小説『My life』
作者:かもしもん()

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 -Act3-

 暫く進むと、再度、出会いがあった。このゲームは、少年への出会いが多く、学んだ事に比例してある…
 少年は地道にレベルを上げ、一気に進めていくという手法をとり、立ちはだかる敵を次々となぎ倒していった。
 その矢先、少年の手がふと、止まった。ある1人のキャラクター、「ユート」に出会ったのだ。
 彼は弓を巧みに使いこなし、勇敢だが天然な少年キャラだ。少年の幼少期によく似ていると、記憶がよみがえったのだろう。またすぐに手を動かし始めると、しばらくして、再び手が止まった。
 「死に触れて強くなる…」
 少年は小声でそう言った。
 これは、ユートの兄の言葉らしいのだが、なぜか少年の心に深く響いてきた。中学3年生で思春期の少年も、何度か「死」について考えていた。少年にしての死とは、悲しみであり、絶望であり、無であった。
 しかしどうだろう。このユートは見たところ、死を知らず、故に恐れていない。少年とは正反対だ。人には様々な生き方があるとわかっていたつもりだが、このユートに関しては例外だった。少年はこの後におこることが分からなくなり、期待と、不安の両方が心を動かし始めた。
 (「死」とはなんだ。そういえば、この前遊んだゲームで、「生きることをあきらめるな」という言葉を耳にした… 死への恐怖が大きく、とても考えられない。…ただ、前を向いて歩いていれば、きっと…未来が見えるはずだ…)

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