龍一「おい龍二。ホントにここにあるのかよ〜」
龍二「知らないけど、探すしかないじゃん。」
俺と龍二は、ある小さな別荘にいた。
俺たちは同じサッカー部で、合宿でこの別荘に泊まりに来た。
普通ならゆったりとしているところだが、俺たちは夕食を作る担当のため、倉庫に材料を取りに来ていた。
龍一「どうしてキッチンに使う道具が無いんだよっ!!」
龍二「この別荘、あまり使われてないからじゃない?
・・・でも、ここは無いかもしれないな・・・埃だらけだし。」
確かに、この倉庫は埃でいっぱいだ。
おまけに変な臭いがするし・・・
龍一「あ、おい!なんか変な物見つけたぞ!!」
龍二「変な物?」
龍一「これこれ」
そう言って俺が持ち上げて埃まみれの机の上に置いたのは・・・・
龍二「だるまじゃねぇか。
しかも何だコレ?ガムテープか?」
直径30cm程の赤いだるまの顔辺りに、ガムテープがみっちり張られている物だった。
目とかが隠れているので、妙な不気味さを纏っている。
龍一「なぁ、コレ剥がしてみねぇ?」
好奇心旺盛なのか、若干目を輝かせながら龍二を見る龍一。
傍から見れば龍二の方が兄に見える気がする。
龍二「・・・仕方ねぇな。」
龍一の目にやられたのか、呆れた顔で龍二は言った。
龍一「じゃあ、俺が剥がすから頭の部分持ってて。」
龍二「はいはい。」
龍二はだるまの頭を支え、龍一はガムテープの端を持った。
そして龍一の「せーの!」の声で一気にガムテープが剥がされた。
ビリッビリッバリッ
龍一・龍二「「!!!?」」
――――――ッポタ
龍一の持つガムテープから、赤い液体が伝い落ちた。
龍一・龍二「「わあああああああああ!!!!!」」
俺たちはだるまを突き飛ばして倉庫を出た。
俺は倉庫の錠と鎖を手早く頑丈に閉めた。
龍一「ハァ・・・・ハァ・・」
龍二「い、今・・・・だるま・・・の、顔が・・・
赤ん坊の顔だったよな・・・・?」
そう。
だるまの顔の部分であるはずの所には・・・・
赤ん坊の顔が埋め込まれていた。
そして、テープを勢いよく剥がしたこともあって、皮膚まで剥がれ、顔が真っ赤になっていたのだ。
あの倉庫での出来事がきっかけで、俺と龍二はだるまを直視できなくなった。
そして、あの出来事の後に分かった。
倉庫のあの変な臭いは、もしかしたら血の臭いだったのでは・・・・?
貴方の身近にあるだるまの顔は・・・・―――――?