龍二「ハァ〜〜疲れた〜」
俺は、学校から帰っている途中だった。
その時、いつもある橋を渡る。
今日もその橋を渡ろうとした時、橋の下で小学2年生ぐらいの男の子が何かを埋めていた。
気になった俺は橋の下に行き、男の子に近づいた。
龍二「何してるの?」
優しい声で聞いたら、男の子は振り向いた。
その時の表情は泣いていた。
男の子「ぐすっ・・・・・埋めてるの・・・」
龍二「何を?」
男の子「・・・ジロー・・・遊んでたら、落としちゃって・・・・」
龍二「そっか・・・・。」
そう言えば、俺も昔、飼っていたハムスターを死なせてこの子みたいに泣きながら兄貴と埋めたっけ・・・。
俺は近くにあった小さな花を、男の子が埋めて盛り上がった土の上にそっと置いた。
龍二「君は、何て言う名前なの?」
不意にそう尋ねたら、男の子は「琥太郎・・・」と小さな声で言った。
龍二「琥太郎か・・・良い名前だなっ!
俺は龍二だ。また今度、お参りに来ような!」
琥太郎とそう約束をして、俺は家に帰った。
早和子「そう言えば・・・・高橋さんのお宅、息子さんが行方不明になったらしいわよ。」
母さんが、食事中にそんな話をしだした。
勝広「そうなのか・・・。気の毒にな・・・。
息子って、兄の方か?」
早和子「いいえ、琥太郎くんじゃなくて・・・まだ産まれて日が浅い弟の方よ。」
母さんの言葉に、俺は少し反応した。
龍一「その弟って何て言うの?」
俺は、食器をキッチンへ持っていこうとした。
その時兄貴が母さんにそんな質問をした。
早和子「えっと、確か・・・・・
次郎・・・・だった気がするけど・・・。」
ガッシャーン!!!
俺の手から力が消えた。
『・・・ジロー・・・遊んでたら、落としちゃって・・・・』
勝広「おいっ!どうした龍二!」
父さんが俺に呼び掛けてくる。
だが、今の俺には聞こえなかった。
龍二「・・・・まさか、な・・・」
「違う」と自分に言い聞かせ、食器の破片を片付け風呂に入ってから部屋に戻り、寝たのだった。
数日後、あの橋の下から赤ん坊の遺体が発見された。
背骨と頭蓋骨の骨が粉々になっていたそうだ。
土の表面から、僅かに残った俺の指紋が検出され、警察から事情を聞かれて全てを言った。
だが、事情聴取を受けた後日、あり得ない事実が知らされた。
警察「昨日、貴方が言っていた男の子なんですが・・・
赤ん坊が亡くなったとされる日の後日、近くの川で遺体として発見されました。」
龍二「えっ・・・・?」
どうして・・・・?
琥太郎くんは、明らかに自殺だったらしい。
実の弟を死なせてしまった罪滅ぼしなのだろう。
――――――――埋めているのは、動物や物とは限りませんよ・・・・・?