第二話 星霊魔導士とメイド作戦
「それでよ、ルーシィは何の魔導士なんだ?」
エバルーの屋敷へ行くために馬車を待っている俺達はルーシィに色々と質問していた
「あたしは星霊魔導士よ。契約数は六体」
「精霊!カイルと一緒か!」
「あー違う違う。精霊を使役する魔導士は俺だけだよ。ルーシィのは鍵を使うタイプの星霊だ」
「言ってる意味はよくわかんないけど、カイルの言うとおりよ。あ、そーいえばハルジオンで買った仔犬座のニコラ契約まだだったわね。ちょうどいいわ、契約するとこみせたげるね」
そう言うとルーシィは鍵を取り出し呪文?ぽいのを唱えた。
「ねえカイル、契約ってカイルみたいに血判押すのかな?」
「痛そうだな、ケツ」
「確かに血の契約ではあったが、血判は押してねえよ。あとなんでケツ?」
「丸ぎこえなんですけど……ごほんっ!開け、仔犬座の扉!ニコラ!」
詠唱が終わり、出てくる星霊に期待を膨らませる三人だったが、出て来たのはよくわからんごっさ弱そうな生命体だった。
「「「ニコラーー!!!」」」
失敗したのだろうか?ここで無言ってのもなんか悪い気がするな。
「「・・・・・・ど、どんまい」」
「失敗じゃないわよ!!」
なんとこれで成功してるらしい。まああんま星霊魔導士で強い奴ってのもいねえからな。
「あーん。カワイイ!」
「そ、そうか?」
「ニコラはあんまり魔力使わないし、愛玩星霊として人気なのよ」
早い話がペットか……エゴイストだな、星霊魔導士は。
「ナツ〜、カイル〜。人間のエゴが見えるよー」
「「怖えな、ルイージ」」
「ルーシィよ!」
そして契約に移ったようだが、なんか出れる曜日を聞いてるだけのようだ……バイトの面接みたいだな、地味。
「地味だな」
「あれは結構重要らしいぞ」
「はい!契約完了!」
「な〜、カイルの契約もあんなだったのか〜」
ガッカリした顔のナツがおれに聞いてくる。
「いや、もっと命懸けだったぞ。あの場で契約できてなかったら俺は死んでたね」
「うるさいわね。確かに地味だけど大切な事なのよ。星霊魔導士は約束事を重視するの……だからあたしは絶対約束を破らない」
「ふーん、そっかー。ならルーシィメイド作戦よろしく」
「あ、あー!!!」
「一度やるって約束しちまったもんな。約束は大切にしろよ、星霊魔導士♫」
「しまった……はめられた……」
「少しは練習しとけよ。ほら、カイルにご主人様って」
「言わないわよ!!」
「なんだ、言ってくれないのか?(スーパーイケメンオーラ発動)」
「あ、申し訳ありません、ご主人様///」
「「いったーー!!」」
あ、馬車来たな。
「バカやんのはここまでだ。乗るぜ」
「かしこまりました。ご主人様」
あ、オーラ解くの忘れてた。
〜数分後〜
ナツがグロッキーになっていた。
「乗り心地はいかがですか?ご主人様」
「冥土が見える……」
「しかしマジでボロい仕事だよな、本見つけるだけで二十万て」
「ホントね、こりゃ楽勝かも!」
「なんだ?嫌がってた割には乗り気だな、ルイージ」
「当然!だってあたしの初仕事だもんね!あとルーシィよ」
「でも大丈夫かね?エバルーの欲求をルーシィで満足させられるか?」
カワイイが色気とはちょっと違う気がするからな、ルーシィ。多分お笑いタイプだ。
「あたしはこーみえて色気には自信あんのよ」
「ちょっとネコには判断できないです」
「言っとくけどこの仕事あんた達ほとんどやる事ないんだから報酬7:1:1:1よ!」
「ルーシィイチでいいの?」
「あたしが七よ!」
「ち・・・ちょっと待て・・・俺達も・・・やる事ある・・・」
「そうだそうだ。捕まったら助けてやるぞ」
「そんなミスしないわよ」
絶対するぜ、お笑いタイプだもん、ルーシィ。
そんなこんなでシロツメ到着。
「着いたー!」
「……もう二度と馬車には乗らん」
「お前の二度とは何度あるんだろうな」
「とりあえず腹減ったな、飯にしようめし!」
「あたしお腹空いてないんだけど…あんた自分の火食べれば?」
「そりゃムリだ。ルーシィ自分のゲロ食うか?」
「食べるワケないでしょ!」
「そうだそうだ!ニコラとかも食べないだろ。それと同じだよ」
ようするに自分の火は食えないんだよな、ナツは
「あーもういいわ。あたしこの街見てくる。食事は三人でどーぞ」
どっか行っちゃったよ……行動力があるんだかないんだか
「なんだよ…皆で食べた方が楽しいのに。」
「まあいずれくるだろ。俺達はメシにしようぜ」
そして店に入り、注文する。
ナツとハッピーはガツガツ食っていた。俺はサンドウィッチとコーヒーだけだが。
「脂っこいのはルーシィにとっとこうか」
「脂っこいの好きそうだもんね」
「そうかね〜。女はそういうの嫌うんじゃねえのか?」
「ホントよ。いつ私が脂っこいの好きになったのよ」
「お、ルー…………………シィ」
「あぁ来たのか、思ったより早かっ…………………たな」
俺とナツとハッピーは固まった……ルーシィは完全にメイド姿だった.…
「結局あたしって何着ても似合っちゃうのよね〜。お食事はお済みですか?ご主人様♫」
「お、おいナツどうする?シャレでいったメイド作戦本気にしちまってるぞ」
「い、今更冗談だったとは言えねえしなぁ…これで行くか…」
「おおぉおい!聞こえてますが⁉」
食事の後、依頼主の邸宅に向かう。
Beーーー「はいどなたですか?」
「魔導士ギルドの「あ、待ってください!裏口から入ってください」
?なんかワケありだな。この依頼主は。
「わざわざすみません。私が依頼主のカービィ・メロンです」
「うまそうな名前だな」
「メロンー」
「コラナツ!失礼よ!」
「ハハハ。よく言われますよ」
なーんか引っかかるおっさんだな。それにしてもメロンか、確かにうまそうだ。
「まさかあの有名なフェアリーテイルが受けてくれるとは思いませんでした」
「こんなうまい仕事よく残ってたと思うけどな」
得体がしれねえから警戒されてたんだろうよ。
「しかもお二人共こんなにお若いのに、さぞ高名な魔導士なのでしょう」
「ナツはサラマンダーって呼ばれてるよ!」
「おお!その名は聞いた事があります」
「へへへっ。でもカイルはもっとすげえぞ!」
「おお!そうなのですか?」
「それなりに名は売れてると思うが、それを鼻にかける気はない。ただの十九の若造として扱ってくれ」
「それで……」
あ、ルーシィ見てる。珍妙な目で…
「その格好はご趣味か何かで?いやいや良いんですがね」
「あたし帰りたくなってきた」
泣いてるし……しょうがねえな。
「おっさん。そろそろ仕事の話を」
「ええ、そうですね。今回の依頼はエバルー公爵が持つこの世にたった一つの本"日の出"(デイ・ブレイク)の破棄または焼失です」
「依頼書にはパクってきてくれとあったが?」
「実質上盗むのとあまり変わりませんがね」
「ふーん、燃やしゃ良いのか。なら屋敷ごと全焼させるか」
「簡単だねー」
スパーーン!!!
バカ二匹の頭を叩く
「できるかばかたれども」
「そうよ!確実に牢獄行きよ!」
「まあパクってくるんだから片足泥に突っ込んでるけどな」
軽くツッコミながら俺は最初から聞きたかった事を尋ねる。
「それで?二十万もかけて焼失したい本ってのは一体なんなんだ?」
「・・・・・・」
だんまりか…ますます怪しいね。
「どーでもいいだろそんなこと。二十万だぞ、二十万!」
「いいえ……二百万Jお支払いします。報酬は二百万です」
何!!
「に!」
「ひゃ!」
「くぅぅぅう!」
おいおいマジかよ。討伐クエスト級じゃねーか!
「なんじゃそりゃあああああ!!!!」
「おや、値上がりしたのを知らなかったのですか?」
「二百万って四人で分けると…うおおおおお計算できねえ!!」
「カンタンです。カイルが百万、おいらが五十万、ナツが五十万、残りがルーシィです。」
「ハッピーは頭いいなあ!」
「あたしのが残らないわよ!」
「俺は大抵のことは笑って流すが。さ、流石にスルーできねえぞ。一体なんなんだ?その本は?」
「私はあの本の存在が許せない。それだけです。よろしくお願いします」
「ウォオォオォオ!もえてきたぁぁぁあ!!いくぞ!ルーシィ!」
「しょうがねえ。いくか!」
どーも。キッド三世です。次回はバニッシュブラザーズ登場!カイルの魔法の正体はもう少し後です。コメントよろしくお願いします。