小説『短編恐怖物語集』
作者:Maifa(アクアマリン)

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

龍二「ハァ〜〜疲れた〜」

俺は、学校から帰っている途中だった。
その時、いつもある橋を渡る。
今日もその橋を渡ろうとした時、橋の下で小学2年生ぐらいの男の子が何かを埋めていた。
気になった俺は橋の下に行き、男の子に近づいた。

龍二「何してるの?」

優しい声で聞いたら、男の子は振り向いた。
その時の表情は泣いていた。

男の子「ぐすっ・・・・・埋めてるの・・・」

龍二「何を?」

男の子「・・・ジロー・・・遊んでたら、落としちゃって・・・・」

龍二「そっか・・・・。」

そう言えば、俺も昔、飼っていたハムスターを死なせてこの子みたいに泣きながら兄貴と埋めたっけ・・・。
俺は近くにあった小さな花を、男の子が埋めて盛り上がった土の上にそっと置いた。

龍二「君は、何て言う名前なの?」

不意にそう尋ねたら、男の子は「琥太郎・・・」と小さな声で言った。

龍二「琥太郎か・・・良い名前だなっ!
   俺は龍二だ。また今度、お参りに来ような!」

琥太郎とそう約束をして、俺は家に帰った。






早和子「そう言えば・・・・高橋さんのお宅、息子さんが行方不明になったらしいわよ。」

母さんが、食事中にそんな話をしだした。

勝広「そうなのか・・・。気の毒にな・・・。
   息子って、兄の方か?」

早和子「いいえ、琥太郎くんじゃなくて・・・まだ産まれて日が浅い弟の方よ。」

母さんの言葉に、俺は少し反応した。

龍一「その弟って何て言うの?」

俺は、食器をキッチンへ持っていこうとした。
その時兄貴が母さんにそんな質問をした。

早和子「えっと、確か・・・・・






            









                      次郎・・・・だった気がするけど・・・。」





  ガッシャーン!!!


俺の手から力が消えた。





         『・・・ジロー・・・遊んでたら、落としちゃって・・・・』





勝広「おいっ!どうした龍二!」

父さんが俺に呼び掛けてくる。
だが、今の俺には聞こえなかった。

龍二「・・・・まさか、な・・・」

「違う」と自分に言い聞かせ、食器の破片を片付け風呂に入ってから部屋に戻り、寝たのだった。








数日後、あの橋の下から赤ん坊の遺体が発見された。
背骨と頭蓋骨の骨が粉々になっていたそうだ。
土の表面から、僅かに残った俺の指紋が検出され、警察から事情を聞かれて全てを言った。
だが、事情聴取を受けた後日、あり得ない事実が知らされた。

警察「昨日、貴方が言っていた男の子なんですが・・・



            赤ん坊が亡くなったとされる日の後日、近くの川で遺体として発見されました。」              

龍二「えっ・・・・?」

どうして・・・・?


琥太郎くんは、明らかに自殺だったらしい。
実の弟を死なせてしまった罪滅ぼしなのだろう。


――――――――埋めているのは、動物や物とは限りませんよ・・・・・?

-14-
Copyright ©Maifa All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える