今日、学校から帰り家に入る時、隣の家から女性の笑い声が聞こえてきた。
龍一「・・・・・」
俺はこの時、あまり気にしなかったけど、微かに女性の声に交じって子供の声が聞こえた。
母さんからは、隣の家には30代近い女性が一人暮らしと聞いていた。
最初はテレビとか見て笑っているんだろうと思っていた。
夕食後、俺は風呂に入った。
俺んちの風呂の窓からは、隣の家の壁が見える。
だけど、その壁の上の方に小さな小窓が付いているから、家の声は風呂に聞こえるわけで・・・
女性「アハハハハッ!!」
と、女性の声がいつも聞こえてくる。
それもいつもの事なのだが、今日は違和感があった。
龍一「・・・高い・・・?」
そう。女性の声がいつもより高いのだ。
それにまた聞こえる・・・。
子供の声が・・・。
どんどん子供の声は大きくなっていく。
「キャハハハハ!!」
「アハハハハ!!」
「キャハハハハ!!」
女性「ハハハハハッ」
最後の女性の笑い声が俺を湯船の中で絞めつけた。
金縛りではない。ただ単に恐怖で身体が動かないのだ。
龍一「ヒッ!」
やっと少し動かせた首を、窓に向ければ俺の目はとんでもないモノを捕えてしまった。
「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」
窓の外で、口を開けているだけで無表情な女の 生首 がそこにあった。
俺は反射的に風呂を出た。
素早く着替えて、家族のいるリビングに走った。
龍一「ハァハァハァ」
早和子「あらどうしたの?そんなに慌てて・・・。」
龍二「顔真っ青だぞ?」
母さんと龍二が俺に近寄ってきた。
龍一「な、何でもない・・・」
俺にはさっきの事を話す勇気が無かった。
心配かけたくないし・・・
勝広「今日は早く寝た方が良いぞ。
・・・・・そう言えば、隣の家の林さん。亡くなったんだって?」
早和子「えぇ。事故らしいわよ。
寝ながらテレビを見ていたら部屋に飾ってあるガラスの置物が頭に落ちてきたんですって。」
龍二「それは災難だったな。」
龍一「・・・・・お、俺・・・寝る・・・ね」
声が震える。
部屋に戻ってベッドに寝転がる。
あの風呂で見た首は、隣の家の人の女性だったんだ・・・。
笑っている時に事故に遭った・・・・。
じゃあ・・・聞こえていた子供の声は一体・・・・・・?
俺の意識は、この時に途切れた。
おそらく、あの子供の声の謎は・・・永久に解けないだろう・・・