小説『続・黄泉路への案内人』
作者:楽一()

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第四七話


葵「やっと・・・・解放された」

 何からって? 女性陣からだよ。うん。いつ行くのかみんなで相談していたな。その際私にいつなら行っていいか、どんな服で行ったらいいか、お土産は何がいいか、夜までOKかなどいろいろ質問していた。その会議? になぜか楯無もいたのを疑問に思った時にはすでに終了間際だった。

真「あ。神無月君にデュノア君。ちょうどいいところに」

葵「山田教諭?」

シャル「何かあったんですか?」

 息を切らしながらこちらに向かってきた。どうやらかなり急ぎのようだな。

真「え、えっとですね、い、以前・・・は、ひぃ」

葵「お水をどうぞ」

真「あ、ありがとうございます。コクコクコクっ。ふぃ〜、先生はいい生徒を持ちました」

 それぐらいでその評価はどうだと思うぞ。

シャル「あの急ぎの用じゃなかったんですか? あれほど急いでたほどですし」

真「あ。そうでした。えっとですね以前話した大浴場の件なんですが」

葵「あぁ〜言ってましたね。延期か何かですか?」

真「延期というかもっとぶっちゃけたことになりまして」

 何ぶっちゃけたって。男子浴場でも作ったとか?

真「そこまで予算はありませんよ」

葵「左様ですか。というか心情を読み取らないでください」

真「? 何のことですか?」

 え? 今読み取りましたよね!? しかも何不思議そうに首をかわいらしく(・ω・)?みたいな顔してるんですか!?

真「えっと話し続けても?」

葵「えぇ・・・・どうぞ・・・」

 なんかどっと疲れた。

真「えっとですね男性の大浴場の使用がなくなりました」

 ・・・・・なんですとぉお!?

葵「え!? じゃ、じゃあお風呂話ですか!?」

 ちょっと、というかだいぶ楽しみにしてたんですが!?

シャル「えっとじゃあ男性はお風呂なし?」

真「いえ、そういうわけではなくなぜか米露仏の大統領たちが『葵ががんばったから葵の部屋に5人入っても十分スペースがあるぐらいの檜風呂作ろうぜ!』という話になりまして」

 ・・・・・何考えてんだあの三人!?

シャル「・・・・うちの大統領が迷惑をかけました」

真「いえいえいえ! そんなとんでもないです。全部三国の大統領のポケットマネーですから。で、もう完成しちゃってるんですよ。で、三人がさっそく入って満足して帰ってるんですよね・・・・」

葵「なんで!?」

真「香川ではなんでも家を新築したらご近所を読んでおうどんを食べるのが習慣らしくて」

 それは香川ですよね!? ここ違うよね!?

真「以上です!」

葵「あのひとついいですか?」

真「なんでしょうか?」

葵「風呂は私のところだけですか?」

真「えぇ」

葵「もし、もしもですよ。私の部屋が一人になった場合新庄君と一緒になることは「それはない」織斑教諭」

千「今は私事だ。別にいつもどおりでいい」

葵「では。千冬姉。それはどういうことだ?」

千「(たまにはやっぱりいいな///)簡単だ。私がそうさせない。絶対に!」

 それって私情だがいいのか?

千「何問題ない。学園長も許可されておるし、ケルベロスだからそれでいいじゃろとも言ってたしな」

 あぁ。そうやって押し通すわけか。

 まぁこれで風呂を独占できるわけだ。というかさっさと入って疲れを取りたい。それにこれならシャルと分けて入ることが可能だ。

 で、部屋につくと、なぜかシャルが私にお風呂に入っていいとすすめられる。

葵「だが、男の後は嫌じゃないのか?」

シャル「べ、別に大丈夫だよ。(葵の後なら大丈夫だし///)それに」

 そういって新たに設置された脱衣所のほうを見ると、

アギト「それより兄貴早く入ろうぜ!」

リイン「リイン一番ですぅ〜!」

エ「あ! ずるい! 私が一番です!」

ル「お前らはしゃぐな走るな! 転んでけがするぞ!」

シャル「僕じゃあの子たちの面倒見きれないから」


 あぁ、うん、そうだね。
葵「では申し訳ないが」

 そういって引き戸を開けると、風呂だけでなく、床、壁といった内装までもが木造で、さらに雰囲気を重視したのか桶や椅子までもが木製ときた。まぁここでプラスチック製品は何気に浮くか。

 それから体を洗い終え風呂に使っていると、リインたちはだいぶ満足したのかはたまたのぼせたか最初に暴れすぎて疲れたのか風呂を出ていった。

 そしてそれと入れ違いに、

シャル「お、お邪魔します・・・」

ラ「邪魔するぞ嫁」

葵「あぁ〜どうぞ・・・・・・ってちょっと待てぃ!?」

 あまりの気持ちよさに最初誰が入ってきても違和感を持たなかったが声の主が聞き覚えのあるもの二人とわ
かると脳がフル活動し始めた。いや、人間ってすごい、マジで。

ラ「何を機にする必要性があるんだ? 夫婦とは包み隠さないことを言うんだろ?」

葵「包み隠さないってまさか?!」

 後ろを振り向きそうになったがすぐにやめ窓から見えるお月さんを見る。いやぁ〜ご立派な満月ですね。うん。

シャル「お、お隣失礼します///」

ラ「わ、私もだ///」

―――ちゃぽん

 ただ、水の滴る音だけがその場に響く。

シャル「えっとね、葵。僕決めたよ」

葵「ん? 学園に残れるようになったのか?」

シャル「うん。お父さんが好きにするといいって。バラスも一興、ばらさぬも一興。まぁばらしたらハミルさんが全力でカバーするって」

ラ「あぁフランス大統領か。初めて見た時、絶対この人なら今のEU掌握できるって思ってしまった自分がいたぞ・・・・」

 だろうな。というか簡単だろヨーロッパぐらいなら。

シャル「それにね。僕うれしかったんだよ。僕自身を救うことは簡単だけど、家族という大きな枠を直してくれたことが」

葵「・・・・」

シャル「それに友達もできた。葵も、ラウラも一夏も、箒も、簪も、鈴もセシリアも。初めてここに来た時そんなこと想像もできなかった。いつばれるかわからなかった。でももう怖くない」

ラ「私も友なのか?」

シャル「あたりまえだよ! 僕にとって一の親友だよ!」

ラ「そ、そうか///」

シャル「二人にお願いがあるんだけどいいかな?」

葵「なんだ?」

ラ「聞ける範囲ならいいぞ。だがよめはやらん」

シャル「ラウラのセリフは置いておいて。えっとね、僕のことをこれからシャルロットって呼んでほしいんだ」

 そういって笑顔で言っている。だが、若干顔が赤いんだがのぼせたか?

葵「ん〜。悩ましい」

シャル「え!?」

葵「私の中でお前はシャルと呼ぶと決めている。まぁそれがシャルルであろうとシャルロットであろうと関係はない。友人としてのあだ名、またはニックネームとでも言っておこう」

ラ「そうだな。私もそうさせてもらおう。私はお前の中で一番の友人なんだろ?」

シャル「そ、そっか。うん。ありがとう二人とも。あとラウラのセリフなんだけどね、もらえるものはもらっておくね」

 そういうとシャルは私の両ほほに手を添えると、シャルの顔がある方向へ向きを変えさせ、あれ? これってまさか・・・・

シャル「んむっ」

葵「むっ!?」

ラ「なっ!?」

 唇がふさがれた。その、柔らかかったです。はい。

シャル「えへへ。僕の気持ちだからね」

―――シュゥンっ

シャル「っ!? な、なにこれ?」

 シャルの手にはまごうことなき契約の証。

シャル「あ、葵これ「シャル。何をしてくれた。嫁の唇を奪っていいのは私だけだ!」

「ちょっと待てラウラ!?」え?」

 そういってシャルと逆のほうを向けさせられると、次はラウラ。

 うん、今日はもう頭がぼーっとしてきたね。うん、のぼせたんだねきっと。



 さて、翌日。うん? その後お風呂どうなったって? 記憶ガゴザイマセン。ウン。マジデス。

ちなみにシャルは「先に行ってて」といわれた。

ラ「おそらく織斑教官のもとへ行ったのだろ。さて、どうなることやら」

葵「ホント、どうなるんだろうな」

 こればっかりは神のみぞ知るといったところか。

エ「ならマスターは知ってるのですか?」

葵「ん? なぜだ?」

ル「いえマスターは何せあれですから」

 ・・・・あぁ、確かに。そういえば私は神様だったね。

アギト「いやいや、兄貴忘れてたのか?」


リイン「パパ、それはいくら何でもないです」

 いや、ここ最近人間での生活に慣れたせいであっちの方に慣れて無くてな。自分も人間だと思っていたところです。はい。

真「み、みなさん・・・・おはようございます・・・・」

 ・・・・・誰?

一「や、山田先生?」

真「はい。そうですよ・・・・」

 え? 山田教諭? マジで? 本気と書いてマジ? というセリフを吐くとは思わなかったな。

葵「ど、どうかしたんですか? 目の下すごいことになってますよ。あ、これ飴どうぞ。当分は体に大切ですよ」

真「はい。ありがとうございます。あ、胃にしみます・・・・懐かしいですねべっこう飴」

 そしてその甘味をかみしめながら、山田先生はあることを告げた。

 これが私の寿命を縮めるとは私自身気づかなかった。

真「えっとですね、今日は転校生、というか転校生? を紹介したいと思います。と言っても紹介はすでに済んでいるんですけどね・・・はぁ」

 何やらため息ばかりついていないか?

 あ、まさか・・・・

ラ「嫁よ。た ぶん考えていることは正しいぞ」

 だろうな。

―――がらっ

 そこから現れたのはよく知った顔だった。というか昨日あんなことされて忘れるわけもない。え? 記憶がないんじゃなかったのかって? あ、うん。ソウデシタネ。

シャル「えっと、シャルロット・デュノアです。改めてみなさんよろしくお願いします」

真「実はデュノア君はデュノアさん? デュノアちゃん? でした。というか女性でしたね。はい。おかげでで書類の襄平が攻略できませんでした。まさに紙面楚歌でしたよ・・・・」

 紙と四をかけたのか?

女子「え? デュノア君は女の子だったの!?」

女子2「おかしいと思った。美少年じゃなくて美少女だったんだ」

女子3「絵的には美味しかったのに・・・・」

 おい、三番目の女子。今危ないしそうしてなかったか?

女子4「あれ? でも昨日は確か男子の大浴場解放じゃ・・・・」

葵「あぁ、あれ急きょ中止になったぞ。ですよね山田教諭」

真「え? えぇ。そうですね」

 嫌な予感ほど当たるものはない。それを回避するためにはありとあらゆる策を練る。まぁこれで大丈夫なはz「ですが葵君の部屋にお風呂設置しましたからね」山田教諭!? 余計なことはしないで!?

―――ガタッ

鈴「葵ぃいいいいいいい!!!」

 ちょっ! 鈴さん!? いきなり衝撃砲構えないでくれ!? あと展開早いな!?

鈴「あんたのおかげよ!!」

 感謝の礼がこれか!?

―――ズガァアアアアアアアアアアン

 問答無用で放たれる。あぁ保健室行かな・・・・

ラ「あまり人の嫁に手を出すな。あと妹、お前も展開早いな」

一「ぐっ」

 ラウラのISの手には一夏の雪片が・・・・本気で死ぬところだったのか・・・。

千「なんだ騒々しい」

 そしてわれらが織斑先生とナターシャの登場でIS展開していたもの、って主に一夏、ラウラ、セシリア、鈴、簪、楯無・・・・ってお前らいつの間に!?

楯「いやぁ・・・・なんか女の感?」

簪「右に・・・同じ」

 左様ですか・・・・、まぁ展開していたものはすぐにしまっていた。

千「まぁこんなことは学園始まって以来だからな。騒ぐ気持ちもわからんでもない。SHRぐらい静かにしろ」

ナ「そうね。あらデュノアさん。その手どうしたの? 昨日まで「まて、今何って言った?」え?」

 そういって般若の形相で千冬はシャルに詰め寄る。だが、それも一瞬で終わり、なぜか一人で納得して矛先はこち『バシュゥーン』・・・・・矛先ではなく重工がこちらに向いていた。

葵「・・・・学園内でのIS展開はダメでは?」

千「何葵。お前には少し二人っきりでよぉ〜〜〜〜く話を聞きたくてな」

葵「それと武装展開は何か、関係が」

 やばい。冷や汗ととまんない。

千「なに、キニスルヒツヨウハナイサ」

 その後どうなったかって? フリーダムで必死に逃げたさ。といってもそれを紅天の剣で追いかけてきた。鬼ごっこだね。うん。生死をかけた鬼ごっこだった。主に私の。無情にもエクス、ルミル、アギト、リインは何を察したのか山田教諭のもとへ避難していた。という家事ブタンたちだけ助かりやがった!?



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あとがき
べっこう飴おいしいよね。あと水あめとか。たま〜に食べたくなる。飴とか駄菓子とか。

-47-
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