小説『魔術師、異世界珍道』
作者:マーキング2113()

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この世界において魔術師を簡単に表せる言葉は「外道」。これが一番分かりやすい、根源にたどりつくために人の道をはずれたもの。偏見に満ちているが魔術師が全員そのようなものかと言えばそうではない、それでも人としての倫理観は薄い。

なぜいきなりこんな話をするのかといえば、俺がその魔術師のけっこうな名門に、まれな才能を持ってうまれてしまったからだ。魔術師には魔術を発動させるために魔術回路というものがあるが、先代当主(つまり俺の親)が50本程度に対し俺は200本以上ある。これだけでも十分異常だが、さらにそれだけではなく、属性まで異常。属性の話は次の機会にするが、そんな異様な生まれの俺の夢は自衛のために魔術を修行し、平穏無事に暮らしていくことである。

そしてその夢は叶いつつあった、先代から代々受け継がれてきた魔術刻印を引き継ぎ、イギリスの片田舎で平和にくらしていた。根源なんて目指したいやつだけ目指せばいいんだよ、と言わんばかりの魔術師らしからぬ生活スタイルである。

死徒二十七祖が来る前までは。

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