小説『殺人鬼の兄弟は世界を旅する』
作者:クライシス()

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 突然、何の舞前振りも無く一人の青年が死んだ。そして死んだ筈の青年が不思議な場所で眼が覚めた。

 辺りを見回すと目の前に青年と同じぐらいの歳の男がいた。

 彼の名はオーディン。神であった。

 勿論、青年は最初は信じられなかったが証拠を見せられて信じる事にした。そして、オーディンは告げた。

『俺は退屈だったからお前を殺し、転生してお前の生き様を見物させて貰う。精々楽しませろ』

 何という身勝手な言葉だろうか。青年は当然文句を言おうとしたが不意に視界が暗転した。

 そして、薄れていく意識の中でオーディンが言った。

『先ずは下準備だ。精々死なない事だな。ふははははは!』
       

 此処からの出来事は簡潔に記述しよう。

 先ず、青年が眼を覚ますと赤ん坊になっていた。

 目の前には母親が愛おしそうに自分ともう一人の赤ん坊を抱きしめていた。

 青年に与えられた名前は『桜鬼(おうき)』、もう一人は『志貴(しき)』と告げられた。そして名字が『七夜(ななや)』であった。

 そう、退魔一族『七夜』の長男として生まれたのだ。

 そして桜鬼と志貴が歩けるようになるまで成長すると、地獄のような訓練が始まった。

 長距離走にサバイバル、気配の消し方、あらゆる暗器の使い方、七夜に伝わる体術の会得、そして……殺し方。

 桜鬼は最初は嫌がっていたが、拒否すると父親である黄理(おうり)から殺されそうになったので素直に修行をした。

 志貴も同様に訓練し、時には人を殺す事もあった。

 初めて桜鬼が人を殺したのは六歳の誕生日の時だった。

 黄理から試練と言われ、とある政治家の暗殺を命じられた。

 任務自体は簡単な事だった。七夜家の者があらかじめ暗殺しやすいように裏工作をしてあり、桜鬼はただお膳立てされた舞台でただ人を殺すだけだったのだから。

 そして殺した。人を……。その時桜鬼が感じたものは『悲しい』でも『苦しい』でも『怖い』でもなかった。桜鬼の中にあった感情は……『面白い』だった。

 桜鬼はその感情を受け止め、自分自身を受け入れた。

 それから月日は流れ、桜鬼が十七歳になった時の事だった。桜鬼と志貴は昔から仲が良く、一緒に修行をしていたら突然目の前に光が現れ、二人を包み込んだ。

 そして眼を開けると以前桜鬼が転生する直前にいた不思議な世界だった。 


「まさか此処に戻って来るとはな……」

「此処は……一体何処なんだい、兄さん?」

 二人の青年がそれぞれ言った。

 志貴は当然知らない。桜鬼は自分が転生者であることを志貴に打ち明けた。

「なるほどね……。だから小さい頃から大人っぽかった訳だな」

 志貴は桜鬼が転生者であることに対して別に気にしなかった。今でも桜鬼の事を兄として接し、尊敬していた。

「それで、その『オーディン』とやらは此処にいるのかねぇ? 是非会ってみたいものだよ」

『既に後ろにいるがな』

「っ!?」

 後ろから声が聞こえ、志貴は驚いて振り返った。そして驚愕する。真後ろにいたのに全く気配が感じられなかったからだ。

「オーディン、何でまたここに連れてこられたのか理由を聞こうか」

『なに、お前をあの世界に送ったのはあくまで下準備だからだ。次に送る世界が本命だ。それにしても折角この俺がチートな身体能力、才能を提供してやったのに、魔術を殆ど習得していないとは何事か」


「魔術? 俺には魔術回路は無かったが?」

 桜鬼が一度、魔術回路があるか試してみたが、一つも無かった。

『魔術回路……? おお、そうだったそうだった! あの世界は魔術回路が必要だったな! 別の世界の魔力を与えても行使することすら出来ないなそれは! はっはっは!』

 とんだうっかりさんだな、コイツ。

 それはそうと、志貴もいるのは……。

「で、志貴も巻き込んだのは『面白そう』だからか?」

『当然だ』

 ……まあいい。コイツの暇潰しの道具になるのは癪だが、志貴と一緒なら別に構わない。

「兄さん、こいつ殺していい?」

 志貴も頭にきているみたいだな。

「止めとけ。俺達がどう頑張っても絶対に勝てない相手だ。なにせ神だからな」

『そうだ。ところでお前達に新しい力をやろう』

 力を……?

「何をくれるってんだ?」

『それは……これだよ!』

「「がはっ!?」」

 オーディンは剣を取り出して俺達を斬り裂いた。血が噴き出し、明らかに致命傷でだった。

 これの……どこが力……だよ!

「な、なに……を!?」

「かふっ……に、兄……さん……」

『くくく……さあ、理解(・・)してみせろ! はっはっはっは!!』

 オーディンの高笑いを聞きながら俺達は意識を失った。





 俺は気がつくと暗闇の中にいた。

 ――――此処は……何処だ? 志貴……は?

 確か、俺はオーディンに斬られて死んだと思ったんだが……。

 俺は辺りを見渡すと、ふと何かが見えた。

 ――――これは…………線? それと……点?

 周りには紅黒く、歪に引かれた線とそれが集まった点のような物が見えた。

 しばらくそれを見つめていると頭痛がし始めた。そして理解した。

 ――――ああ……解る……理解出来るぞ……これが……『死』なんだ……。

 何故これが『死』だと思ったかは分らない。だけど、直感とうか、本能的にそうだと思ったのだ。

 そして俺は再び意識を手放した。





「っは…………ここは?」

『気がついたか?』

 俺が眼を覚ますとオーディンがニヤつきながらこっちを見下ろしていた。

『どうやら理解出来たみたいだな。相変わらず良い眼だ』

 オーディンがそう言うと俺は激しい頭痛に襲われた。

「ぐあっ!? ……な、なんなんだよっ! クソッ!」

 だがしばらくすると頭痛は治まった。

「兄さん……? ぐっ!」

 志貴も眼を覚まし、同じように頭痛に襲われた。

『ふむ、お前達兄弟は余程才能があったようだ。『直死の魔眼』をこうもあっさり習得したのはお前達が初めてだ』

『直死の魔眼』? ……まさか、あの魔眼か!?

『そうだ。さて、お前達に此処で少し修行をしてもらう。俺が直々に鍛えてその眼を使いこなせるようにしてやる』

 オーディンが剣を取り出しながら言った。

 そうして、この眼を使い熟す為に俺達は此処で数年ほど修行を行った。 





 後書き 

 
 どうもクライシスです!

 リリなのの小説で行き詰まった時に執筆していたら投稿したくなってしまい、ついやってしまいましたww

 ある程度は作っていますが、すぐに尽きると思いますので更新は亀ですw

 どうかよろしくお願いします。


 PS:ネギま!の二次創作って案外少ないのですね?

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