さなため息に激しく同意の念を送りたいと思う・・・・・

-7-
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